ダマシ多いが、ドルの下値トライは一服か
〇本日のドル円、131.55-60で寄りつき一時130円半ばまで下落、その後終盤に掛けてはドルの買い戻しも
〇今年の相場はダマシが多いが仕切り直しとなった感、ドル安基調も一旦終了か
〇金融システムへの不安感はかなり後退した様子、米経済指標の内容にまずは注目
〇本日、米消費者信頼感指数など発表、米上院銀行委がSVB破綻めぐる公聴会開催の予定も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは130.40-131.80、ドル高・円安方向は131.75が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、昨日安値130.45をめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
28日の東京市場はドルが小安い。ただ終盤に掛けてドルは反発、買い戻しが優勢となっている。
ドル/円は寄り付いた131.55-60円を日中高値に右肩下がり。一時は130円半ばまで、1円程度値を下げた。しかし、下げ止まると終盤に掛けては逆にドルの買い戻しも。直近下げ幅の半値程度値を戻し、16時現在では130.95-00円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、参院予算委に出席した日銀の黒田総裁から、「大規模な金融緩和を続けてきたことは適切な対応」とのコメントが聞かれていたようだ。
一方、材料的に注視されていたものは「金融システム不安」と「ロシア情勢」について。
前者は、昨日東京時間に「米銀ファースト・シチズンズ、SVB買収交渉は進んでいる」といった報道が観測されていたが、そののち「SVBの買収で正式合意」などと伝えられていた。それもあり、ファースト・シチズンズの株価は、一時50%も上昇する局面も観測されていたようだ。これで金融システム不安はさらに後退したが、バーFRB副議長からは「システム保護に向け必要ならばあらゆる規模の金融機関に対して措置を講じる用意がある」との発言が聞かれ、ますます安心感を醸す結果に。
対して後者は、週末に発せられたプーチン露大統領による「戦術核配備でベラルーシと合意」が引き続き物議を醸すなか、タス通信は「プーチン氏とベラルーシのルカシェンコ大統領が参加する連合国家最高会議を4月6日に開く」と伝えたうえで、2国間の首脳会談が実施されるとも報じていた。一方、それとは別にプーチン氏の側近とされるパトルシェフ安全保障会議書記からは「存亡の機に直面すれば、米国を含めたあらゆる敵を破壊可能な近代的な固有の武器を持っている」、「日本の防衛力強化は『軍事化』、日本軍国主義の精神を復活させようとしている」などと、日米をけん制する発言も聞かれている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は先週末24日の129.65円を目先安値にVの字型の回復。週明け早々には一時131.75円を示現と、2円を超えるドルの反発をたどっていた。これで基調が再びドル高方向に転換したとまでは言えないものの、ドル安基調も一旦は終了か。今年の相場はダマシが多いところが気掛かりだが、仕切り直しとなった感を否めない。テクニカルには、一目均衡表の先行帯の雲の下限が昨日は強い抵抗になった感がうかがえ、本日も上値は131.80円レベルをめぐる攻防に注目だ。
SVB破綻に端を発した金融システム不安が米利上げ停止、あるいは利下げ期待といった弱気見通しに繋がっていた側面もあったが、先で指摘したように「完全払拭」とまでは言えないものの、不安感がかなり後退したことは間違いない。よって、基本的には「発表される米経済指標次第」ではあるが、米利上げ期待についても再び展望が開けつつあるようだ。ともかく、そうした意味では発表される米経済指標の内容にまずは注目。とくに注目度の高い米消費者信頼感指数が好数字になるようだと、ドルは続伸をたどる可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドルはドル安という基調が転換したとまでは言えないものの、下値トライも目先は一服。ただ、先でも取り上げたようにドルの上値は一目均衡表の先行帯の雲の下限がキャップしている感があり、まずはその攻防に注目だ。また、一目の雲は現在1円程度とやや薄い状態にあるだけに、下限に続けて上限も超えていくようだと、基調転換がいよいよ本格的に確認されたと言ってよいだろう。
本日は米経済指標として、3月のリッチモンド連銀製造業指数や同消費者信頼感指数などが発表されるほか、米財務省による5年債の入札が実施される予定だ。また、米上院銀行委がSVB破綻めぐる公聴会を開催する予定とされ、こちらも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは130.40-131.80円。ドル高・円安方向は昨日ドル高値である131.75円が最初の抵抗。近いレベルには一目の雲の下限も位置している。超えれば132円台乗せも。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値も近い昨日安値の130.45円をめぐる攻防にまずは注目。下回ると130円割れ、そして先週末安値129.65円が再び視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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