明日の米CPI発表にらみ基本は保ち合いか
〇本日のドル円、手掛かり材料難のなか動きにくい展開、終盤に掛けては若干ドル売り・円買いが優勢
〇143円を上限とした小レンジを8/8上抜けるも、144円が再び抵抗として意識されレンジ取引は継続
〇レンジ放れを試すのは8/10米CPI以降か。失敗すると次の材料は月末ジャクソンホール会合
〇ドル高円安方向は昨日高値143円半ばが最初の抵抗、超えれば8/3高値143.89がターゲット
〇ドル安円高方向、東京安値143円レベルの攻防に注目。下回ると先行帯雲上限がある142円半ば目指す
〇欧米時間のドル円予想レンジは142.70-143.80
<< 東京市場の動き >>
9日の東京市場はレンジ取引。143円台、40ポイント程度のレンジ内での一進一退に終始している。
ドル/円は143.35円レベルで寄り付いたものの、大きな動意はうかがえず。新規材料探しといった様相で、手掛かり材料難のなか動きにくい展開となった。ただ、日経平均株価の下げ幅が一時200円を超えたことなどが嫌気され、終盤に掛けては若干ドル売り・円買いが優勢に。16時現在では143.00-05円、日中のドル最安値圏で欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、引き続き米金融政策に注目が集まるなか、昨日は複数の米通貨当局者発言が聞かれていた。そのひとりバーキン・リッチモンド連銀総裁は「インフレは依然として高過ぎる」などと発言した反面、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は「米経済の軟着陸は実現可能」、「利上げを終了できる可能性がある」との見解を示していたという。なお、そうした状況を踏まえ、明10日には注目の7月の米消費者物価指数(CPI)発表が予定されている。如何なる数字となるのか注目だ。
対して後者は、「中国軍ハッカーによる日本の防衛省の最高機密網に侵入」疑惑が引き続き取り沙汰され思惑を呼ぶなか、訪台している自民党の麻生副総裁が現地講演で「戦う覚悟が地域の抑止力に」などと述べていたようだ。後者については、共産党などからの批判も聞かれたほか、中国からも反発の声が挙がっていた。一方、それとは別に中国メディアが、「福島県産などの食品を販売した地元業者の商品を当局が没収した」と伝えるなど、細かなところで執拗な日本叩きの動きははびこっているもよう。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、143円を上限とした小レンジを8日に上抜けるも、144円が再び抵抗として意識され結局レンジ取引。つまり、短期的には方向性をやや喪失しており、小レンジが1円ほど広がった141.50-144.00円程度の中レンジ取引をいま後しばらく続けることになるかもしれない。ちなみに、先でも指摘したように明10日には注目の米CPI発表を控えていることで、足もとのレンジを放れるとすればそれ以降か。
市場で現在もっとも注目されているのは、明日発表される7月の米CPI。もちろん、その内容如何では上下ともに値の振れる危険性を秘めており、前述したレンジ放れへの期待感も強い。日本が盆休み期間入りへと向かいつつあり、薄商いが予想されることなども荒っぽい値動きを警戒させる一因に。しかし、仮にレンジ放れに失敗した場合には、次の材料として早くも月末ジャクソンホール会合に関心が移行することも予想され、その場合には思いのほか足もとのレンジ取引が長期化する可能性も否定できない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は143円を上限とした小レンジを上抜けるも値は走らず、143円台を中心とした強保ち合い。ドル高機運のなか、一旦小休止といったところか。
短期的にはドルの強保ち合いが続くと予想されるものの、一目均衡表では現在上抜けている先行帯の雲の上限が週末にかけて142.80円台までさらにレベルを切り上げることから、一連の動きのなかで日足が雲の中に埋没する可能性も取り沙汰されていた。動静に注目だ。
本日は米経済指標として、MBA住宅ローン申請指数が発表される予定となっている。また、380億ドル分の米財務省10年物四半期入札も見込まれており、こちらを注視する向きも多いようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは142.70-143.80円。ドル高・円安方向は昨日高値の143円半ばが最初の抵抗。超えれば3日高値143.89円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、まずは東京安値143円レベルの攻防に注目。下回ると、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する142円半ばを目指す。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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