ドル高再燃の感あるが高値掴みにも注意
〇本日のドル円、寄り付き後ドルは続落し140円割れ、139.85レベルまで下げる
〇その後、日銀会合の結果として大規模金融緩和維持が発表されると、1円以上ドル高・円安が進行
〇ECBは6/15の理事会で予想通り0.25%の利上げ実施、8会合連続の利上げ、次回会合での利上げも示唆
〇ドル円のリスクはやはりドル高と考えられるが、強気になり切れない面も
〇欧米時間のドル円予想レンジは140.20-141.70、ドル高・円安方向は141円半ばが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、140.70-80が短期のサポートになるか
<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場はドルが堅調裡。昨日ドルの一段高トライが失敗に終わったものの、再び反騰高に向けた流れが観測されていた。
ドル/円は140.25円レベルで寄り付いたのち、ドルは続落。前日の流れを継ぐ格好で一時140円割れまで下落している。しかし、鈴木財務相から「為替は過度な変動が望ましくない」とした口先介入が聞かれるなか139.85円レベルで底入れ。また、そののち注目の日銀会合の結果として、「大規模金融緩和を維持」が発表されると基調が一変し、結果的に1円以上もドル高・円安が進行した。16時現在では141円近く、そのままドル高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「日欧金融政策」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、ECBが15日の理事会で予想通りとなる「0.25%の利上げ」を実施した。8会合連続の利上げになる。また、ラガルド総裁は次回会合でも利上げを示唆するコメントを発しており、金利差的にはドルや円より有利な状況に置かれているようだ。一方、日本は前述したように、本日昼ごろ日銀会合が「大規模金融緩和維持」を発表していた。なお、その後の会見で植田総裁から「2%物価安定目標の達成にはなお時間かかる」といった趣旨の発言も聞かれていたとされ、円売りの支援要因に。
対して後者は、北朝鮮が日本などに「人工衛星を打ち上げる」と通報した予告期間が今月11日午前0時に終了するなか、15日の欧米時間に「弾道ミサイル」と思しき飛翔体2発が発射されている。ちなみに、北朝鮮による弾道ミサイルの発射は今年に入って9回目。発射前後に北朝鮮国防省から15日まで米韓が実施していた最大規模の火力訓練についての「警告」コメントが観測されており、合同訓練に反発した動きとみられているようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日のドル/円は140.93円の年初来高値を上抜け、一時141円半ばの高値を示現。しかし、終わってみれば日足は1円以上の上ヒゲを残すなど、ドルの上値トライは失敗に終わったようだ。そのため、本日東京で140円割れまで続落した際には「やっぱり」と思ったのだが、あっという間にドル逆行高となった。昨日高値も再び視界内に捉えられている。正直、あまり強気になり切れない面もあるものの、リスクはやはりドル高と考えて間違いないだろう。
今週予定されていた日米欧の金融政策発表はすべて終了。米国は「利上げ見送り」も「今後の追加利上げ」が示唆されるなか、欧州は「0.25%の利上げ」が実施されたうえ「追加利上げ」も期待されている。それに対し、日本は「利上げ見送り」だけでなく「しばらく利上げは予想しにくい」といった内容だ。いずれにしても、それぞれがかなり対照的な内容で、為替市場の先行き見通しに影響を与える可能性は否定できない。ただし、日本については当局からの円安けん制発言などがドル/円のさらなる上昇を阻む展開にも一応要注意。
昨日年初来高値を一時更新したドル/円相場だが、テクニカルに見た場合、それほど強気にはなれない足形。本日東京時間におけるVの字型の急回復にも、違和感を拭えない。昨日高値141円半ばを超えれば、昨年11月の142.25円やフィボナッチポイントにあたる142円半ばを目指す展開が予想されるものの、あまり強気に傾斜しすぎず予断を持たずに臨みたい。
本日は米経済指標として、6月のミシガン大学消費者信頼感指数速報が発表される予定だ。昨日発表された米経済指標は好悪混在の内容だったが、次回米FOMCに向けた材料のひとつとして注視している向きもあるようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは140.20-141.70円。ドル高・円安方向は昨日記録した141円半ばが最初の抵抗。抜ければ強い抵抗がなく142円台乗せも否定できない。
対するドル安・円高方向は、時間足など短めのチャートを見ると140.70-80円が短期のサポートになりそうな感。ただ下回ると140円割れ、東京安値の139.85円レベルが再び視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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