ドル円 日銀緩和継続確認で円安加速へ(週報5月第1週)

先週のドル円は一週間を振り返ると金曜の日銀会合までは週初に134.72レベルの高値をつけた後は133.01レベルの安値をつけと円高基調の動きが目立っていました。

ドル円 日銀緩和継続確認で円安加速へ(週報5月第1週)

日銀緩和継続確認で円安加速へ

〇先週のドル円、週央にファーストリパブリック銀が倒産への懸念から週間安値133.01レベルをつける
〇週後半、米GDPコアPCEの上昇に反応し米金利も上昇、ドル円も切り返し134.20レベルの高値
〇週末は日銀の大規模緩和継続に大きく円安に振れ、NY市場はドル一段高の動きから136.56レベルに上伸
〇日銀緩和政策、FRB、ECBとの対比際立ち為替市場では円が最弱通貨というポジションが決定づけられる
〇ユーロ円も150円の大台乗せでクロス円での円全面安相場がFOMCとECB理事会まで続く可能性高い
〇今週は135.50レベルをサポートに、138.00レベルをレジスタンスとする流れと見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、一週間を振り返ると金曜の日銀会合までは週初に134.72レベルの高値をつけた後はじり安の流れを辿り133.01レベルの安値をつけと円高基調の動きが目立っていました。これは火曜から改めて経営不安が取りざたされていたファースト・リパブリック銀行問題によるものでしたが、水曜に同行が救済されない可能性が出てきたところがボトムだったと言えます。

その後は金融市場全体が落ち着きを取り戻し、GDPのコアPCEが強かったことをきっかっけとした米金利上昇、そして金曜の日銀会合で大規模緩和のレビューという新たな単語が登場し、レビューとは点検とは異なり目先の金融政策に影響せず、これまでの大規模緩和を継続することが確認されたことで一気に円安に振れて引けた一週間でした。

日銀会合でドル円の流れは完全に円安へと振れることとなりましたが、植田総裁会見前の所信聴取ではイールドカーブコントロールの修正に言及したものの、就任後の会見ではイールドカーブコントロールを含めて緩和を継続するという方向へ変化し、就任後最初の会合ではそのことを再確認する場になったと言えるでしょう。

こうなるとコンセンサスとして、利上げ打ち止めとはいえ5月3日に0.25%の追加利上げを行うFRB、そして0.5%の利上げを行いその後も利上げを継続するであろうECBとの金融政策の方向性の違いは明確となり、結果として為替市場では円が最弱通貨というポジションが決定づけられることとなりました。

テクニカルにもドル円は3月高値の137.91レベルが視野に入りますし、ユーロ円も150円の大台乗せになったことでユーロ円がリードしてのクロス円での円全面安相場がFOMCとECB理事会までは続く可能性は高いと考えざるを得ません。植田総裁も目先の為替は気にしないと発言したことで、円売り安心感が広がっていると言えます。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

振り返るとトライアングル(ピンク)のレジスタンスラインを上抜けたことが大きかったと言えますが、3月高値の137.91(チャートでは137.90表示)まで距離も少なく、GW中に試す可能性が高いと言えます。いっぽうで下値は4月19日高値の135.11が今後サポートになってくると考えられます。

やや上昇スピードが速いことから下に振れる時も値幅はおおきくなるでしょうから、今週は135.50レベルをサポートに138.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月1日(月)
**:** 香港、中国(〜3日)、シンガポール、ドイツ、フランス、LDN、トルコ、南ア市場休場
22:45 米国4月製造業PMI
23:00 米国4月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国3月建設支出

5月2日(火)
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:00 英国4月住宅価格
15:00 ドイツ3月小売売上高
16:00 トルコ4月製造業PMI
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI
17:30 英国4月製造業PMI
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値 ☆
20:20 豪中銀総裁講演 ☆
23:00 米国3月製造業新規受注
23:00 米国3月求人件数 ☆
**:** FOMC(〜3日)

5月3日(水)
**:** 東京市場休場(〜5日)
07:45 NZ1〜3月期失業率
10:30 豪州3月小売売上高
16:00 トルコ4月CPI
18:00 ユーロ圏3月失業率
21:15 米国4月ADP全国雇用者数 ☆
22:45 米国4月サービス業PMI
23:00 米国4月ISM非製造業景況指数 ☆
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

5月4日(木)
07:45 NZ3月住宅建設許可
10:30 豪州3月貿易収支
10:45 中国4月MarkIt製造業PMI ☆
15:00 ドイツ3月貿易収支
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI ☆
20:30 米国4月チャレンジャー人員削減数
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国4〜6月期単位労働コスト速報値
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国3月貿易収支
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆

5月5日(金)
10:30 豪中銀四半期金融政策報告 ☆
10:45 中国4月MarkItサービス業PMI ☆
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
15:45 フランス3月鉱工業生産
17:30 英国4月建設業PMI
21:30 米国4月雇用統計 ☆
26:00 (セントルイス連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月24日(月)
 週明けのドル円は米金利が東京前場から下げる動きをよそに実需のドル買いが先行、その後の欧州市場では金曜高値を上抜けテクニカルな買いも加わってNY朝方には134.73レベルの高値をつけました。しかし、ユーロドルが一段高となる中でドル円にもドル売りの動きが入り、東京朝方の水準に押して引けました。

4月25日(火)
 ドル円はユーロ円の買いが目立っていたこともあり東京市場では底堅い動きとなっていましたが、欧州市場序盤以降は米金利低下の動きもあって、ドル売りが強まり、NY市場では株安も重なり一時133.36レベルの安値をつけ、引けにかけてはやや戻して引けました。

4月26日(水)
 ドル円は東京市場ではほとんど動きが見られず、海外市場に移ってからもNYまでは動意薄の展開でした。経営危機に陥っているファースト・リパブリック銀行を巡り救済されない可能性が取り沙汰され一時ドル売りとなり週間安値の133.01レベルをつけましたが、引けにかけては米金利が上昇したことから買い戻され、行って来いの動きとなりました。

4月27日(木)
 ドル円は東京市場ではじり高となっていたものの、欧州市場に入り利食いが出ていたところに予想よりも弱い米国GDP速報値に反応し一時133.21レベルの安値をつけました。しかしGDPの詳細でコアPCEが上昇していることに反応し米金利が上昇、ドル円も切り返して134.20レベルの高値をつけ、やや押して引けました。

4月28日(金)
 ドル円は日銀会合までは様子見となっていましたが、当初は長年に渡る緩和のレビューを行うとのヘッドラインに円買いで動き一時133.37レベルの安値をつけましたが、会見において大規模緩和は継続されること、レビューは時間をかけて行い目先の政策に結びつかないこと、点検と距離を置いた用語であることなどが示され大きく円安に振れる動きとなりました。欧州市場序盤には135円台後半へと上伸し、NY市場では強い米国経済指標に反応しドル一段高の動きから136.56レベルまで上伸後にやや押して引けました。

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