米欧金融政策注目、200日線超えの行方は(週報5月第1週)

先週のドル/円相場はドルが一段高。週末には3月10日以来の136円台を示現し、そのままドルの高値圏で大引けている。

米欧金融政策注目、200日線超えの行方は(週報5月第1週)

米欧金融政策注目、200日線超えの行方は

〇先週のドル円、週末には136.56まで急騰、週末NYもそのまま高値圏136.30前後で大引けて越週
〇日銀は「金融緩和の現状維持」を正式発表、今週はFRBとECBの判断に注目集る
〇今週、4月ISM製造業景況指数や雇用統計など重要な米経済指標が発表予定
〇テクニカルには137円前後に位置する200日線がまずは意識、抜けていけば年初来高値137.91視界内
〇ドル安円高方向は、ドルの上値を阻んできた135円をめぐる攻防に注目
〇今週のドル/円予想レンジ、134.00-138.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが一段高。週末には3月10日以来の136円台を示現し、そのままドルの高値圏で大引けている。

前週末は、治安状況に不透明感が指摘されているスーダンから、米英などが外交職員や家族の退避を発表したことが話題に。一方、4月23日実施された日本の衆参5補選は自民党の4勝1敗に。立憲民主党など野党の不甲斐なさが目に付いた。
そうした状況下、ドル/円は134.10円前後で寄り付いたのち、ドルが小安い。基本は134円挟みの値動きをたどるなか、レンジを切り下げる展開で、週央には週間安値の133.02円を示現している。しかし、その後はドルが逆行高。とくに週末には日銀会合の結果発表などを受けて、あれよあれよという間にドル高が進行する展開に。途中ストップロスを巻き込むと136.56円までドルは急騰し、週末NYもドルはそのまま高値圏、136.30円前後で取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米欧の金融政策」について。
先週4月27-28日の日銀会合に続き、今週の米FOMCそしてECB理事会と、ここ1週間ほどは日米欧の金融政策発表が相次ぐだけに、それらが大きな関心を集めていた。
まず欧州は、全体として「0.25%の利上げ実施」見通しがやや優勢となるなか、シュナーベル専務理事が「ECBは利上げを継続する必要がある」としたうえで、「0.5%利上げの可能性も排除しない」としたタカ派発言。またアイルランド中銀総裁も「ECBが金融引き締めの一時停止を計画し始めるのは時期尚早」と述べており、一部からはさらなる利上げ期待も。いずれにしても、ユーロ/円が2008年10月以来の高値150円台を示現する大きな要因になっていたことは間違いない。

それに対して、日本は日銀決定会合の結果発表を前に日経新聞で一騒動あったなか、当の日銀は「金融緩和の現状維持」を正式に発表。さらに植田総裁が会見で経済情勢をにらみつつも「粘り強く緩和を継続させる」と述べていた。これといったサプライズもなく、ほぼ予想通りの内容ながら、市場では円売り要因として認識されていた。
一方、米国は発表される米経済指標などをめぐり一喜一憂。なかでも週の半ばには、米中堅銀ファースト・リパブリックの株価が一日に30%もの急落をたどるなど、金融不安が再燃の様相となり米金融政策への足かせも懸念されていた。しかし、週末に発表された4月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値における5-10年期待インフレ率確報値が上方修正されたことなどを好感、市場は再び5月の追加利上げを織り込む動きをたどっている。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は過去2週間ほど、ざっくり133-135円の往来相場をたどってきたが、先週末ついに上抜け。3月10日以来の136円台を示現し、週末NYクローズもそのままドルの高値圏で大引けている。リスクがドル高方向に高いことは間違いなく、テクニカルには137円前後に位置する移動平均の200日線がまずは意識されそうだ。そのレベルも超えれば3月に記録した年初来高値137.91円が視界内に。ただ、昨年来の相場はダマシの多いことも、一応頭の片隅にとどめておきたいところだ。
今週実施される米欧それぞれの中銀による政策金利発表の先陣を切る格好で、日銀は先週末に「金融緩和の現状維持」を明らかにした。続くFRBとECBは如何なる判断を下すのかにまずは注目だが、前段で指摘したように取り敢えず今回の会合ではともに利上げに踏み切るだろうとの見方が有力だ。しかし、ECBはともかくFRBは利上げ打ち止め観測が台頭しても不思議はないうえ、やや気になるのは週末にロイターが「米ファースト・リパブリック銀が公的管理下に置かれる可能性」−−などと報じていたこと。週明け早々から波乱含み。

テクニカルに見た場合、ドル/円は過去2週間ほどドルの上値を抑制してきた135円の壁を先週末にやっと超えてきた。次なるターゲットは137円前後に位置する移動平均の200日線。チャートをみれば一目瞭然のように、200日線は強い抵抗あるいはサポートになることがままあり、たとえば今年の3月初旬にも上抜けを試すも失敗に終わると、3月24日に130円割れを記録するトリガーを引いている。今回も「しっかり」と上回れなければ、同様の展開をたどる危険性がある。

そうしたなか今週は、4月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標の発表が相次ぐ。また、米FOMCのほか豪州やECBなども中銀が会合を開き金融政策を発表する予定だ。重要材料が連日相次ぐ波乱含みの一週間になる。

そんな今週のドル/円予想レンジは、134.00-138.00円。ドル高・円安については、先週高値135.56円が最初の抵抗で、超えれば200日線を目指す。それも抜けていけば年初来高値137.91円がいよいよ視界内に。
対してドル安・円高方向は、これまで「壁」としてドルの上値を阻んできた135円をめぐる攻防に注目。アッサリ下回ってしまうと元の木阿弥、ドルの上値トライはダマシだったということになりかねない。

米欧金融政策注目、200日線超えの行方は

ドル円日足

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