ドル高基調は継続か、米雇用統計などに注意(週報8月第4週)

先週のドル/円相場は結局最後にドルが続伸。週末には、わずかながら年初来高値を更新する局面も観測されている。

ドル高基調は継続か、米雇用統計などに注意(週報8月第4週)

ドル高基調は継続か、米雇用統計などに注意

〇先週ドル円、レンジ相場後底割れしてから急反発、年初来高値を更新して146.45-50で越週
〇ジャクソンホール会合でのFRB議長の金利引き上げ発言を受け、市場はドル買いで反応
〇欧米と日本の金利差だけを見ると円を積極的には買いにくい
〇テクニカルには次のターゲットは148円半ばから後半、予想以上のドル高進行の可能性も
〇今週は週末の8月雇用統計等の米経済指標の発表に一喜一憂か
〇今週のドル円予想レンジは144.80-147.80、ドル高・円安方向は、先週高値146.64が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、目先的には145.70レベルをめぐる攻防にまず注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は結局最後にドルが続伸。週末には、わずかながら年初来高値を更新する局面も観測されている。

前週末は、ワシントンで日米韓首脳会談が実施されたことに続き日米、米韓などの首脳会談も別途観測されている。一方、米国で破産法の申請を行った中国恒大集団だが、「海外の債務再編を進めるための正常な手続きの一部だ」などと主張、物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は145.30円レベルで寄り付いたのち、しばらくはレンジ取引。145.00-146.50円といったなかで一進一退をたどっていた。しかし途中で底割れすると、週間安値の144.54円へと小幅に軟化。下値リスクが高まったかと思いきや、週末にかけて予定されていたジャクソンホール会合をにらみドルは急反発へ。Vの字型の回復をたどっただけでなく、そのまま一気に年初来高値を更新する146.63円へ。週末NYもそのままドルの高値圏、146.45-50円で越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ジャクソンホール会合」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、先週最大の材料と目されたジャクソンホール会合が24-26日に開催された。当初から25日に行われるパウエルFRB議長の講演が注視されていたが、徐々に関心が広がると初参加である植田日銀総裁の討議参加や、ここ最近発表される経済指標が冴えないラガルドECB総裁講演の「欧州と世界経済」をテーマにした講演なども注目されていた。そうしたなか25日、注目のパウエル氏は「適切と判断すれば、さらに金利を引き上げる用意がある」と表明。ある意味予想の範囲内ではあったが、市場はドル買いで反応すると前述したようにドル/円は一時年初来高値を更新している。一方、ラガルド氏からも「金利を必要な限り高水準に維持する」とした強気コメントが発せられていたようだ。

対して後者は、日本の海上保安庁が、北朝鮮から「人工衛星」を24-31日のあいだに発射するとの通報があったと発表し、早い段階から思惑を呼ぶ。そうしたなか、実際に24日の日本時間午前4時ごろに北朝鮮が「ロケット」と称するミサイルを発射し一時騒然となった。沖縄県を対象にJアラートも発令されている。結局、ミサイルは北朝鮮自身も認める「打ち上げ失敗」に終わり、日本への影響はとくになかったものの、朝鮮中央通信によると、今回の失敗を受けて北朝鮮は「10月に再度打ち上げを計画している」という。まだまだ油断は禁物であるようだ。なお、北朝鮮のミサイル発射を受け、日米韓の北朝鮮問題の担当者が電話協議を行い、「国際社会に対する明白で深刻な挑戦である」という認識を改めて共有したほか、国連安保理でミサイル発射にともなう緊急公開会合が開催されている。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は形成していた144.50-146.50円のレンジを一時上抜け。まだ完全に超えたとは言えないところが気掛かりだが、基本的なリスクはドル高方向にバイアスがかかりそうだ。なお、テクニカルに見た場合、ここから先は明確な抵抗に乏しい。先週示現した高値146.63円を超えた場合には147円台をスルーし、148円半ばから後半が次のターゲットとなる。日本当局の円買い介入警戒は強いものの、予想以上のドル高進行も否定できない。
日米金融政策への関心が依然として高いなか、先週は注目のジャクソンホール会合が開催され、米欧からは前述したような強気コメントが発せられた反面、日本の植田日銀総裁は物価について「基調トレンドがなお目標を下回っており、今後低下する」との見通しを示したという。飽くまで金利差という点に着目すれば、やはり円を積極的には買いにくい。そうしたなか、今週は週末の8月雇用統計をはじめ重要な米経済指標の発表が予定されており、目先はそれらに一喜一憂する展開か。

ドル/円相場はまだ辛うじてレンジ内にとどまっており、上値展望が開けたといえないところは気掛かり。これまでの144.50-146.50円といったレンジ取引が続く可能性もある。
ただ、ここ2週間ほどの揉み合い、時間調整でポジションは幾分こなれたうえ、日本の当局者発言を聞く限り、円安に対する強い切迫感をあまり感じられない。当局のスタンスを試すという流れから147円、あるいはそれ以上のドル高・円安をたどる可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には恒大集団が「28日の株式売買再開を申請した」と伝えられている「中国情勢」。バイデン氏が「プリゴジン氏搭乗機墜落の原因を追究中」と発言するなど、問題が依然尾を引く「ロシア・ウクライナ情勢」、「北朝鮮情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週は、8月の消費者信頼感指数や同雇用統計をはじめとする重要な米経済指標が発表される見込みだ。また、週末にかけ名実とも月替わりをするだけに、需給要因の変化を気にする声も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、144.80-147.80円。ドル高・円安について、先週高値146.64円が最初の抵抗。超えれば強い抵抗はしばらくない。軽い青天井となるだけに148円近くまで達する可能性も。
対してドル安・円高方向は、目先的には145.70円レベルをめぐる攻防にまず注目。ただ割り込めば145円前後、そして先週安値144.54円がターゲットに。

注:ポイント要約は編集部

ドル高基調は継続か、米雇用統計などに注意

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