ドル円、米ADP雇用統計の力強い結果を受け、米債格下げショック後の下げ幅を全値戻し
〇ドル円、米債格下げで142.24に急落後、米ADP雇用統計の好結果に143.48まで急反発
〇ユーロドル、ECBによる金融引き締め休止観測等に、約1か月ぶり安値1.0918まで急落
〇日足ローソク足が主要テクニカルポイント上側で推移等、テクニカル的に見て極めて強い地合い
〇ファンダメンタルズも、日米金利差拡大等、ドル円相場上昇を連想させる材料揃う
〇本日の米主要経済指標の結果いかんで直近高値145.07に向け急伸するシナリオも想定
〇本日の予想レンジ:142.75ー144.25
海外時間のレビュー
2日(水)のドル円相場は急落後に急反発。(1)格付け会社フィッチ・レーティングスによる米債格付けの引き下げ発表(最上位の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げ)や、(2)上記1を背景とした対主要通貨でのドル売り圧力、(3)株式市場の急反落(米債格下げショック→世界的な株安→リスク回避の円買い圧力)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値142.24まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米7月ADP雇用統計(結果+32.4万人、予想+19.0万人)の力強い結果や、(5)上記4を背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは昨年11/9以来、約9カ月ぶり高水準となる4.12%まで急上昇)、(6)短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値143.48まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/3午前5時00分現在)では、143.38前後で推移しております。
2日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)格付け会社フィッチ・レーティングスによる米債格付けの引き下げ発表や、(2)上記1を背景とした対主要通貨でのドル売り圧力が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値1.1020まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)欧州株の冴えない動きや、(4)ECBによる金融引き締め休止観測(ドイツ債利回り低下に伴うユーロ売り圧力)、(5)米7月ADP雇用統計の力強い結果、(6)米長期金利の急上昇が重石となり、米国時間朝方にかけて、約1カ月ぶり安値となる1.0918(7/7以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/3午前5時00分現在)では、1.0937前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は「米債格下げショック」の影響で一時142.24まで急落するも、米ADP雇用統計の力強い結果を受けて143.48まで全値戻しする展開となりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上限、21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、4時間足で強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(昨日発表された米ADP雇用統計が市場予想を大幅に上回る力強い結果→年内追加利上げ観測再燃→米長期金利急上昇→対主要通貨でのドル買い再開)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は連日の指値オペを通じて円金利の急騰を抑え込む姿勢→昨日は内田日銀副総裁からも「粘り強く金融緩和続けていくべき局面に引き続きある」「YCCの運用柔軟化は金融緩和政策からの出口戦略を意識したものではない」とのハト派的な見解→対主要通貨での円売り再開)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード活発化期待など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米新規失業保険申請件数(21:30)や、米7月ISM非製造業総合指数(23:00)が良好な結果となれば、ドル円が6/30に記録した直近高値145.07に向けて急伸するシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はリッチモンド連銀バーキン総裁講演(21:30)にも注目が集まりそうです。
本日の予想レンジ:142.75ー144.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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