介入警戒で上値重いがドル高基調は継続
〇本日ドル円、基本はレンジ取引、16時現在146.30-35で欧州市場を迎える
〇7月実施のFOMC議事要旨、タカ派的な内容がドル買いを後押し
〇日米金融政策のギャップ再確認、ドルの大きい下落は予想しにくい状況
〇日本の通貨当局介入警戒感のなか、ドル高基調は当面続きそう
〇本日は米8月フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数の発表予定
〇ドル円予想レンジは145.50-146.80、ドル高・円安方向は146.55レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、146円をめぐる攻防にまず注目
<< 東京市場の動き >>
17日の東京市場はドルが小高い。一時年初来高値を更新する局面も観測されたが、上値も重く上げ渋りの様相だった。
ドル/円は146.35円レベルで寄り付いたものの、基本はレンジ取引。40ポイントにも満たないなかでの一進一退となったが、一連の過程のなかで146.55円レベルを示現し、前日記録した高値を一時更新する局面も。ただ、円買い介入警戒感などもありドル/円の上値は重く、16時現在では146.30-35円と寄り付きレベルへと小緩んで、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、16日に発表された米経済指標はマチマチながら、7月の鉱工業生産などは予想を上回り敢えて言えばドルの支援要因に。また、そののち公開された7月に実施されたFOMCの議事要旨において、「大部分の参加者はインフレには大きな上振れリスクがあり、さらなる金融引き締めが必要となる可能性があると見ている」−−などと指摘されたこともドル買いを後押ししていたという。なお、それとは別に、ブルームバーグはサマーズ元米財務長官が「最近の米10年債利回りの上昇は今後も続く可能性がある」と述べたと報じていたようだ。
対して後者は、15日に発表された7月小売売上高など経済指標がこぞって冴えないことなどもあり、中国の景気低迷懸念がそこここで取り沙汰されていた。また、単なる中国だけの問題にとどまらず、実際に米国のアデエモ財務副長官からは「中国の経済問題は米国と世界経済にとって逆風であることが証明されつつある」との発言も聞かれていたようだ。一方、そうしたなかWTOは、米政府が鉄鋼などに課した追加関税に対し中国が導入した報復関税について、不当との判断を示したと伝えられている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル高・円安の流れは止まらず、ドル/円はついに146円台乗せ。7日安値141.52円を起点としても上げ幅は5円を超えてきた。145円台は昨年9月に日本の通貨当局がドル売り・円買い介入を実施したレベルで、それを超えてなおドルはジリジリと続伸を続けていることになる。警戒感はこのあともくすぶり続けるなか、ドル高基調そのものはまた当面続くといった見方が有力だ。
日米金融政策への関心が依然として高く、短期的には来週のジャクソンホール会合が注視されるなか、前述したように昨日は7月に実施されたFOMCの議事要旨が公表されている。このあとの欧米市場では、発表される米経済指標などをめぐり一喜一憂が予想されるものの、日米金融政策のギャップが再確認されたこともあり、金利差などに着目した場合にはドルの大きく下落する展開は予想しにくい状況だ。下がったところは絶好の買い場と認識され、ドルは底堅い値動きも。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日ついに146円台乗せ。そして、フィボナッチの観点では高値151.94円を起点とした大きな下げ幅の76.4%戻し146.10円も超えてきた。もちろん一本調子に到達するとは思われないが、100%戻しの可能性も否定できない状況だ。なお、そんなドル/円においてしばらくは目立った上値メドが見当たらない。敢えて言えば148円半ばや148.80円などで、いずれにしても円買い介入警戒のなか、ドルはさらなる上値トライにも要注意だ。
本日は米経済指標として、8月のフィラデルフィア連銀景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される見込みとなっている。もちろん数字次第だが、ここ数日は為替市場においても材料視されることが少なくないだけに、本日も一応要注意か。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは145.50-146.80円。ドル高・円安方向は本日東京高値の146.55円レベルが最初の抵抗。超えれば147円に接近する展開も。
対するドル安・円高方向は、昨日乗せたあとしっかり割り込んではいない146円をめぐる攻防にまず注目。ただ、下回っても基本的には底堅そう。145円前半から半ばまでの下げが精々という気もしている。
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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