米経済指標、とくに雇用データに要注意か
〇本日のドル円、145.75レベルまで下落後持ち直し、16時現在146.00-10で推移
〇週末の米雇用統計発表をにらみつつ思惑が交錯、146円挟みの一進一退が続く可能性も
〇本日は米7月PCEデフレーターや新規失業保険申請件数に要注意
〇欧米時間予想レンジは145.20-146.40、ドル高・円安方向は146.30レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、昨日安値145.56をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場はドルが冴えない。昨日も発表された米経済指標に失望、ドル安・円高が進行したが、その流れは変わらなかった。
ドル/円は146.25円レベルで寄り付いたのち、緩やかな右肩下がり。ドルは下値を探る展開となり、日中安値の145.75円レベルまで下落している。しかし底入れ後は持ち直すと146円絡みの展開に。16時現在では146.00-10円で推移し、欧米市場を迎えていた。
そうしたなか、中村日銀委員の発言として「金融引き締めへの転換には時間が必要」、「為替や物価へ動向をよく見ていきたい」などと伝えられている。
一方、材料的に注視されていたものは「中国情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、中国を訪問中のレモンド米商務長官が会見で、「今回の訪中、対話開始が最大の成果」と述べたほか、ビジネス環境の改善に期待を示していた。しかし、実際の環境はさらに厳しさを増しているがあり、たとえば不動産開発大手の碧桂園は、発表した2023年上半期決算で過去最大の損失を計上し、業績悪化が続けばデフォルトのリスクがあると警告したことが提出書類により明らかにされている。なお、そうしたなか本日東京時間に発表された2つの経済指標は好対照な内容。8月の製造業PMIは予想を上回った反面、非製造業PMIは逆に失望を誘う内容だった。
対して後者は、米韓両軍が大規模合同演習「乙支フリーダムシールド」を実施するなか、北朝鮮が30日の深夜11半過ぎにけん制と思しきミサイル発射を実施。そののち、当の北朝鮮から発せられた情報によると、「ミサイル部隊が弾道ミサイル2発を発射し、核攻撃の任務を正確に遂行した」という。これについて、米報道官が「北のミサイル発射は国連安保理決議違反」と強く非難したほか、日米韓の局長クラスが電話協議を行い「ミサイル発射は国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だ」との認識を共有したという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、29日に示現した年初来高値147.37円を昨日更新できず。ただ、日足チャートは陽線引けで、前日割り込んだ146円をNYクローズベースでも回復してきた。ドルの上値が重いことは確かだが、一方でドルの下値リスクもそれほど強くない気がしている。週末の米雇用統計の発表をにらみつつ思惑が交錯。足もとは146円挟みの一進一退、往来相場が続く可能性も否定できない。
日米欧の金融情勢が引き続き注視されるなか、ここ数日は発表される米経済指標なかでも雇用関係のデータが波乱要因となっているようだ。そうした観点からすれば、本日も8月のチャレンジャーレイオフ調査や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表される予定で、前後の相場動静には注意を払いたいところだ。また、名実ともに8月最終日に当たることでの需給要因、さらにフロリダ州に上陸し40万件の停電を起こしているとも伝えられているハリケーン「イダリア」の動静も気掛かり。
テクニカルに見た場合、ドル/円は9月1日に発表される米雇用統計を前に、足もとはレンジ取引の様相を強めてきた。幾つかパターンはあるが、もっとも小さいものであれば146円±50銭といった1円レンジのなかでの一進一退をたどる可能性もある。ただ、敢えてリスクを指摘すれば下方向という気もしており、145円半ばを下回れば、移動平均の21日線が位置する145円前後がターゲットに。
本日は米経済指標として、7月のPCEデフレーターや週間ベースの新規失業保険申請件数が発表される予定となっている。2日続けて発表された雇用関係指標が波乱要因となっていただけに本日も同様の展開、「雇用データ発表後」には一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは145.20-146.40円。ドル高・円安方向は本日東京高値も近い146.30円レベルが最初の抵抗。抜ければ昨日高値146.53円、そして147円回復をうかがう展開も。
対するドル安・円高方向は、昨日安値145.56円をめぐる攻防に注目。下回ると21日線が視界内に入り意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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