ドル円 下値も確認したものの上値も限定的か(週報7月第4週)

先週のドル円は週初こそやや上値が重たい展開となっていましたが、徐々に安値を切り上げ、水曜には139.99レベルの高値をつけました。

ドル円 下値も確認したものの上値も限定的か(週報7月第4週)

下値も確認したものの上値も限定的か

〇先週のドル円、週初はやや上値の重い展開だが、7/20に140円の大台超え、翌日141.95レベルまで上昇
〇今回の日銀会合ではYCC含め現状維持との見方が大勢、7/14安値137.24レベルから5円近い反発
〇7/21の動きに対する神田財務官の牽制発言から、145円が高値圏との見方がコンセンサスに
〇米国0.25%利上げ、日本現状維持はほぼ確実、日米金利差は更に拡大
〇今週の金融政策発表後は、基本は円売りだが現行水準よりも上では徐々に円売りもしにくくなる流れか
〇今週は140.00レベルをサポートに142.25レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週初こそやや上値が重たい展開となっていましたが、徐々に安値を切り上げ、水曜には139.99レベルの高値をつけました。140円にはオプション絡みの大口ドル売りオーダーが入っていた様子で、いったん反落を見せたものの翌20日には140円の大台超えとなりました。金曜には日銀がイールドカーブコントロール修正の必要性は乏しいとのニュースに反応し、141.95レベルまで上昇後高値圏での引けとなりました。

7月中旬までは28日の日銀会合でイールドカーブコントロールの修正に着手するとの思惑が広がったことで円高に動いていましたが、G20で植田日銀総裁がハト派なコメントをしたことと、先週金曜のニュースヘッドラインを受けて今回の日銀会合ではイールドカーブコントロールも含めて現状維持との見方へと完全に戻り、14日安値137.24レベルから5円近い反発を見ることとなりました。いっぽうで金曜の動きに対して神田財務官は牽制発言をしたことで、145円が高値圏であるとの見方もコンセンサスとなりつつあります。

今週は夏休み前の金融政策ウィークということで日米に関しては米国が0.25%利上げ、日本は現状維持と日米金利差は更に拡大しますので、ドル円の取引に関してはどうしてもドル買い方向でのポジションでないと長期保有は困難です。シカゴ通貨先物の円売りポジションは一時期より減ったとはいえまだ高水準な状態が続いています。

米国の0.25%利上げも日銀の現状維持も、先週の段階でほぼ確実視されていることから、ほぼサプライズは無いと見られます。そうなると、イベント通過後の動きは基本は円売り、しかし現行水準よりも上では徐々に円売りもしにくくなるといった流れになるのではないかと見ています。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

高値をつけた後の下げで上も下も見た後のチャートとなっています。短期的には6月高値から7月安値への下げに対して61.8%戻しの142.07が最初のターゲット、その次のターゲットとして78.6%(61.8%の平方根)戻しの143.38となりますが、後者は日銀会合が終わった後につける可能性があるかもしれないという程度で、現状ではやや遠い印象です。

ただ、オプションがあった140円の大台は当面大きなサポートとして効いてくるであろうことを考えると、今週は大台140.00レベルをサポートに上のターゲットをやや超える142.25レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

7月24日(月)
07:45 NZ6月貿易収支
16:15 フランス7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:45 米国7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆

7月25日(火)
17:00 ドイツ7月ifo企業景況感
22:00 米国5月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
23:00 米国7月消費者信頼感 ☆、リッチモンド連銀製造業景況指数 

7月26日(水)
10:30 豪州4〜6月期CPI ☆
15:45 フランス7月消費者信頼感
23:00 米国6月新築住宅販売 ☆
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

7月27日(木)
15:00 ドイツ8月消費者信頼感
18:30 南ア6月PPI
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国4〜6月期GDP速報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国6月耐久財受注
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
23:00 米国6月住宅販売保留件数

7月28日(金)
08:30 本邦7月東京区部CPI ☆
10:30 豪州4〜6月期PPI
10:30 豪州6月小売売上高
**:** 日銀会合 ☆
14:30 フランス4〜6月期GDP速報値 ☆
15:30 植田日銀総裁会見☆
15:45 フランス7月CPI速報値 ☆、6月PPI
16:00 トルコ6月貿易収支
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感
21:00 ドイツ7月CPI速報値 ☆
21:30 米国6月個人所得・消費支出 ☆
21:30 米国4〜6月期雇用コスト
23:00 米国7月ミシガン大消費者信頼感

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月17日(月)
東京が休場となった週明けのドル円はアジア時間には動かず、欧州市場に入り米金利が低下する動きとともに売りが入り、一時137.99レベルまで下げていましたがそこまで。NY市場に入り発表された経済指標が予想よりも強く米金利が反転上昇するとドル買い戻しの動きとなり139.40レベルまで上昇、しかし上値も重く引けは週明けの寄り付きと同水準の138円台後半へと押して引けました。

7月18日(火)
ドル円は東京前場から上値が重たい展開となり、NY市場までじり安の展開を続けました。NY市場朝方に発表された経済指標が予想よりも弱く米金利低下とともに一時137.68レベルの安値をつけたものの137円台半ばではドル買いオーダーも入っている様子でした。その後、植田日銀総裁がハト派な発言をしたことから急速に買い戻しが入り、139.13レベルの高値をつけた後は高値圏でもみあいのまま引けました。

7月19日(水)
ドル円は前日の植田日銀総裁の発言が尾を引いてNY市場まで円売りの動きが続きました。欧州市場昼過ぎには139.99レベルの高値をつけましたが、140円の大台超えにはドル売りオーダーも入っていた様子で、いったんやや下げる動きを挟みました。NY前場に再び139.99レベルと2度目も140円を超えられず、139円台後半でもみあいのまま引けました。

7月20日(木)
ドル円は前日の欧州市場、NY市場で2度139.99レベルの高値をつけ140円の大台乗せに失敗した余波から東京市場では売りが先行。しかし前場のうちに底固めの動きとなり139円台半ばでNY市場入り後、新規失業保険申請が予想よりも少なくドル買いが強まりました。NY前場に140円の大台に乗せ昼過ぎには140.50レベルの高値をつけましたが、達成感も出て引けにかけては140円の大台に近づいて引けています。

7月21日(金)
ドル円は東京市場では小動き、欧州市場序盤に日銀がイールドカーブコントロール修正の必要性は乏しいと考えているとのヘッドラインをきっかけに円安に振れ、141.95レベルの高値をつけました。その後の海外市場では高値圏でもみあいのまま引けています。

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