クリントン大統領誕生を見据えた動き
前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 104.57 105.23 102.55 103.13
ユーロ円 114.85 115.68 114.02 114.89
ユーロドル 1.0982 1.1143 1.0936 1.1141
日経平均 17360.89 17473.12 16801.98 16905.36
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
10月31日(月)
週明け早朝市場では、金曜のクリントン候補の新たなメール問題を嫌気したドル売りが先行、ドル円は場外乱闘気味に104円台前半も付けましたが、その後は日米金融政策イベントを前に買い戻しが入り、NY市場の昼前には105.23レベルまでドル買いが進みました。NY後場にはNYダウがじり安となったことや、新たなメール問題に対応してクリントン氏のリードが急速に縮まっているとの世論調査も重なり、東京前場水準へ戻しての引けとなりました。
11月1日(火)
東京市場では動意薄の展開が続き、日銀の金融政策も予想通り現状維持で目立った動きは見られませんでした。東京後場に入り中国の強い経済指標に反応し、クロス円が強含む展開も見られましたが、NY市場に入り米国株が大幅安となったことから急速にリスクオフムードが高まり、クロス円は上昇前の水準へと戻し、ドル円は引けにかけて一時103.80レベルの安値を付けました。
11月2日(水)
海外市場まではFOMCを前にして動意薄の展開が続きましたが、前日からのドル安の流れは続き、FOMCでは現状維持に加え12月利上げの流れには変化なしとの見方から、材料視されないままNYの引けとなりました。
11月3日(木)
東京市場が休場となった3日のアジア市場ではトランプリスクを懸念したリスクオフの動きが加速しました。ドル円が102.55レベル、ユーロ円も114.02レベルまで水準を下げ、その後は短期筋の買い戻しも入り、前日NY終値近くまで戻したものの、上値は重く103円を割り込んでの引け。ユーロドルも基本的にドル円と同様の動きを辿り1.1126レベルの高値をつけた後にやや押して引けました。
11月4日(金)
金曜の為替市場は米国雇用統計を前に103円を挟んで動意の無い展開が続きました。しかし、雇用統計も予想の範囲内だったことからその後も同じような水準での取引を続け、8日の大統領選へと視点が移ってのクローズとなりました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
11月7日(月)
**:** 米国冬時間開始
08:50 日銀金融政策決定会合(9月20・21日)議事要旨公表
16:00 ドイツ9月製造業受注
18:15 コンスタンシオECB副総裁講演
19:00 ユーロ圏9月小売売上高
24:00 米国10月労働市場情勢指数
**:** ユーロ圏財務相会合
11月8日(火)
**:** 米国大統領選
09:30 豪州10月NAB企業信頼感
**:** 中国10月貿易収支
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
18:30 英国9月鉱工業生産
21:45 (シカゴ連銀総裁講演)
11月9日(水)
08:00 米国大統領選開票開始
08:50 本邦9月貿易収支
10:30 中国10月CPI、PPI
17:00 プラートECB理事講演
18:30 英国9月貿易収支
24:00 米国9月卸売在庫
24:30 米国週間原油在庫
25:45 クーレECB理事講演
27:30 (ミネアポリス連銀総裁講演)
29:00 NZ中銀政策金利発表
11月10日(木)
08:50 日銀金融政策決定会合(11月1日)主な意見公表
11:00 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
20:00 南ア9月製造業生産
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:15 セントルイス連銀総裁講演
23:30 コンスタンシオECB副総裁講演
30:30 NZ10月製造業PMI
11月11日(金)
**:** NY市場休場
16:00 ドイツ10月CPI確報値
23:00 フィッシャーFRB副議長講演
24:00 米国11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値
今週の週間見通し
メール訴追なしでクリントン氏勝利目前も、ドル買い材料とはならず?
先週は主要国の金融政策会合、米国雇用統計と重要イベントが目白押しの一週間でしたが、先々週のクリントン候補の新たなメール問題が尾を引いてリスクオフが株式市場、為替市場に重くのしかかる週となりました。メール問題が選挙結果を逆転させるところまでは無いだろうという情勢の中、万が一トランプ大統領誕生ではあまりに不透明感が強すぎるという背景からです。
しかし、週明け早朝にFBIがクリントン候補にメール問題での訴追を求めないと発表したことから再び情勢は先々週のメール問題前の流れへと戻りつつあり、順当に行けばクリントン候補の勝利という流れで進んでいきそうです。ただ、今回の大統領選では両候補どちらが勝っても相場的には米国買いにはつながりにくいとの見方が大勢で、クリントン大統領誕生でも素直にドル買い材料とはならないと考えられます。
トランプリスクによるリスクオフの巻き返しが終わった後は、議会運営の面(連邦議会選挙では下院は共和党、上院は両党とも過半数を取り得る情勢)の動向にも注目したいところです。更に、クリントン候補もどちらかというと保護主義的な立場を取っているため、為替相場特に円については円安を望まない(実際にそれに近い発言もしている)流れとなりそうです。
週初のドル買いの動きでも、新たなメール問題が起こる前の水準はおろか、104円台半ばでドルの上値が重くなってきていて、105円台はやはり高値圏であるとの見方が徐々に広まり、結果としてドル売りオーダーが増えて来るという流れはいかにもありそうです。もちろん9日の日本時間午前8時からの開票速報は気になるところではありますが、既にクリントン大統領誕生後を見据える動きが始まっていると言えそうです。
レジスタンス104.39、104.89、サポート103円台前半
テクニカルな観点から考えますので、日足チャートをご覧ください。
大きくは6月安値からのサポートラインと、7月高値からのレジスタンスラインの中での動きと見ています。後者のレジスタンスについては先々週高値105.53をレジスタンスラインを結ぶ高値として使用しているため、今後の動き次第では引き直す必要も出てくるかもしれませんが、現状では同線がレジスタンスとして効いていると考えられます。
また105.53と先週安値の102.54とのフィボナッチ・リトレイスメントを見ると61.8%戻しが104.39、78.6%(61.8%の平方根)戻しが104.89です。後者の105円手前ではいったん戻り売りを考えることが妥当です。いっぽう、サポートに関しては新たなメール問題が出てくる前の安値圏103円台前半(10月19日安値103.17レベル)では、買いも出て来るという流れと考えられます。
大統領選の蓋を開けるまでは様子見が強まり、開票が進むにつれ一時的な振れは考えられますが、今週は103.00レベルをサポートに、105.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておけば大きく外すことは無いものと考えています。
なお、今週から米国が冬時間に移行するため、為替市場は東京時間午前7時が一日の始まりとなります。米国経済指標の発表も1時間遅くなっていますので、ご注意ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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