米CPIの発表注視、内容如何で荒い値動きも
〇本日ドル円、小幅に緩やかな右肩上がり、8/3高値143.89を超え144円台まで一時値を上げる
〇16時現在144円を割り込むも143.90-95のドル高値圏で推移し、欧米市場を迎える
〇144円を上限とした中レンジも上抜きかかる、リスクがドル高方向に高いことを再確認
〇次のターゲットは年初来高値の145.07、本邦当局筋による円買い介入警戒もいよいよ本格化か
〇本日夜は注目の7月米CPI発表、結果次第で上下ともに値の振れる危険性も
〇欧米時間のドル円予想レンジは142.70-144.70、ドル高・円安方向は144.10-15が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、東京安値も近い143円半ばをめぐる攻防にまず注目
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場はドルが小幅に続伸。3日高値を超え、7月7日以来の一時144円台も。
ドル/円は143.70-75円で寄り付いたのち、ドルは緩やかな右肩上がり。値動きそのものは50ポイント程度とそれほど大きくなかったが、3日高値143.89円を超えて144円台まで一時値を上げている。日経平均株価がザラ場ベースながら300円を超す上昇をたどったことなどが材料視されていたという。16時現在では、144円を割り込むも143.90-95円のドル高値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の政治情勢」と「中国情勢」について。
前者は、支持率低下に喘ぐ岸田政権が9月に「内閣改造」ならびに「党役員人事」を行うと読売新聞、時事通信で伝えられていた。ただ、細かな日程では両者に若干の差異があり、具体的には読売新聞が外交を含む政治日程を考慮した結果として「9月11-13日のあいだ」としていたのに対し、時事通信は時間的余裕乏しく「下旬」にズレ込むと報じていたようだ。果たしてより正しいのはどちらなのだろう。一方、それとは別に自民党の麻生副総裁が台湾講演で述べた「戦う覚悟が地域の抑止力に」とのコメントについて、麻生氏に同行していた自民党の鈴木政調副会長が「政府内部を含め、調整をした結果」と述べ、それがさらなる思惑を呼んでいたという。
対して後者は、昨日NY時間の終盤に「バイデン米大統領が、特定のハイテク分野における対中投資を規制する大統領令に署名」−−と伝えられている。様々なところで懸念も広がるなか、中国商務省は早々に「米国が市場経済の法律と公正な競争の原則を尊重し世界経済・貿易における交流と協力を人為的に妨げることを控えるよう望む」とした反対声明を発表。そのうえで、「中国は措置を取る権利がある」とし、対抗手段を検討していることを示唆していた。そうしたなか、バイデン氏が今月実施されるASEAN首脳会議を欠席する公算と伝えられており、アジアで近年影響力を高める中国を利するなどといった懸念を声も挙がっていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、143円を上限とした小レンジに続き、またしっかりとは超えていないが、本日東京時間を見ると144円を上限とした中レンジも上抜きかかっている模様だ。仮にしっかり超えてしまうと、次のターゲットは年初来高値の145.07円。そして、そんな円の続落となれば、盆休みの薄商いとなるなか本邦当局筋による「円買い介入」警戒もいよいよ本格化しかねないだろう。
日米金融政策への関心が依然として高いなか、本日のNY時間には注目の7月の米CPI(消費者物価指数)が発表される見込み。もちろん、その内容如何では上下ともに値の振れる危険性を秘めており、前述したようにレンジを上放れした場合には年初来高値をうかがう展開も。ただ商いが薄くなりつつあるなか、ポジションはかなり偏ってきていることもあり、上値トライが失敗に終わればドルは大きな反動安に見舞われるとしてドル急落を警戒する声も一部から聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように144円を上限とした「中レンジ」も本日東京時間に一時上抜けてきた。まだ完全に超えたとは言えないが、リスクがドル高方向に高いことを再確認したと言えるかもしれない。
ただ、本日はNY時間に注目の米CPI発表を控えており、その結果如何では流れが一変する可能性もある。その場合、142.80円レベルに位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限が最初のサポートとして意識される展開か。
本日は米経済指標として、7月のCPIや週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。また、230億ドル分の米財務省30年物四半期入札も見込まれており、こちらも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは142.70-144.70円。ドル高・円安方向は本日東京高値の144.10-15円が最初の抵抗。超えれば145.07円も薄っすら視界内に。
対するドル安・円高方向は、東京安値も近い143円半ばをめぐる攻防にまず注目。下回ると143円前後、そして一目の雲の上限が位置する142.80円レベルを目指す。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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