米雇用統計に注目、悪化懸念の声も多いが如何に
〇本日のドル円、145.25-70といった狭いレンジ取引で積極的な動意に欠ける
〇明確な方向性に乏しく、足もとのレンジ取引がいましばらく続く可能性も
〇本日発表の米雇用統計、今週発表された米指標は全般的に下振れするものが多いなか、注目集まる
〇欧米時間予想レンジは144.80-146.30、ドル高・円安方向は145.70レベルを超えれば146円台乗せ
〇ドル安・円高方向は、145.25レベルをめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
1日の東京市場は一進一退。145円半ばを挟んだレンジ取引で方向性も乏しかった。
ドル/円は145.50-55円で寄り付いたものの、NY時間に注目の米雇用統計の発表を控えていることもあってか積極的な動意に欠ける。途中、中国人民銀からの発表が聞かれ、一時やや不安定な動きとなるも、影響は短期的なものにとどまった。結局は145.25-70円といった狭いレンジを脱せず、16時現在では寄り付きとほぼ同じ145円半ばで推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「中国情勢」と「欧州金融情勢」について。
前者は、ムーディーズが中国不動産大手の碧桂園を、デフォルトレベルである「Ca」へと格下げ。またブルームバーグは、「恒大集団が理財商品(投資運用商品)の支払いができなかったと投資家に通告」と報じ物議を醸していたようだ。そうしたなか、中国人民銀行が突然、市中銀行から強制的に預かる外貨の預金準備率を15日から、これまでの6%から4%へと引き下げると発表し、1日東京市場のドル/円相場も一時混乱に陥っている。なお、別途ブルームバーグは「習国家主席が、インドで来週開催されるG20サミットを欠席する予定」と伝えたうえで、「中国とインドとの緊張はさらに悪化する可能性もある」と結んでいた。
対して後者は、日米とともにECBの金融政策を注視している向きもあるようだ。そうしたなか昨日は、ユーロ圏やイタリアの消費者物価が発表され、予想を上回る結果に。またシュナーベルECB理事は「基調的な物価圧力は執拗に高い」、オーストリア中銀総裁も「あと1-2回利上げする可能性がある」との考えを示したと報じられていた。全体的に強気のトーンが目に付くなか、デギンドスECB副総裁は逆に「ECBは利上げサイクルの終わりに近づいている」と述べていたもよう。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は8月23日の144.54円をボトム、29日の147.37円をトップに約3円のレンジを形成している感がある。そうした意味では明確な方向性に乏しく、足もとのレンジ取引がいましばらく続く可能性も否定できない。ただ、本日はNY時間に注目の米雇用統計の発表などが控えており、その内容如何では予断許さず。ちなみに、レンジは上抜けた場合よりも、底割れした方が波乱含みといった指摘も取り沙汰されていた。
このあとの欧米時間は発表される米経済指標、とくに雇用統計の内容に要注意だ。今週発表される米指標は全般的に下振れするものが多く、なかでも雇用データはやや冴えない。その流れからすると、本日の米雇用統計についても悪化を警戒する向きが多いようだが、果たして結果は如何に。また、国内の景気悪化などに苦しむ中国情勢にも注意を払いたい。場合によっては米経済指標以上の相場かく乱要因となる可能性もある。
テクニカルに見た場合、8月29日に147.37円を示現後のドル/円は、発表される米経済指標が冴えないこともあり小安い。ただ大きな意味ではレンジ内にとどまっており、また今後の動きは本日発表の米雇用統計次第と言えそうだ。つまり、米雇用統計が良好な数字となれば、一転してドルが反転高へと向かっても不思議はないだろう。その場合は先の高値、147.37円をターゲットにした動きが予想される反面、底割れするようだと143円台も見えてくる。
本日は米経済指標として、8月の雇用統計や同ISM製造業景況指数が発表される予定となっている。ちなみに、市場の関心が高い米雇用統計のうちの非農業部門雇用者数はプラス17万人、失業率は3.5%が事前予想の中心か。ただ、先に発表されたADP雇用統計などが悪化していたこともあり、どちらかというと弱めの数字を見込む向きが優勢なようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは144.80-146.30円。ドル高・円安方向は本日東京高値145.70円レベルを超えれば146円台乗せ。昨日高値146.23円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値145.25円レベルをめぐる攻防にまずは注目。近い水準に移動平均の21日線も位置している。しっかり割り込むと8月23日安値144.54円が意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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