リスクはドル安、ただ調整の動きにも注意
〇本日のドル円、一時137.25レベルまで続落するも、終盤には寄り付きを超える138.40レベルまで反発
〇6/30高値145.07を起点におよそ半月で8円近く下落、リスクはドル安方向だが調整の動きにも注意
〇市場の米利上げ打ち止め観測が強まった感があるが、依然として米通貨当局者のタカ派コメントも相次ぐ
〇本日欧米時間のドル円予想レンジは137.60-139.10、ドル高・円安方向は昨日高値138.95が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、137.60-80が弱いサポートに
<< 東京市場の動き >>
14日の東京市場は最終的にドル高値引け。一時137円台前半まで下落したものの、終盤は逆にドル買戻しが目に付いた。
ドル/円は138.05円レベルで寄り付いたのち、しばらく揉み合い。137.80円レベルでは底堅さもうかがえたが、割り込むとそのまま日中安値の137.25円レベルまで続落となった。しかし、米金利が下げ止まったことなどもあり、徐々に買い戻されると終盤には「行って来い」の様相に。寄り付きを超える138.40円レベルまで反発し、16時現在でもドルはそのまま高値圏で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「ロシア情勢」と「米金融政策」について。
前者は、17日に期限切れとなる黒海を通じたウクライナからの食料輸出協定について、フォンデアライエン委員長から「ロシアは協定を延長する責任がある」などとした発言が聞かれたものの、当のロシアは強硬姿勢を崩さず。プーチン氏は「要求が満たされなければ黒海穀物合意を離脱する」との考えを改めて示していた。一方、それとは別にプーチン氏が「ウクライナがNATOに加盟すれば、ロシアの安全保障を脅かす」とし反対を再表明。対してバイデン米大統領は「ロシアは大きな問題を抱えている。ウクライナでの戦争に勝つ可能性はない」と指摘していたようだ。
対して後者は、米地区連銀総裁のなかで「もっともタカ派」と評されるブラード・セントルイス連銀総裁の退任が発表され、思惑を呼ぶ。向こう1ヵ月間は顧問として残るものの、FOMCをはじめとする職務からは一切手を引く意向を示していた。しかし、そうしたなかサンフランシスコ連銀総裁は「インフレ抑制に利上げが不可欠」、ウォラー米FRB理事も「今月末の会合で0.25%利上げしない理由はない」などと強気コメントを発していたという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円におけるドル続落は昨日も続き、ついに6営業日連続に。また、ザラ場ベースでは本日東京時間にもドルは続落、直近安値を更新する局面も観測されていた。そんなドルの下落幅は6月30日の直近高値145.07円を起点に、およそ半月で8円近くにも達する。基本的なリスクはドル安方向のバイアスが掛かるものの、短期的には行き過ぎ。週末の調整と思しきドル買戻しの動きにも注意を払いたい。
12日発表された米消費者物価指数に続き、昨日発表された同生産者物価指数も予想を下回る内容。市場の米利上げ打ち止め観測が一段と強まった感を否めない。ただ、先でも取り上げたように、米通貨当局者からは依然としてタカ派コメントも数多く発せられており、油断は禁物だろう。一方、日本については「7月にも日銀が政策修正に動く」といった期待感が根強い。そんな会合結果が明らかになる月末27-28日まで、円を積極的には売りにくいといった声も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先でも指摘したように145.07円を起点に、およそ半月で8円近くも下落。たびたびレポートしている5月安値133.50円を起点とした上昇幅を参考にすると、半値押しに続きフィボナッチ61.8%押し137.90-95円もしっかりと割り込んでいる。次なるサポートは76.4%押しの136.20-25円か。ただ、さすがにペースが早すぎるため、そろそろペースダウンする可能性も取り沙汰されていたようだ。
本日は米経済指標として、7月のミシガン大学消費者信頼感指数速報が発表されるほか、Jモルガン・チェースなど米金融機関を中心とした決算発表も予定されている。また、G20財務相・中銀総裁会議の出席に向け13-21日の日程でイエレン米財務長官がインドなどアジアを訪問する予定だ。こちらも一応注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは137.60-139.10円。ドル高・円安方向は昨日高値の138.95円が最初の抵抗。しかし、上値はかなり重そうで140円はかなり遠くなった感もある。
対するドル安・円高方向は、ドルが東京夕方急反発したことで137.60-80円が弱いサポートになりつつある。下回れば東京安値の137.25円レベルが再び視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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