ドル円　底堅いもののそろそろ目先の高値をつけに行く状況（週報9月第4週）

〇先週のドル円、週前半は金融政策イベントを控えて方向感がはっきりしないもみあい続く
〇週後半はFOMCと日銀会合をはさみ荒っぽい動きで円安地合いでの週末クローズ
〇海外筋は特に日銀の動向への注目度高く過剰に反応しやすい
〇149円超えは半期末前で輸入業者救済の介入も考えられるため警戒すべき水準
〇長期的には2024年は、米国の緩和と日銀の引き締めの動きがいつ出てくるのかが大きなテーマ
〇今週は147.10レベルをサポートに148.95レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週前半は金融政策イベントを控えて方向感がはっきりしないもみあいが続きましたが、FOMC当日には上下の動きが入り安値圏でFOMC待ちとなりました。FOMCは現状維持であったものの年末の金利見通しが前回から変わらなかっただけでなく、2024年末の見通しが前回から0.5％上がったことをタカ派的と捉え急速にドル買い戻しの動きとなりました。

木曜は翌日の日銀会合を控えてのポジション調整と英中銀が現状維持としたことによるポンド円の売りが入り週間安値を更新したところから金曜は買い戻して148円台乗せと荒っぽい動きを続けての日銀会合待ち。日銀は予想通り現状維持、そして前週の植田総裁のマイナス金利解除も遠のいたとの見方から円安地合いでの週末クローズとなりました。

一連の金融政策イベントが終わり、先々週のECBは利上げ、先週のBOEは現状維持と欧州ではインフレと景気後退との綱引きでしたが、米国は予想通り現状維持も引き締めの長期化見通し、日銀は安定の緩和継続という締めくくりです。植田総裁の発言は何だったのかという印象を与えましたが、総裁としては条件が整えばマイナス金利解除を含め正常化へ歩むのは当然という考えがあることはたしかです。

そして、状況によっては12月にもそうした条件が整う可能性も否定できませんし、いつ緩和からの出口へと向かうのか、おそらくは2024年中のどこかの段階である可能性のほうが高いと考えられます。市場参加者、特に海外筋が過剰に反応しやすいということはそれだけ日銀の動向への注目度が高いということになりますので、2024年は米国の緩和と日銀の引き締めという動きがいつ出てくるのかが大きなテーマとなることは間違いありません。

ただ、長期的なことよりも今は絶対的な金利差があり、それがドル円の押し目買いを常に招いているということも間違いありません。そして、今週に関しては半期末を控えて、急速な円安の動きが出てくる場合にはカウンターで介入が出てくる可能性もあり、149円台は相当に警戒すべき水準ということになるでしょう。
149円超えは輸入業者救済の介入が期末前であればあるという見方をしています。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。
ピンクのラインで挟まれたウェッジの中の動きですが、上側は変わらないものの押し目買いがしつこくサポートは着実に上がってきているため、かなり煮詰まった段階で9月末を迎えることとなりました。149円台に乗せてもおかしくない底堅さですが、この上側のラインが効いているとすると今週は148.95レベルが上限となります。9月末に向けての実需、同じく日柄と考えると、次の上昇は下期に入ってからと見る方が良さそうです。

ただ押し目での買いがしつこい状況は簡単には変わりそうもないですから、下も147円は現状ではサポートと考えることとなります。今週は147.10レベルをサポートに148.95レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定（時刻表示のあるものは日本時間）

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー（ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス）ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月25日（月）
16:00　フランス中銀総裁講演 ☆
17:00　ドイツ9月ifo企業景況感

9月26日（火）
07:00　ミネアポリス連銀総裁講演 ☆
16:00　レーンECB理事講演 ☆
22:00　米国7月住宅価格
23:00　米国9月消費者信頼感 ☆、リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00　米国8月新築住宅販売
23:00　ケースシラー住宅価格 ☆

9月27日（水）
08:50　日銀会合（7月）議事要旨公表 ☆
10:30　豪州8月CPI ☆
15:00　ドイツ10月消費者信頼感
15:45　フランス9月消費者信頼感
21:30　米国8月耐久財受注
23:30　週間原油在庫統計

9月28日（木）
10:30　豪州8月小売売上高
18:00　ユーロ圏9月消費者信頼感
18:30　南ア8月PPI
21:00　ドイツ9月CPI速報値 ☆
21:30　米国4〜6月期GDP確報値
21:30　米国新規失業保険申請数
22:00　シカゴ連銀総裁講演 ☆
23:00　米国8月住宅販売保留件数
29:00　パウエルFRB議長講演 ☆

9月29日（金）
**:**　中国市場休場
08:00　（リッチモンド連銀総裁講演）
08:30　本邦9月東京区部CPI ☆
08:30　本邦8月失業率・有効求人倍率
15:00　英国4〜6月期GDP改定値
15:00　ドイツ8月小売売上高、輸入物価
15:45　フランス9月CPI速報値 ☆
15:45　フランス8月PPI ☆
16:00　トルコ8月貿易収支
16:55　ドイツ9月失業率
18:00　ユーロ圏9月CPI速報値 ☆
21:00　南ア8月貿易収支
21:30　米国8月個人所得・消費支出 ☆、卸売在庫
22:45　米国9月シカゴ購買部協会景気指数
23:00　米国9月ミシガン大消費者信頼感
25:45　NY連銀総裁講演 ☆

先週の概況

9月18日（月）
週明けのドル円は東京市場が休場となった影響もあり終日動意薄、値幅もわずか32銭とFOMC、日銀会合を控えて様子見姿勢が強まりました。

9月19日（火）
東京市場が連休後のドル円も底堅い動きを続けましたが、148円にはオプション絡みのドル売りオーダーも入っているような動きでした。しかし147.50以下にはドル買いも入っていて終日のレンジは41銭に留まりました。

9月20日（水）
東京市場のドル円は前日高値を上抜けストップオーダーも巻き込みながら欧州市場序盤には148.17レベルまで上昇しました。その後はFOMCを控えたポジション調整とユーロドル上昇も重なって147.48レベルまで下げましたが、FOMCの金利見通しが2023年末は前回6月から変わらず（もう0.25％の利上げを見込む）、2024年末は前回から0.5％高いタカ派な見通しとなったことを受け148.36レベルまで上昇しました。

9月21日（木）
ドル円は東京市場では一時148.46レベルまで高値を伸ばしたものの介入警戒感も強く148円台半ばでザラ場の反転パターンを形成しつつ欧州市場に入りました。ストップオーダーを引っ掛けてドル円が下げ始めると英中銀が予想に反して政策金利を現状維持としたことでポンド円の売りもドル円の下げを加速させました。さらに前日FOMCで引き締め長期化を嫌気した株式市場の下げが続き、リスクオフの動きによる円買いも加わり、NY市場では147.32レベルまで下げ、やや戻して引けました。

9月22日（金）
東京市場のドル円は前日の下げが一巡すると改めてドル買いへと動き、日銀会合ではYCCの効果見極めは時期尚早とし、マイナス金利解除の思惑も遠のいたことから148.42レベルの高値をつけました。その後も底堅く推移し、NY市場では一時的な下押しも入りましたが、引け間際に148.41レベルへと東京高値に近づいての高値圏での引けとなりました。

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