イベント多く神経質な展開か(週報2016年10月第五週)

先週のドル円は10月初めからのドル買い戻しの動きが再開し、105円台前半までドルが買われる一方で、

イベント多く神経質な展開か(週報2016年10月第五週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値     高値    安値    終値

ドル円  103.92   105.54   103.72   104.71
ユーロ円 113.06   115.33   112.84    115.06
ユーロドル 1.0880   1.0992  1.0851   1.0986
日経平均 17216.56 17461.03 17162.21 17446.41

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

10月24日(月)

東京市場では小動き、前週後半のユーロ売りの流れも一服し安値圏でのもみあいから、買い戻しも見られる状態となっていました。ドル円は海外市場に移るまでは全く動かず、夜間取引で株価先物が上昇する動きに引っ張られてリスクオンの円売りの動きが見られました。ドル円はNY市場で104.32レベルまで買われ高値圏でのクローズ、ユーロドルも1.09台には乗せきれず、やや失速しての引けとなりました。

10月25日(火)

東京市場では株高がリードする形でドル円、クロス円とも円安気味に推移しました。NY市場に入りドル円は直近高値を上抜けると一時104.87レベルの高値をつけたものの、105円台ではドル売りオーダーが見えていること、また前日のイラクからの話などOPEC減産に対する不透明感が増し原油価格が下落、株価も下げに転じると日計り組のストップも巻き込みながらドル円は104.12レベルまで水準を切り下げ、安値圏でのクローズとなりました。いっぽうユーロドルは、NY市場で一時1.0851レベルをつけましたが、その後は元の水準へと戻し引き続き底堅い展開となりました。

10月26日(水)

東京市場のドル円は、104円台前半の狭いレンジで細かな上下を繰り返すのみ、まったく方向感の無い流れを続けました。NY市場に入り、夜間取引で下げていたダウが上昇したこともあって、もみあいを上抜ける動きとなりましたが勢いは無いま104円台半ばでの引け。ユーロドルは最近の底値固めをやや上抜け1.0947レベルまで上昇したものの、引けにかけては失速し1.09近くへ下げてのクローズとなりました。

10月27日(木)

東京市場では株価の下げとともにドル売りが先行したものの限定的な動きで、その後はじり高の動きとなりました。NY市場に移り225先物が夜間取引で買われたことや米金利の上昇を背景にドル円は一段高となり、直近高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込みながら105.35レベルの高値をつけました。いっぽうユーロドルはユーロ円の買いにも支えられ1.0942レベルの高値をつけたものの、前日同様に1.0950レベルには売りもいる様子で失速、1.09を割り込んでの引けとなりました。

10月28日(金)

NY市場が始まるまでドル円は105円台前半の高値圏で膠着、ユーロドルはポジション調整からじり高の展開となっていました。NY朝方に発表された7〜9月期GDP速報値は予想よりも強かったもののドル買いは限定的でドル円も105円台半ばを超えていく動きにはつながりませんでした。NY後場に入りFBIがクリントン候補のメール問題を再調査するとのヘッドラインが流れると、それまでのポジション調整からドル円は104円台半ばへと1円の急落、ユーロドルは1.10の大台目前まで一段高の動きとなり、大統領選投票日を前に不安材料がのしかかっての週末クローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月31日(月)
**:** 日銀金融政策決定会合(〜1日)
09:00 NZ10月ANZ企業信頼感
**:** 欧州、英国冬時間移行
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
21:00 南ア9月貿易収支
21:30 米国9月個人所得・消費支出
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景気指数
23:30 米国10月ダラス連銀製造業活動指数

11月1日(火)
10:00 中国10月製造業・非製造業PMI
10:45 中国10月MarkIt製造業PMI
**:** 日銀金融政策決定会合結果公表
12:30 豪中銀政策金利発表
15:30 黒田日銀総裁会見
18:30 英国10月製造業PMI
22:45 米国10月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国11月IBD景気楽観度指数
23:00 米国10月ISM製造業景況指数
23:00 米国9月建設支出

11月2日(水)
06:45 NZ7〜9月期失業率
17:50 フランス10月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ10月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ10月失業率
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI確報値
18:30 英国10月建設業PMI
21:15 米国10月ADP全国雇用者数
23:30 米国週間原油在庫
27:00 FOMC結果公表

11月3日(木)
**:** 東京市場休場
09:30 豪州9月貿易収支
10:45 中国10月MarkItサービス業PMI
17:00 トルコ10月CPI
18:00 ECB月報公表
18:30 英国10月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏9月失業率
20:30 米国10月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 英中銀MPC結果公表、四半期インフレ報告
21:30 米国7〜9月期単位労働コスト速報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国10月MarkItサービス業PMI確報値
23:00 米国10月ISM非製造業景況指数
23:00 米国9月製造業受注指数

11月4日(金)
06:00 クーレECB理事講演
09:30 豪中銀四半期金融政策報告公表
17:50 フランス10月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ10月サービス業PMI確報値
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI確報値
19:00 ユーロ圏9月PPI
21:30 米国10月雇用統計
21:45 (アトランタ連銀総裁講演)
26:00 コンスタンシオECB副総裁講演
29:00 フィッシャーFRB副議長講演

11月6日(日)
 **:** 米国夏時間終了

今週の週間見通し

先週のドル円は10月初めからのドル買い戻しの動きが再開し、105円台前半までドルが買われる一方で、ユーロドルは1.08台半ばで短期的な底打ちを見せ、こちらもまたポジション調整の買い戻しが目立っての引けとなりました。

今週は月末月初の実需の動きに加え、日銀金融政策決定会合、FOMC、英中銀MPC、米国雇用統計と連日主要国の金融政策会合や重要イベントがあり、日々の思惑がレートを振れさせやすい神経質な相場展開が続きやすいと考えられます。しかし、どの会合においても金融政策の変更は無いというのがコンセンサスで、日銀で言えば今後の追加緩和の有無や、FOMCであれば既に織り込まれている12月利上げについて、何らかの示唆を与えるものがあるかどうかを読み取ることとなるでしょう。
いずれにしても順当に行けば方向感が出て来るようなきっかけとなり得ず、しかも週末に雇用統計が控えているとなると、積極的には動きにくいというのが市場参加者の心理状態であると考えられます。特に最近は日銀会合前後にドル円が振れることが多いため、そうした動きに巻き込まれない(焦らないようにする)ことが肝要です。

そして、ここに来て急に飛び出してきたのがクリントン候補の新たなメール問題です。7月時点では違法性があるとまでは言えないとの判断からいったん捜査は終了ということになっていたのですが、金曜NY市場後場になり新たなメール問題が見つかり捜査再開となったことでリスクオフの動きが急速に高まりました。

捜査自体が短期に終わるとも思えませんが、投票まで1週間程度と時期が時期なだけに各市場の波乱要因となります。仮に捜査が続いても何も出てこないのであれば、クリントン候補の優位は変わらないでしょうが、違法性があるようなものが出てきたりすると、まさかの事態(トランプ候補の勝利)を嫌気したリスクオフの動きが株式市場を中心に各金融市場に広がることとなります。

個人的には、何も出て来ずにクリントン候補が優勢のまま投票日を迎えるものと見ていますが、主要国の金融政策や米国雇用統計等ただでさえイベントが多い中、市場の過敏な反応には注意が必要です。ある程度の振れは考えておく必要がありそうですから、今週のドル円に関しては103.50レベル(9月安値と先週高値との38.2%押し水準)をサポートに、106.00レベル(8月安値、9月高値、9月安値のフィボナッチエクスパンション127.2%水準)をレジスタンスとしながら104円台半ばから後半をニュートラルな水準として見ておこうと思います。テクニカルなターゲットについては日足チャート内に示した水準をご覧ください。

なお、先週示したドルインデックスは、金曜のリスクオフの動きでいったん反落したことで警戒域からやや離れてきました。いっぽう、ユーロ円は三角もちあいの上限へと到達したことで、ここからの動き次第ではもみあいを上抜けするか、あるいは継続してコンティニュエイション・パターンの完成による下落を見せるのか引き続き要ウォッチとなっています。ユーロ円については先週のコメント内のチャートをご参照ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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