ドル高基調継続するも引き続き上値は重い展開
〇先週のドル円、10/3に高値150.16を示現した直後、147.30まで3円近くも急落
〇米雇用統計の好数字を材料に再び持ち直すなど荒っぽい変動辿り149.30レベルで週末クローズ
〇ブルームバーグ、日銀当座預金残高予想と民間短資会社推計の試算から介入した可能性低いと報じる
〇今週、9月消費者物価指数や10月ミシガン大消費者信頼感指数等の重要な米経済指標が発表予定
〇米通貨当局者を中心に要人発言機会も多く、週末には金融機関中心に米企業決算の発表始まる
〇今週のドル円予想レンジは147.30-150.80。ドル安円高方向は、148.30-40が最初のサポート
〇ドル高円安方向は、先週高値150.16をめぐる攻防にまず注目
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、結局元の木阿弥。3日には昨年10月21日以来の150円台を示現したものの、勢いは続かなかった。
前週末は、最後まで予断を許さない状況が続いたものの、滑り込みで米議会が「つなぎ予算」を可決。政府機関の閉鎖はなんとか回避されている。それとは別に、ロシアのプーチン氏が併合4州についての演説で、改めて「ロシア領」と強調したことが話題になっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149円半ばで寄り付いたのち、ドルは上値を試す展開。3日は週間高値の150.16円を示現した。しかし、当局による「円買い介入」と疑われる動きもあり、アッという間にドルは週間安値147.30円まで3円近くも急落。ただ、週末に発表された注目の米雇用統計が好数字になったことを材料に、ドルは再び持ち直すなど荒っぽい変動をたどったすえ、週末NYは149.30円レベルで取引を終えている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の為替スタンス」と「米債務上限問題」について。
前者は、3日NY時間にドル/円は150円台へと乗せたが、すぐに一転してドルは急落すると一時147円台へ。ほんの十数分といった短時間で3円近い値動きが観測され、それが「当局の介入によるものではないか」と思惑を呼んでいた。なお、NYで観測された一連の急激なドル安・円高進行について、翌日以降神田財務官が「コメントを控える」と発言するなど、鈴木財務相や松野官房長官など本邦の関係者全員がコメントを拒否。そのため、市場は週末にかけても介入思惑を引きずる格好で疑心暗鬼に陥っていたものの、一方でブルームバーグは翌4日に、日銀当座預金残高の予想と民間短資会社の推計に基づく試算をもとにし、「介入した可能性は低いとみられる」と報じていた。事実は果たしてどちらなのだろうか。
対して後者は、前述したように9月30日という期限ギリギリで米議会が「つなぎ予算」を可決、米政府機関の閉鎖はなんとか回避されたものの、幾つかの問題点を残す。そのひとつは、同予算に一部共和党議員の反対などから、ウクライナ支援が盛り込まれなかったことで、バイデン米大統領も「資金が枯渇するまでそれほど時間はない」と危機感を示していた。また、予算案可決をめぐる対応などを不満として、「下院共和トップのマッカーシー下院議長の解任動議を提出の動き」が発動され、まさかの可決に。新議長選出に向けた動静など、米議会の動きが再び注目を浴びていた。なお、複数報道によると次期議長を決める議長選は今週11日に実施する方向で調整が進んでいるという。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は今月3日に高値150.16円を示現するとともに、安値147.30円を記録。それにより、当面の高安を付けて大レンジを完成させた感があったが、実際そののち週末の米雇用統計発表でも抜けていくことが出来なかった。今週も、上記した147.30-150.16円という約3円レンジを基本としたボックス内での一進一退が続く可能性がある。ただ、仮に上抜けた場合には昨年高値の151.94円がターゲットとなる反面、底割れすれば9月安値144.44円が意識されそうだ。
先週は、サンフランシスコ連銀総裁の発言「FRBの金融政策はかなり制約的な領域に入っている」や、発表された雇用を注視とした米経済指標に一喜一憂しつつも、市場は年内あと1回の米利上げ見通しを維持したうえで長期金利も騰勢を保っている。ドル高という基本的な流れは今週も続く見込みだ。ただ、前述した3日観測された「円買い介入」を疑われる動きなどもありドルの上値は重そうかつ、「国慶節」休暇で問題が一時棚上げされていた中国不動産リスクなどの問題が再び動き出すことが見込まれている。場合によっては、金融市場全般の波乱要因となりかねない。
テクニカルに見た場合、ドル/円のドル高基調そのものは依然として変化がないと思われるが、その上値はだいぶ重くなったと言える。先週観測された「怪しい動き」から150円レベルが新たな円安シーリングとして意識されているようだ。仮に超えたとしても、勢いづいたドル高進行は見込みにくい。
対する下値も先週2度下げ止まった148.30-40円レベルが最初のサポート。割り込んでも先週安値147.30円では下げ止まる展開か。
そうしたなか今週も、先週に続き9月の消費者物価指数や10月のミシガン大消費者信頼感指数といった非常に重要な米経済指標が発表される予定となっている。また、週間を通して米通貨当局者を中心とした要人の発言機会が数多く予定されているうえ、週末には金融機関を中心とした米企業決算の発表も始まる予定だ。そちらも注意を要したい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、147.30-150.80円。ドル高・円安については、先週高値の150.16円をめぐる攻防にまず注目。超えれば、昨年高値151.94円が薄っすら視界内に入ってくるが到達までの道のりは長そう。
対してドル安・円高方向は、目先的には前述した148.30-40円が最初のサポート。週明けには近い水準に移動平均の21日線も位置している。割り込むと先週安値147.30円がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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