ドル高継続見込みも、21日線割れは気掛かり(週報7月第2週)

先週のドル/円相場はドルが大きく反落。木曜日までは下値が143円台と、それでも底堅く推移したが、週末に大きく値を下げた。

ドル高継続見込みも、21日線割れは気掛かり(週報7月第2週)

ドル高継続見込みも、21日線割れは気掛かり

〇ドル円、先週初は144円を中心に一進一退、方向性は乏しいが堅い値動き
〇週末、ドルは下値を試すと142.07まで大幅続落、週末NYは週間のドル安値を維持して越週
〇7/3米ISM製造業景況指数悪化でドル円下落、翌日FOMC議事要旨のタカ派的内容で影響は相殺
〇米ADP雇用統計の好数字等がドル支援、週末米雇用統計悪化で一気にドル売り・円買い強まる
〇短期的にはドル安進行の可能性はあるが大幅安はなく、底値確認後に再上昇に転じるか
〇今週は米6月消費者物価指数、7月ミシガン大消費者信頼感指数速報値等の発表に注意
〇週末にかけG20財務相・中銀総裁会議の開催、金融機関を中心とした米企業決算の発表予定
〇ドル高・円安方向は、週内に143円台まで値を上げてくる21日線が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、6/20安値141.22を探る攻防に注目
〇今週のドル円予想レンジは140.00-144.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大きく反落。木曜日までは下値が143円台と、それでも底堅く推移したが、週末に大きく値を下げた。

前週末1日、改正された中国の「反スパイ法」ともいえる法律が施行されたことが様々話題に。一方、ウクライナにおいては、ロシア軍が占拠するザポロジエ原発をめぐる懸念が取り沙汰され一部で思惑を呼んでいた。
そうした状況下、ドル/円は144.30円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。144円を中心とした一進一退をたどり、明確な方向性は乏しかった。一時的に143円半ばまで値を崩すも、早いタイミングで144円台を回復するなどドルの堅い値動きが観測されている。しかし、週末にドルは再び下値を試すと今度は浮上出来ず。そのままズルズルと142円割れを意識した142.07円まで大幅続落し、週末NYはそのまま週間のドル安値を維持したまま越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、週明けに発表された米ISM製造業景況指数が悪化。それも2020年5月以来の低水準まで落ち込んだものの、翌日公表された6月のFOMC議事要旨は予想よりもタカ派で結果的に影響は相殺された。その後発表された米雇用指標、ADP雇用統計が事前予想の2倍以上とかなりの好数字になったことを好感。また、ダラス連銀総裁からは「さらなる利上げが必要になる公算が大きい」との発言もあり、ドル高を支援していた。ところが、週間を通してもっとも注視されていた週末の米雇用統計が期待を裏切る内容に。非農業部門雇用者数は当月分が予想を下回ったうえ、前月分も下方修正されており、踏んだり蹴ったりの内容だった。為替市場では一気にドル売り・円買いが強まると、前述したように142円割れをうかがうレベルまで大きく下落している。

対して後者は、ロシア軍が占拠する南部のザポロジエ原発に対するテロ観測が強まると、金融市場だけでなく、一般社会情勢としても懸念材料として取り沙汰されていた。ウクライナ軍から「発電施設の屋根に爆破装置に似た異物が設置された」との警告が発せられたり、原発の主要な外部電源への接続が切れたりといった、なかなか悩ましい状況になったことが週間を通して相次ぎ伝えられている。なお、週末に向けてIAEAが「再接続された」とし、電源問題についての発表はなされたものの、原発そのものにおける懸念は依然として払拭しきれておらず、今週も引き続き注意を払いたい。

<< 今週の見通し >>

先週末、ドル/円が大きな下押しに見舞われたものの、さらに続落するか否か今週は正念場かもしれない。たとえばテクニカルに見た場合、以前にもレポートしたが1月安値127.22円を起点に3月137.91円まで2ヵ月弱で10円強の上昇をたどった際は、その後のわずか2週間ほどで8円もの下押しが観測されていた。翻って今回の起点が5月4日の133.50円とすれば、直近高値145.07円までやはり2ヵ月11.57円の上昇だ。前回を参考にすれば今週末から来週にかけて140円割れを目指す展開も否定できない。
引き続き日米欧の金融政策に関心を寄せる向きが多いなか、今週も基本的には発表される米経済指標などに一喜一憂する展開か。確かに週末発表された米雇用統計は冴えない内容だったが、その前に発表された6月のFOMC議事要旨は予想よりもタカ派で、日米金利差の拡大が見込まれているという状況には変化がない。短期的にいま一段のドル安進行も否定できないが、大幅安をたどるといった見方をする向きは少ない。むしろ、底値を確認後ドルは再上昇に転じるといった声が多いようだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場のドル高基調そのものは変わっていないものの、本格的な調整局面入りした感もある。とくに気になるのは、右肩上がりをたどってきた移動平均の21日線を先週末のNYクローズでも下回ってきたこと。今年5月などに数日間下回ったことはあるが、しっかり下回るとなると3月上旬以来。一連の動きのなかで、ドルは3月24日に130円割れ、129.65円まで下落している。今回も早々に21日線を回復できないようだと、ドルの下押しリスクが今後徐々に高まりそうだ。

そうしたなか今週も、6月の消費者物価指数や7月のミシガン大消費者信頼感指数速報値といった米経済指標の発表が相次ぐ。また、週末にかけてはG20財務相・中銀総裁会議が開催されるほか、金融機関を中心とした米企業決算の発表も実施される見込みだ。それらも一応要注意。 

そんな今週のドル/円予想レンジは、140.00-144.00円。ドル高・円安については、週内に143円台まで値を上げてくる21日線が最初の抵抗。抜ければ先週末の米雇用統計発表後高値にあたる143円半ばを目指す。
対してドル安・円高方向は、6月20日安値141.22円を探る攻防に注目。割り込むようだと140円前後がターゲットに。現状では138円台とかなり下方だが、一目均衡表の先行帯の雲の上限が現実のものとして意識されかねない。

ドル高継続見込みも、21日線割れは気掛かり

注:ポイント要約は編集部

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