ドル円 リスクオンから136円台後半がターゲット(週報5月第3週)

先週のドル円は、135.76レベルまで上昇し高値引けと週後半に動きが集中した一週間でした。

ドル円 リスクオンから136円台後半がターゲット(週報5月第3週)

リスクオンから136円台後半がターゲット

〇先週のドル円、予想下回ったCPIきっかけに下落後、金曜には135.76レベルまで上昇し高値引け
〇日経平均が強く、2021年11月以来高値をつけたリスクオンの動きが円売りに動いた要因の一つに
〇米金融市場に対する不安が落ち着けば、金利差からドル円での買いが出てくる流れに変化は無いか
〇5/16に延期された債務上限問題の協議がまとまらない場合はいったんリスクオフの動きにつながる
〇134.85レベルをサポートに136.85レベルをレジスタンスとする流れと見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、水曜までは135円前後で底堅いながらも狭い値幅でのもみあいを続けていましたが予想よりも弱かったCPIをきっかけに下落、米銀の経営不安や債務上限問題といったリスクオフ材料もある中で、翌日には一時133.74レベルの安値をつけました。しかし下がったところでの買いも根強く、金曜にはミシガン大消費者信頼感速報値において期待インフレ率が予想よりも高かったことをきっかけとした米金利上昇により135.76レベルまで上昇し高値引けと週後半に動きが集中した一週間でした。

金曜の米金利上昇は3.47%まで上昇したもののCPI前の3.5%台には戻していませんので、米金利によるドル買いだけでなく円売りという側面も強かったと思います。先週は日経平均株価が強く、2022年高値を上抜け2021年11月以来の高値をつけたリスクオンの動きがドル円での円売りに動いた要因のひとつで、今後2021年9月以来の3万円の大台を視野に入れてくるとドル円も底堅い動きが続きそうですし、米国内の金融市場に対する不安は残るものの落ち着いてくれば金利差からドル円での買いが出てくるという流れに変化は無さそうです。

ちなみに12日に予定されていた債務上限問題の協議は16日に延期されたため、明日の協議結果を見るまでは積極的な円売りには動きにくいはずです。その後バイデン大統領は17日には日本に向かい18日に来日、19〜21日の広島サミットに参加となっているため、16日に決まらないと月末までに残された日数がわずかとなりますので、まとまらない場合にはいったんリスクオフの動きにつながるのではないかと見られます。逆にまとまればそれをきっかけに安心感が広がりリスクオンという流れでしょうか。

今週は他にも経済指標やFRB関係者の発言はありますが、それほど影響が大きい経済指標ではありませんし、次回FOMCは6月14日とまだ1か月近くあり、その間には重要な経済指標の発表もあることを考えると、現時点でのFRB関係者の発言もそれほど気にする必要は無いと思われます。

現時点でのコンセンサスは6月は現状維持(5.0〜5.25%)ですが、それとは異なり引き続きタカ派な発言が出てくるのか、トーンダウンするのかという点だけ気にしておく程度です。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

テクニカルには先週示した133.80〜135.80レベルから今週は一段ドル高・円安にシフトしてきたと見ることが自然です。先週木曜まで高値となっていた135円台半ばが現状は既に最初のサポート、そして135円の大台が次のサポートと見てよいでしょう。それよりも下だと大きくは4月安値からのサポートライン(ピンク)が位置する134円台前半となりますが、距離があり遠い印象です。135円を若干割りこむ程度がいいところでしょう。

いっぽうで上値は5月高値と安値の61.8%戻しは既に月曜前場に付けていますので、次は78.6%(61.8%の平方根)戻しの136.85を考えることとなります。これら両水準を参考にして、今週は134.85レベルをサポートに136.85レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月15日(月)
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
21:10 ドイツ連銀総裁講演 ☆
21:30 米国5月NY連銀製造業景況指数 ☆
21:45 (アトランタ連銀総裁講演)
22:15 ミネアポリス連銀総裁講演 ☆

5月16日(火)
06:00 クックFRB理事講演 ☆
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
11:00 中国4月鉱工業生産、小売売上高
15:00 英国4月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値 ☆
18:00 ドイツ5月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏3月貿易収支
18:30 南ア1〜3月期失業率

21:15 (クリーブランド連銀総裁講演)
21:30 米国4月小売売上高 ☆
22:15 米国4月鉱工業生産 ☆、設備稼働率
23:00 米国3月企業在庫
23:00 米国5月NAHB住宅指数 ☆
25:15 NY連銀総裁講演 ☆

5月17日(水)
08:00 (アトランタ連銀総裁講演、シカゴ連銀総裁講演)
08:50 本邦1〜3月期GDP速報値 ☆
10:30 豪州1〜3月期賃金指数
18:00 ユーロ圏4月CPI
20:00 南ア3月小売売上高
21:30 米国4月住宅着工・建築許可 ☆
23:30 週間原油在庫統計

5月18日(木)
07:45 NZ1〜3月期PPI
08:50 本邦4月貿易収支(通関)
10:30 豪州4月失業率
21:30 米国5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 米国4月中古住宅販売 ☆、景気先行指数
**:** バイデン大統領来日(サミット参加)

5月19日(金)
**:** トルコ市場休場
07:45 NZ4月貿易収支
08:01 英国5月消費者信頼感 ☆
08:30 本邦4月CPI ☆
15:00 ドイツ4月PPI ☆
22:55 シュナーベルECB理事講演 ☆
24:00 パウエルFRB議長講演 ☆
**:** G7サミット(〜21日@広島)☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月8日(月)
週明けのドル円はLDN市場が休場ということもあって終日135円の大台を挟んで小動き、方向感のはっきりしないまま終わりました。

5月9日(火)
ドル円は月曜に続き135円を挟んだ小動きが続きましたが、米金利上昇によるユーロドルでのドル買いの動きが入ったことからドル円も底堅い地合いでの引けとなりました。

5月10日(水)
ドル円は東京市場では底堅い動きを続け、後場には一時135.47レベルと週間高値を更新しましたが、値幅は伴わず米国CPI発表待ちという流れがNY市場まで続きました。CPIは総合CPIが4.9%と予想よりも低かったことを受け、米金利が週初の水準まで低下、ドル円も急速に値を下げNY後場には134.11レベルまで売られ、若干戻しての引けとなりました。

5月11日(木)
ドル円は東京朝方に下押し後買い戻されていたところに、ユーロドルの売りとともにドル買いの動きが強まり、欧州前場には134.84レベルの高値をつけていました。しかしNY市場では米地銀経営不安のニュースを受け米金利が低下、株安とともにドル円もドル売りで反応、133.74レベルの安値をつけました。その後引けにかけては急速に買い戻しも入りNYで下げ始める前の水準に戻して引けました。

5月12日(金)
ドル円は東京前場には動かず、後場以降は底固めする米金利の動きとともにやや底堅い値動きとなりました。その後もNY市場までじり高の展開を辿りましたが、ミシガン大消費者信頼感速報値において期待インフレ率が予想よりも高かったことから米金利が上昇、ドル買いの動きが強まりNY昼過ぎには135.76レベルまで水準を切り上げ、そのまま高値圏での週末クローズとなりました。

ディスクレーマー

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