週末米雇用統計の前哨戦、ADP雇用統計を注視(8/2夕)

2日の東京市場はドルが小安い。143円挟みの一進一退をたどるなか、終盤に掛けてはややドル売りに押されている。

週末米雇用統計の前哨戦、ADP雇用統計を注視(8/2夕)

週末米雇用統計の前哨戦、ADP雇用統計を注視

〇本日のドル円、143円を挟んだ上下40ポイント、142.60-143.40のレンジ内での一進一退
〇年初来高値145.07起点の下げ幅76.4%戻し143.20-25をしっかり超え、次のターゲットは100%戻し
〇有力格付け機関フィッチが米国債を格下げで、イエレン米財務長官は強いトーンで非難
〇内田日銀副総裁、為替市場は「ファンダメンタルズを反映し安定推移が極めて重要」と円安けん制発言
〇本日、MBA住宅ローン申請指数や7月ADP雇用統計などの米経済指標が発表予定
〇ドル高・円安方向は本日東京高値143.35-40が最初の抵抗。超えれば昨日高値143.54が意識
〇ドル安・円高方向は、7/31に乗せてからほぼ下回っていない142円レベルが最初のサポート
〇欧米時間のドル円予想レンジは142.00-143.40

<< 東京市場の動き >>

2日の東京市場はドルが小安い。143円挟みの一進一退をたどるなか、終盤に掛けてはややドル売りに押されている。

ドル/円は143.30-35円で寄り付いたものの、基本的にはレンジ取引。143円を挟んだ上下40ポイント、つまり142.60-143.40円といったレンジ内での一進一退をたどっている。ただ、そのなかではなかなか激しい上下動をたどったうえ、日経平均株価の大幅安などもあり、終盤に掛けてはドル売りが目に付いた。16時現在ではレンジ下限の142.60-65円で推移、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは「米国債格付け」と「日本の金融政策など」について。
前者は、昨日NYの最終盤に、有力格付け機関のフィッチが「米国債の格付けを格下げする」と発表し一時騒然。具体的には「トリプルA(AAA)」から「ダブルAプラス(AA+)」へと引き下げられている。見通しは「安定的」。ちなみに、フィッチは格下げ理由について「今後3年で予想される財政状況の悪化」などを理由としていた。しかし、決定について、バイデン政権の当局者から「フィッチの決定は奇妙で根拠なし」とした不満の声が聞かれたうえ、イエレン財務長官からは「強く異議を唱える」としたさらに強いトーンの非難も聞かれていたようだ。

対して後者は、時事通信発で「自民党の安倍元首相に近い幹部から、大規模緩和修正警戒の声が上がる」などといった観測気球も聞かれるなか、内田日銀副総裁は参加した懇談会で「いまは粘り強い緩和継続が一番」、「イールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化は出口を意識したものではない」−−などと火消しともとれる発言を繰り返していた。なお、それとは別に内田氏は為替市場の動きに関連し、「ファンダメンタルズを反映したうえで、安定推移が極めて重要」とした初期の円安けん制発言を発していたという。

<< 欧米市場の見通し >>

7月31日、過去3週間程度推移していたレンジ上限の142円を超えたドル/円は、昨日さらにドルが続伸。143円半ばまで一気に上値を伸ばしている。フィボナッチで見た場合、年初来高値145.07円を起点とした下げ幅の61.8%戻しに続き、76.4%戻しの143.20-25円もしっかり超えた計算で次のターゲットは100%戻し。上昇スピードの速さやポジションの偏りなどを考えると、一気に到達するとは思えないが、ドルの上値の展望がさらに広がった感がある。
先で取り上げように、内田日銀副総裁など当局者が繰り返し否定しても、何故か信用しない「早期修正期待」論者は根強く存在する。引き続き日米の金融政策への関心が高く、この先も相場の波乱要因となりそうだ。そうしたなか、本日は発表されるADP雇用統計にまずは注目か。最近の動静を振り返ると、同指標と週末の米雇用統計にそれほど強い相関性はうかがえないものの、同じ雇用データということで仮に悪い数字が出るようだと雇用統計に対しての下振れリスクが強まる可能性も取り沙汰されていた。

テクニカルに見た場合、昨日のドル/円相場は7月7日以来の143円台を示現。そののち本日東京時間にはやや小緩んでいるものの、流れとしてはドル高・円安という見方に変化はないようだ。昨日高値143.54円を超えれば、いよいよ名実ともに年初来高値145.07円が視界内に。
しかし、水準的にはもちろん当局の円買い警戒レベルに達していることもあり、一転してのドル急反落への警戒もしておきたい。
本日は米経済指標として、MBA住宅ローン申請指数や7月のADP雇用統計が発表される予定となっている。真打ちは週末に発表される米雇用統計だが、前哨戦となる本日の雇用データにも一応要注意だ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは142.00-143.40円。ドル高・円安方向は本日東京高値の143.35-40円が最初の抵抗。超えれば昨日高値143.54円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、7月31日に142円台へと乗せたあと、ほぼ下回っていない142円レベルが最初のサポート。ただ下回っても底堅そうなイメージだ。

週末米雇用統計の前哨戦、ADP雇用統計を注視

ドル円日足


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