予断許さないが基本的にはレンジ続く見込み
〇東京市場のドル円、139.65まで下落するも夕方に掛けて買い戻され、139円台後半で欧米市場迎える
〇来週の米FOMCをにらみつつ、本日も基本的には138.44-140.93というレンジが続く見込み
〇米利上げ、強気派が勢いを増しドルの支援要因となりそうだが、本邦の円安けん制がドル上値を抑制か
〇ドル高・円安方向は昨日高値140.25が最初の抵抗、ドル安・円高方向は139.65をめぐる攻防に注目
〇本日欧米時間のドル円予想レンジは139.20-140.30
<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は結局レンジ内。一時下値を試すも攻め切れず、ドルは反発して取引を終えている。
ドル/円は140.15円レベルで寄り付いたものの、利益確定売りなどに押されてドルがじり安推移。140円を割り込み、139.65円レベルまで一時値を下げた。しかし、下値も堅く下げ止まると夕方に掛けては逆に買い戻しが優勢に。140円近くまで値を戻し、16時現在ではそのまま139円台後半で推移、欧米市場を迎えている。
なお、連日動静をレポートしているトルコリラは本日も軟調裡。ドル/リラはまたもやドル高値を更新している。ただ、昨日のようなリラ急落はみられず、値動きそのものはやや落ち着いてきた。
一方、材料的に注視されていたものは「中国情勢」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、ここ最近中国と英国の熾烈なやり取りがなされている。そのひとつは、中国が外国で秘密裏に警察拠点を設置しているとされる問題について。英政府が「中国はすでに英国拠点を閉鎖」と発表したことについて、中国政府は「いわゆる秘密警察の拠点はまったく存在しない」と真っ向から反論した。また、それに続き今度は英政府が「機密性の高い政府施設から中国製の監視装置を撤去する」と表明している。こちらも新たな両国の火種となりかねない。
対して後者は、ウクライナで6日に発生した「大型ダム破壊」について、国際世論はロシア犯人説にやや傾斜しているようだが、まだ断定までには至っていない。そもそも当のロシアは、プーチン氏から「ダム破壊は野蛮な戦争犯罪」であると、事実上ウクライナを非難するコメントが発せられている。なお、ウクライナ、ロシアの大統領と相次いで電話会談したトルコのエルドアン大統領は、ダム決壊の原因究明に向けた国際的な調査委員会の設置を提案しており、遠くない将来に協議が行われる可能性もありそうだ。今後の展開が注目されている。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日のドル/円相場は、139円台を中心に激しい上下動を一時記録するも大局的にはレンジ内。下値も上値も攻め切れず、そして本日東京時間もその流れは続いている。短期的に方向性を見失っている模様だ。昨日レポートしたように、来週の米FOMCをにらみつつ、若干広めではあるものの5月末からの138.44-140.93円という2.5円レンジが本日も基本的には続く見込みだ。
金融市場の関心は米金融政策、来週予定されている米FOMCに移行。そんなFOMCの見通しについて、意見が集約されているわけではないものの、一昨日の豪中銀に続き昨日はカナダ中銀がともに予想外の利上げに踏み切ったことで、米国についても強気派が勢いを増しつつあることは間違いない。引き続きドルの支援要因として寄与しそうだ。しかし、その一方で140円以上においては日本サイドからの円安けん制の動きがドルの上値を抑制する、といった声も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、前述したようにドル/円は138.44-140.93円という2.5円レンジを形成しているが、期間を狭めれば139.00-140.50円という1.5円レンジに集約される。本稿執筆時、東京16時段階で推移している139.80円台は、ちょうどその真ん中で非常に居心地の良いレベルだ。いずれにしても、まずは前記した目先の狭い1.5円レンジから、如何にそしてどちらに放れるのかが注視されている。
本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や4月の卸売売上高などが発表される予定だ。一方、それとは別に訪米している英国のスナク首相がバイデン米大統領と首脳会談を実施する見込み。広義の政治ファクターにも一応要注意か。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは139.20-140.30円。ドル高・円安方向は昨日高値140.25円が最初の抵抗。抜ければ140.45円、そして140.93円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値139.65円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回れば昨日安値139.03円を目指す展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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