円安で戻すも対ドルでの史上最安値更新で上値重い
〇トルコ円、9/23早朝終値は5.45、週間では9/15終値5.46から0.01の円高リラ安
〇中銀イベント通過しドル円上昇するも、ドル高リラ安に圧迫されてトルコ円の戻りは鈍く、上値重い
〇対ドル、9/23早朝の取引終了前に27.37へ下落、取引時間中の史上最安値を更新
〇予想通り5.0%追加利上げは高インフレが進行する中で利上げ不足とし、市場のリラ買い反応はわずか
〇5.44を上回るうちは5.48超えから5.50を目指す上昇を想定し、5.50前後は反落警戒とする
〇5.44割れからは下向きとし、5.43割れからは下落期入りとみて5.40前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の9月22日は概ね5.47円から5.39円の取引レンジ、23日早朝の終値は5.45円で前日終値の5.44円からは0.01円の円安リラ高だった。週間では9月15日終値5.46円から0.01円の円高リラ安だった。
ドル円は9月21日未明の米FOMCと22日昼の日銀金融政策決定会合と続いた重要イベントを通過しながら148円を挟んだ乱高下となり、FOMCが年内あと1回の利上げが必要とタカ派姿勢を示したことで直前安値147.46円から21日午前高値148.45円へ急伸し、当局の円安けん制発言と日銀会合を控えた整理売りで21日深夜には147.31円まで一段安したが、日銀が金融緩和継続を決定して早期のマイナス金利解除等による正常化プロセスは急がれないと市場は受け止めて22日夕刻には148.41円へ上昇してからも148円割れを買われて高値圏を維持して年初来高値更新を伺う位置取りで週を終えた。
トルコリラ円は21日未明安値5.45円から反騰入りし、FOMC後のドル円急伸と21日朝のドル/トルコリラにおける一時的なリラ高により高値で5.58円へ上昇したが、21日深夜にかけてドル円が反落した局面で5.43円まで失速した。日銀会合を通過してドル円が反騰したことで午後には5.47円まで戻したが、その後は高値切り上げヘ進めなかった。
ドル円が9月21日午前の年初来高値に迫る反騰を見せたものの、ドル高リラ安に圧迫されているためにトルコリラ円の戻りは鈍く、21日午前高値からは一段下がった水準にとどまり上値の重い印象を残した。
【対ドルで史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの9月22日は概ね27.37リラから26.93リラの取引レンジ、23日早朝の終値は27.10リラで前日終値の27.11リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。週間では9月15日終値26.92リラから0.18リラのドル高リラ安だった。
9月21日にトルコ中銀は市場予想通りに5.0%の追加利上げを決定して政策金利の週間レポレートを30.0%へ引き上げたが、高インフレが進行する中ではまだ利上げが足りないとして市場のリラ買い反応はわずかにとどまり早々にドル高リラ安が再開した。9月22日は27.16リラへ安値を更新して終値の27.11リラも終値ベースでは8月24日以降の安値となったが、23日早朝の取引終了前に27.37リラへ下落して8月24日にトルコ中銀が7.5%の大幅利上げを決定した時に急騰する直前の安値27.27リラおよび8月4日に付けたそれまでの最安値27.34リラを割り込んで取引時間中の史上最安値を更新した。
8月24日の急騰幅が解消されて史上最安値を更新したことにより、リラは新たな最安値の落ち着きどころを探ってゆく領域に入った。市場では年末までに1ドル=30リラを超える可能性が各調査で指摘されているが、28リラ台へ進む場合には年末を待たずに30リラへ迫る可能性もあるのではないかと警戒される。
【ドル高リラ安に圧されて再び史上最安値を試しに向かうか】
トルコリラ円は5月28日のエルドアン大統領再選をきっかけとしたリラ暴落により5月26日高値7.06円から7月18日の史上最安値5.08円まで急落したが、その後は円安による支えで下げ渋りからやや持ち直しに入り、8月24日のトルコ中銀による7.5%の超大幅利上げをきっかけとして5.77円へ急伸した。しかしその後はドル円の上昇基調に支えられつつも、ドル高リラ安が再開して徐々に8月24日のリラ急騰幅の解消へ進んだことで上値が抑えられ、概ね5.40円割れを買われて5.50円台後半で売られる持ち合いにつかまっている。
トルコリラ円の日足では、昨年4月28日高値から6か月弱の10月21日、さらに4か月半となる今年3月8日に戻り高値を付けて下落期に入ってきたが、3月8日高値から5か月半となる8月24日で戻り高値を付けて下落期に転じている可能性がある。
対ドルではすでに史上最安値を更新していることと比較すればトルコリラ円は史上最安値までの値幅的な余裕があるものの、5.40円割れを買い戻せなくなって徐々に安値を切り下げ始める場合は持ち合い下放れによる売り優勢の流れへ進み、ドル円の上昇が介入警戒で頭打ちとなりながら対ドルでの史上最安値更新が続き始めれば、トルコリラ円も最安値更新へ向かう可能性が高まってゆくのではないかと思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月21日深夜にかけてドル円の急落とともに5.43円まで失速したために22日午前時点では21日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、日銀金融政策決定会合後にドル円が反騰したことにより5.47円まで戻しているため、21日深夜安値5.43円を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて21日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は26日午前から28日午前にかけての間と想定するが、戻りは短命の可能性もあると注意し、5.43円割れからは弱気サイクル入りとして26日夜から28日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では21日深夜安値からの反発により遅行スパンが好転しているが先行スパンからの転落は続いている。先行スパンへ潜り込むところからは上昇継続の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパン上限のある5.50円前後を試すとみる。先行スパンへ潜り込めないか一時的に潜り込んでも再び転落する場合は下げ再開注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は21日深夜の下落時に20ポイント台へ低下してから50ポイント台後半へ戻したが、60ポイントに届かずにいる。60ポイント超えからは上昇が勢い付く可能性ありとみて70ポイント前後への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台へ向かう流れと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.43円を下値支持線、5.48円を上値抵抗線とする。
(2)5.44円を上回るうちは5.48円超えから5.50円を目指す上昇を想定する。5.50円前後は反落警戒とするが、ドル円の上昇が勢い付いて押し上げられる場合は5.52円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)5.44円割れからは下向きとし、5.43円割れからは下落期入りとみて5.40円前後への下落を想定する。5.40円以下は反騰注意とするが、ドル円が急落する場合やドル/トルコリラでのリラ安が勢い付く場合は5.38円へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
9月25日
16:00 9月 製造業信頼感指数 (8月 105)
16:00 9月 設備稼働率 (8月 76.1%)
9月28日
16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 94.1)
20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 グロス (9月15日時点 800.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 ネット (9月15日時点 175.9億ドル)
9月29日
16:00 8月 貿易収支 (7月 -122.2億ドル、予想 -88.8億ドル)
10月02日
16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 49)
10月03日
16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 9.09%)
16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 58.94%)
16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 5.89%)
16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 49.41%)
注:ポイント要約は編集部
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