要人発言注視しつつ、ドル上値は重い展開
〇本日のドル円、ドル買い戻しが優勢で上値を試す展開、一時143円台に乗せる
〇ドルの上値重く、夕方にかけ上げ幅を縮小、142.45-50で欧米市場を迎える
〇攻防の分岐点21日MA(142.60レベル)を先週末下回り、早々に回復なければドル続落リスク高まる
〇ロイター、イエレン氏が中国人民銀の潘副総裁を代表と言及したことから総裁への昇格が内定かと報じる
〇ドル高円安方向は現在下回っている21日MAと本日東京高値143円レベルの攻防に注目
〇ドル安円高方向は、先週安値142.07が最初のサポート、下回ると141.30レベルがターゲット
〇欧米時間のドル円予想レンジは141.70-142.90
<< 東京市場の動き >>
週明け10日の東京市場はドルが小高い。しかしドル買いは続かず、終盤に掛けては上げ幅を急縮小させている。
先週末は、米国が「ウクライナにクラスター弾供与」と発表したことが物議を醸す。またイエレン財務長官の訪中が終了するなか、自身は「一定の前進があった」と自画自賛していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は142.10円前後で寄り付いたのち、ドルの買い戻しが優勢に。日米株価や金利の動きをにらみつつ、ドル/円は上値を試す展開となった。一時143円台をワンタッチ。しかし、ドルの上値は重く勢い続かず、夕方に掛けて上げ幅を縮小させると16時現在では142.45-50円で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「ロシア情勢」と「米中情勢」について。
前者は、前述したように、米国が「ウクライナにクラスター弾供与」と発表したが、英国やカナダなどからは「供与反対」とのコメントが発せられていた。ただし、日本は松野官房長官が「2国間のやりとりであり、コメントは差し控える」と述べるなど、直接的な反対言及は観測されていない。一方、そうしたなか南アフリカ大統領が8月のBRICS首脳会議を対面式で開催すると発表し別途話題に。南アは国際刑事裁判所(ICC)の加盟国で、プーチン氏が出席すれば、理論上は身柄を拘束される可能性もある。
対して後者は、イエレン米財務長官が4日間の訪中を終了。そのなかで、様々な要人との会談を実施し、「直接的かつ生産的な話し合いができた」と振り返ったうえで、「両国関係の安定化に寄与した」と総括していた。なおロイターは、イエレン氏が、中国人民銀行の潘副総裁を「代表」もしくは「総裁代理」と繰り返し言及したことに着目。「潘氏の人民銀総裁への昇格が事実上内定したのではないかとの憶測が広がっている」と報じていた。金融市場関係者としては、真偽を含めた続報にも注目だ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、先週一週間を通しておおむね冴えず。週末には142円割れをうかがうレベルまでドル安が進行している。テクニカルに見た、攻防の分岐点である移動平均の21日線を先週末に下回ってきたこともあり、ドル高という基調そのものが転換したか否かは別にして、ドル高方向の動きは一旦仕切り直しか。むしろ短期的にはドルの上値も重く、上げ渋る展開をたどる公算が高いのかもしれない。
日米欧の金融政策が引き続き注視されている。米国については、先週明らかになった6月のFOMC議事録要旨は予想よりもタカ派の内容となったものの、週末の米雇用統計は失望を誘う格好で影響は相殺された。そうしたなか、今週発表される米消費者物価指数を注視している向きもあるようだ。果たして強弱どちらの内容となるのだろうか。なお、本日はバーFRB副議長の討論会参加など通貨当局者の発言機会が数多く予定されており、しっかりと注視しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は少なくともドルの上値トライが一旦終了。仕切り直しとなったことに間違いない。攻防の分岐点と目される21日線(142.60円レベル)を先週末に下回ってきたが、日足が「しっかり」下回るのは3月上旬以来。早々に回復しないと、ドルはむしろ続落など下値リスクを高めかねないだろう。仮にドルが続落した場合のターゲットは141.30円前後となる。
本日は米経済指標として、5月の卸売売上高や同消費者信用残高が発表されるほか、バーFRB副議長の討論会参加や、クリーブランド連銀総裁の講演など通貨当局者の発言機会が数多く予定されている。場合によっては市場の波乱要因に。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは141.70-142.90円。ドル高・円安方向は現在下回っている21日線、そして本日東京高値の143円レベルの攻防にまずは注目だ。
対するドル安・円高方向は、先週安値の142.07円が最初のサポートか。下回ると141.30円レベルがターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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