ドルは底堅い値動きか、荒っぽい変動に注意
〇先週のドル円、日米欧金融政策通過し週後半は連日上下3円も変動する大荒れ相場で前週比下落し越週
〇7/11以降は137.25-141.95のワイドレンジに留まるが抜けていくことが出来るのかに注目
〇今週、7月ISM製造業景況指数や同雇用統計などの重要な米経済指標の発表が相次ぐ
〇ドル高円安方向は、過去半月余り超えられていない141.95円が最初の抵抗
〇ドル安円高方向は、139.50-00が弱いサポート、割り込むと先週安値138.05も視界内に入るか
〇今週のドル円予想レンジは、138.80-143.30
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は荒れ模様。とくに週の半ば以降は連日2-3円もの乱高下をたどったすえ、ドルは前週比下落して越週している。
前週末22日未明、またもや北朝鮮による巡航ミサイル発射が確認された。一方、23日投開票のスペイン総選挙は即日開票され、右派の野党・国民党が第1党となったが過半数には届かなかった。
そうした状況下、ドル/円は141.70円レベルで寄り付いたのち、しばらくはレンジ取引。26日からの日米欧金融政策発表を控え、140-141円台での一進一退に終始した。しかし、そんな小動きは嵐の前の静けさだったのか、週の半ば以降は連日大荒れの様相に。たとえば週末の東京時間、日銀の金融政策発表を受けてドル/円は短時間のあいだに138-141円といったトータル上下3円もの変動を記録している。その後は落ち着きどころを探る動きをたどるなか、週末NYは141.20円レベルまで戻したが、週明け寄り付きレベルは回復できなかった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「日本の金融政策」について。
前者は、週間を通して実施される日米欧の金融政策発表の先陣を切り、日本時間の27日未明に米FOMCの結果として「0.25%の利上げ」が発表された。ちなみに今回の措置は全会一致であったとされるうえ、追加利上げの可能性にも言及されており、なかなか強気な内容。しかし、大勢としては予想の範囲内であったうえ、前述した「追加利上げ」の時期について、次回9月会合で実施するのか否かは明言しておらず、そのあたりに若干の不満を抱く強気派もあり、為替市場におけるドル買いニーズは薄かった。
対して後者は、週末22日付の読売新聞が「長期金利の利回り上限(0.5%)について見直しを議論することがわかった」と報じたことに続き、28日の日経新聞電子版は「日銀が今回の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)の修正案を議論する方針」などと指摘し物議を醸す。とくに後者は憶測を呼ぶと、一時ドル安の急落を招く一因にも。そうしたなか、実際の会合で日銀は「金融緩和の維持」ならびに「YCC政策運用の柔軟化」を発表した。今後の修正に向けた一歩を踏み出した格好ながら、そののち植田総裁は会見で「粘り強く金融緩和を継続する必要がある」などと従来を踏襲した発言に終始しており、拙速な政策転換はなかなか予想しにくいのかもしれない。
<< 今週の見通し >>
ここ数週間、ドル/円の変動はかなり荒っぽい。3週続けて週間レンジは4円を超えており、サマーバカンスなどで商いがやや薄くなるなか、値が飛びやすい環境にあるのかもしれない。今週は名実ともに8月入りし、さらに商いが薄くなることも予想されるだけに、これまで以上の乱高下などにも是非とも注意を要したいところだ。ただ、値動きそのものは荒っぽいが結果としてレンジ内、140円±2円程度の往来相場をたどる展開にも一応要注意。
市場の注目を集めていた日米欧の金融政策が先週出揃った。米国とECBはともに0.25%の利上げを実施するも、次回9月以降先行きの利上げ観測がやや後退したとの見方が有力視されている反面、日本については「YCC政策運用の柔軟化」を受けて今後の政策修正期待を抱く向きも少なくない。そうしたなか今週は発表される雇用統計など米経済指標の内容に一喜一憂する展開か。米国については、年内に少なくともあと1回の利上げが実施される見通しであることから、強い指標内容となれば次回会合での利上げ期待が強まる可能性かありそうだ。
テクニカルに見た場合、ここ数週間ドル/円相場の値動きは荒っぽいが結果としてレンジ取引。実際ややワイドではあるものの、11日以降の変動はというと137.25-141.95円のなかにとどまっている。今週は、まずは前述したワイドレンジを抜けていくことが出来るのか否かにまずは注目。
仮に上抜ければ次のターゲットは143.20-25円であり、逆に底割れした場合には136円割れに向け今後も緩やかな下降をたどる移動平均の200日線を目指す展開が見込まれているようだ。
そうしたなか今週は、7月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標の発表が相次ぐ。また先週の日米欧の金融政策に続き、今週は英国そして豪州で政策金利発表が実施される予定だ。こちらも注意しておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、138.80-143.30円。ドル高・円安については、過去半月余り超えられていない141.95円が最初の抵抗。抜ければ143.20-25円、さらには年初来高値145.07円を目指す。
対してドル安・円高方向は、139.50-00円が弱いサポートとして意識されそうだ。割り込んでも底堅いイメージではあるが、先週安値138.05円が視界内に入ってきそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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