ドル円 米金利低下と米株下落で軟調推移。一時130円台半ばへ反落するなど不安定な動き
〇ドル円、高値131.77まで上昇後130.41まで急落、その後130.88まで持ち直し
〇米金利低下、本邦年度末絡みの実需のドル売り、米主要株価指数の軟調推移等が重石
〇ユーロドル、米金利低下に伴うドル売り圧力や欧州株の堅調推移に1.0849まで上昇
〇ドル円、複数のレジスタンスポイントなど、テクニカルの地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズも世界的金融システム不安や潜在的な円買い圧力等ドル円下落材料が揃う
〇本日の予想レンジ:129.75ー131.75、上値の重い展開が続くと予想
海外時間のレビュー
28日(火)のドル円相場は冴えない動き。オセアニア時間朝方にかけて、高値131.77まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)本邦年度末絡みの実需のドル売り、(3)米主要株価指数の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)、(4)短期筋のロスカットが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値130.41まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)米1月住宅価格指数(結果+0.2%、予想▲0.3%)の伸び率上昇や、(6)米3月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲5、予想▲10)の市場予想を上回る結果、(7)米3月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果104.2、予想101.0)の力強い結果、(8)米金利の低下幅縮小に伴うドル買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/29午前6時00分時点)では、130.88前後まで持ち直す動きとなっております。
28日(火)のユーロドル相場は底堅い動き。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)欧州株の堅調推移、(3)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(4)エストニア中銀ミュラー総裁による「利上げの余地はあるだろう」とのタカ派的な発言、(5)シュナーベルECB専務理事による「昨日発表されたドイツ3月IFO指数をはじめ最近のユーロ圏経済指標は驚くほどポジティブ」との楽観的な発言、(6)欧米金融政策の方向性の違い(利上げ休止が見込まれる米国と、利上げ継続が見込まれる欧州との金融政策格差)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0849まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/29午前6時00分時点)では、1.0844前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日(3/27)海外時間に記録した戻り高値131.77をトップに反落に転じると、昨日は再び130.41まで急落しました。前日の反発局面で一目均衡表雲下限を上抜けできなかったこと(上値の重さを再確認)や、複数のレジスタンスポイントがアップサイドより垂れ下がってきていること、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転の継続点灯、EMA(指数平滑移動平均線)ベースで弱気のパーフェクトオーダーが成立していること(数日以内に単純移動平均線ベースでの弱気のパーフェクトオーダーも点灯見込み)等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)世界的な金融システム不安の更なる伝播リスク(米地銀や欧米銀で新たな信用不安が発生する恐れ)や、(2)上記1を背景とした潜在的な円買い圧力(米国、スイスに続いて、欧州や英国が震源地となる場合、リスク回避局面で日本円が独歩高となる恐れ)、(3)米FRBによる金融引き締め打ち止め観測(米CMEが提供するFedWatchツールによると、次回5月FOMCでの据え置きの織り込み度合は58.4%→先週の米FOMCで利上げサイクルが終了したというのが市場コンセンサス→米金利に低下圧力)、(4)上記3を背景とした日米金利差縮小の思惑(植田新体制下での政策修正の思惑が燻る中、円キャリートレード解消期待が根強い→IMM通貨先物市場で投機筋の円ショートが高水準であることも、円ショートの大規模な巻き戻しを誘発する恐れ)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
本日は米MBA住宅ローン申請指数や、米2月中古住宅販売成約指数、米7年債入札以外に目立った経済指標が予定されていないため、米主要株価指数や、米長期金利、年度末特有の本邦実需フローを睨みながらも、上値の重い展開が続くと予想いたします(状況次第では心理的節目130.00を割り込むシナリオも想定)。
本日の予想レンジ:129.75ー131.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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