日米金融政策注目、ただドルは底堅そう(週報7月第4週)

先週のドル/円相場はドルが逆行高。週末には約2週間ぶりとなる高値141.95円を一時示現している。

日米金融政策注目、ただドルは底堅そう(週報7月第4週)

日米金融政策注目、ただドルは底堅そう

〇先週のドル円、6/30高値145.07起点に7/14の137.25までの8円近い下げから、逆行高の展開
〇週間安値137.69まで弱含むも底入れ後は短時間で1円を超す急騰なども見られVの字型の急回復
〇週末は一時141.95と、7/14安値から4円を大きく超える戻りを記録し越週
〇ブルームバーグ「日銀はYCC副作用に対応の緊急性乏しいと認識」と報じドル買い円売りが再加速
〇今週は日米欧の金融政策発表が相場の波乱要因として意識
〇7月消費者信頼感指数や4-6月期GDP速報値など重要な米経済指標の発表も
〇今週のドル円予想レンジは139.50-143.50、ドル安円高方向は140円半ばや140円めぐる攻防に注目
〇ドル高円安方向は、MA21日線が位置するほかフィボナッチポイントも近い142円前後が最初の抵抗

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが逆行高。週末には約2週間ぶりとなる高値141.95円を一時示現している。

前週末は、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の閣僚会合で「英国がTPPに正式加盟」することが承認され、12ヵ国体制になると発表された。また、G20の財務相・中銀総裁会議を前に、G7の同会議が開催されたが出席した鈴木財務相は「外国為替相場に関する議論はなかった」と発言している。
そうした状況下、ドル/円は138.70円レベルで寄り付いたのち、当初ドルは冴えない。上値の重い状況のなか、週間安値である137.69円まで弱含む局面も観測されていた。しかし、底入れ後はVの字型の急回復。とくに週末はストップロスを巻き込みつつ、短時間で1円を超す急騰なども見られ、一気に142円近くへ。週末NYはそのままドルの高値圏で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の金融政策」と「穀物合意をめぐる動き」について。
前者は、18日まで開催されていたG20財務相・中銀総裁会議の終了後、植田日銀総裁が「物価目標の前提が変わらなければ、粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらない」などと発言し話題に。海外勢を中心に期待感が強まっていた「イールドカーブコントロール(YCC)」の修正観測に冷や水が浴びせられた。そののち、注視されていた日本の経済指標、週末に発表された全国消費者物価指数が上振れしたことで、修正期待派も一部で復活したものの、ブルームバーグが「日銀はYCC副作用に対応の緊急性乏しいと認識している」と伝えたことでドル買い・円売りが再加速する展開に。さすがに市場の大勢は「大規模緩和策の長期継続」想定を念頭に置いた動きになったようだ。

対して後者は、17日に期限切れを迎えたウクライナ産農産物の輸出合意について、ロシア大統領府のペスコフ報道官が「合意の履行を停止した」と正式に発表し、物議を醸す。続けて、自国の要求が満たされれば「直ちに復帰する」などとも述べていたが、世界各国からは非難が相次いでいた。そうしたなか、国連がロシア抜きの穀物輸出代替案を検討していると伝えられるなど次の一手が取り沙汰される反面、ロシア国防省は「ウクライナの港に航行するすべての船舶は、軍事物資を運搬している可能性のある船舶と見なす」とした強い警告を表明。またウクライナの発表によると、ロシアによる黒海沿岸空爆が実施されたようで「6万トンの穀物が喪失した」との別途報道も。今週も関連のニュースなどには要注意だ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は6月30日の直近高値145.07円を起点に、今月14日には137.25円まで8円近い下げをたどったが、先週はその逆行高。ドルは一時141.95円と、前述安値から4円を大きく超える戻りを記録していた。ちなみに、これを先の145.07円起点とした下げ幅のフィボナッチでみると、61.8%(142.05-10円)に近いレベルまで戻したことになるわけで、今週はまずそのレベルの攻防に注目だ。しっかり抜ければ全戻しも意識されかねない。
市場は日米を中心とした金融政策への関心が依然として高く、今週実施される日米欧の金融政策発表が相場の波乱要因として意識されている。日本については、一時台頭していた「7月にも日銀が政策修正に動く」といった期待感は鳴りを潜めた反面、米国についてはいまだ意見が割れている側面もあるようだ。「7月に再び利上げを実施するものの、そこで利上げは打ち止めになる」との見方が有力とされるが、7月を含め年内2回の利上げ観測も根強い。一方、欧州については米国同様、「7月に再び利上げが実施される」と予想されるものの、以降は見解が大きく分かれている。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は一時ザラ場ベースで137円前半に位置する90日線や200日線に一時接近する局面も観測されていたが、結局同ラインなどをサポートに週末には142円に迫る展開。むしろ遥か上方に位置していた21日線が再び目前に迫ってきており、その攻防に注目だ。ちなみに21日線、週明けは142円前後に位置するが、週末にかけては141円半ばまで低下すると予想されているだけに、途中で日足が上抜く可能性もある。再び21日線をサポートに、ドル/円は底堅い値動きをたどる展開も。

そうしたなか今週は、7月の消費者信頼感指数や4-6月期GDP速報値などといった非常に重要な米経済指標の発表が相次ぐ。また、注目の米企業決算発表なども予定されているものの、やはりもっとも注視されるのは日米そして欧州の政策金利発表となりそうだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、139.50-143.50円。ドル高・円安については、移動平均の21日線が位置するほか、フィボナッチポイントも近い142円前後が最初の抵抗。抜ければ143円、そして年初来高値145.07円を目指す。
対してドル安・円高方向は、140円半ばや140円をめぐる攻防にまずは注目。ただ、しっかり割り込んでも底堅そうで、137-138円台はやや遠くなった感がある。

日米金融政策注目、ただドルは底堅そう

ドル円日足


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