ドル円、約7カ月半ぶり高値圏へ上昇。本日は各国の政策金利発表イベントに注目(6/22朝)

21日(水)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、約7カ月半ぶり高値圏へ上昇。本日は各国の政策金利発表イベントに注目(6/22朝)

約7カ月半ぶり高値圏へ上昇。本日は各国の政策金利発表イベントに注目

〇ドル円、日銀関係者のハト派発言、米金利上昇に米国時間にかけ142.37まで急伸
〇パウエル議長は緩やかなペースでの金利引き上げ方針示し米長期金利低下、円は141.82レベルに軟化
〇ユーロドル、米長期金利低下とECB関係者のタカ派発言に米国時間に一時1.0991まで急伸
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上側で推移、テクニカル的に見て、地合いは強い
〇ファンダメンタルズも日本とその他の国の金利差拡大が円売りに作用
〇各国の政策金利発表イベント(ノルウェー中銀、スイス中銀、英中銀、トルコ中銀)に注目
〇本日の予想レンジ:141.25ー142.75

海外時間のレビュー

21日(水)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値141.28まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)安達日銀審議委員による「一番恐れているのは拙速な政策変更で再びデフレに陥ること」「円安修正のために金融政策使うと物価目標への道を阻害してしまう」との慎重な発言、(3)植田日銀総裁による「経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく」との慎重な発言、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)パウエルFRB議長・議会証言における「インフレ圧力は依然として高く、インフレ率を2%に戻すにはまだ長い道のりがある」「ほぼ全員の参加者が、年内にはさらなる利上げが適切と想定している」との原稿公表が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値142.37(昨年11/11以来、約7カ月半ぶり高値圏)へと急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)パウエルFRB議長による「利上げの初期段階ではスピードが重要だったが現在はそれほど重要ではない」「より緩やかなペースでの金利引き上げが合理的かもしれない」との慎重な発言や、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/22午前5時20分現在)では、141.82前後で推移しております。尚、昨日はクックFRB理事による「インフレ率はまだ目標に戻っていない」との発言や、アトランタ連銀ボスティック総裁による「2024年の利下げは予想せず」との発言が見られましたが、ドル円相場の反応は限定的となりました。

21日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。欧州時間朝方にかけて、安値1.0905まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ECBによる金融引き締め長期化観測(ECB当局者による連日のタカ派発言)や、(2)パウエルFRB議長による「利上げの初期段階ではスピードが重要だったが現在はそれほど重要ではない」「より緩やかなペースでの金利引き上げが合理的かもしれない」との慎重な発言、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)スロバキア中銀カジミール総裁による「インフレがすぐに低下するとは予想していない」「コア・インフレは依然として頑強」とのタカ派的な発言、(5)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「2%のインフレ目標は達成可能だが、依然として長い道のり」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0991(5/11以来、約1カ月半ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/22午前5時20分現在)では、1.0989前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時142.37まで急伸するなど、昨年11/11以来、約7カ月半ぶり高値圏へと上昇しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、4時間足ベースでも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる追加利上げ観測の高まり(議会証言で「ほぼ全員の参加者が、年内にはさらなる利上げが適切と想定している」ことを確認)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(昨日は安達日銀審議委員や植田日銀総裁より政策修正に慎重な発言)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利拡大に伴う円キャリートレードの活発化期待)、(4)日本とその他各国との金利差拡大(クロス円上昇→ドル円連れ高)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。こうした中、本日は、上記4を確認する目的で、各国の政策金利発表イベント(ノルウェー中銀、スイス中銀、英中銀、トルコ中銀)に注目が集まります。ノルウェー中銀、スイス中銀、英中銀はいずれも25bpの追加利上げが予想されており、また、トルコ中銀は1150bpもの大幅利上げが見込まれているため、先週のオーストラリア中銀、カナダ中銀、欧州中銀の利上げに続いて、日本とその他各国との金融政策格差が意識されやすく、クロス円上昇→ドル円連れ高の波及経路が想定されます。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は上記(各国の政策金利発表)以外にも、米経済指標(米5月シカゴ連銀全米活動指数、米1ー3月期経常収支、米新規失業保険申請件数、米5月中古住宅販売件数、米5月景気先行指数、米6月カンザスシティ連銀製造業活動指数)や、米当局者発言(ウォラーFRB理事講演、ボウマンFRB理事講演、パウエルFRB議長の上院銀行委員会証言、クリーブランド連銀メスター総裁講演、リッチモンド連銀バーキン総裁講演)など、重要イベントが目白押しとなります。

本日の予想レンジ:141.25ー142.75

注:ポイント要約は編集部

約7カ月半ぶり高値圏へ上昇。本日は各国の政策金利発表イベントに注目

ドル円日足

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