米経済指標注視もドル続落リスクは高そう
〇ドル円、東京市場終盤にかけて米金利の動きをにらみつつドル売りが優勢。16時現在133.60-65で推移
〇リスクはドル安方向、本日発表される2月米消費者物価指数には要注意。米利上げ継続観測も大きく後退
〇銀行株を中心とした米株の動きを警戒する声も多く、値動き次第ではさらなるドル売りの誘発も
〇欧米時間のドル/円予想レンジは132.60-134.10
〇ドル高円安方向は本日東京高値の134円レベルが最初の抵抗。超えても90日線がドルの上値を阻むか
〇ドル安円高方向は東京安値に近い133円レベル巡る攻防に注目。下回ると昨日安値132.29が再び視界内
<< 東京市場の動き >>
14日の東京市場はドルが小じっかり。134円台をワンタッチする局面も観測されていた。
ドル/円は133.15-20円で寄り付いたのち、しばらくは低位揉み合い。しかし、目先の抵抗だった133.40円レベルを上抜けると、そのまま134円前後まで一気にドル高が進行した。ただ、そのレベルからドルは上げ渋りの様相で上値も重い。終盤にかけては米金利の動きなどをにらみつつ、ドル売りが優勢に。16時現在では133.60-65円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「SVB破綻」と「欧米金融政策」について。
前者は、引き続き「SVB破綻」に絡む発言やニュースが相次ぐ。なかでも、バイデン米大統領が「米銀行システムは安全」と言明するなど、積極的な火消しに動いていたことが話題に。また米補佐官も、「金融規制当局は混乱に対処し銀行を監督するために必要な手段を持っている」、「バイデン氏はこれまでの措置に自信を持っている」などと指摘している。一方、欧州サイドはユーロ圏財務相などから、SVB破綻にともなう波及リスクについて軽視する発言が少なくなかったが、肝心の欧州銀行株は冴えない。ロシアのウクライナ侵攻以来の大幅な下げとなるなど、本日欧州時間の動きが気になるところだ。
対して後者は、前述した「SVB破綻」を受けて、欧米ともに利上げ観測が急速に後退しているとして別途話題に。ブルームバーグでは「ECB政策委が検討していた大幅な利上げの計画は、今週の会合ではより強い反対に直面する見通し」と欧州についてレポートしていたほか、米国に対しても「FOMCは金融引き締め停止に追い込まれると市場はみている」などと報じていた。それも直近の会合だけでなく、先々の会合にも影響を与える可能性が取り沙汰されていたとの指摘も。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は8日に年初来高値の137.91円を示現するも、そののち急失速。昨日は一時安値132.29円をつけており、わずか4営業日で5円を超える下落をたどっている計算になる。リスクは間違いなくドル安方向で、さらなるドル安進行にも要注意。ちなみに、安値127.22円を起点とした上昇幅に対するフィボナッチでは、半値押しにあたる132円半ばを昨日一時下回っており、次は61.8%押しの131.30円となる。
日米金融政策が引き続き市場の関心を集めており、そうした意味では米金融政策の動きを占ううえで重要な本日発表される2月の米消費者物価指数には要注意。ただ、仮に強い数字になってもドルの上値は限られそうとの見方が有力か。また、銀行株を中心とした米株の動きを警戒する声も多くなっており、こちらも値動き如何ではさらなるドル売りを誘発しかねない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は移動平均の21日線を下回ったことに続き、134円半ばに位置する90日線もNYクローズでしっかりと割り込んできた。今後はこれまでと逆に90日線が抵抗となり、ドルの上値を強く阻む可能性も否定できない。それに対するサポートは、まず昨日安値の132.29円。これを下回ると131.30円、そして130円レベルがターゲットに。
本日は米経済指標として、2月の消費者物価指数などが発表される予定となっている。前述したように、米利上げ継続観測が大きく後退しているだけに、予想を下回った場合にはドル売りを後押ししかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.60-134.10円。ドル高・円安方向は本日東京高値の134円レベルが最初の抵抗。超えても90日線がドルの上値を阻みそうだ。
対するドル安・円高方向は、同じく本日東京安値に近い133円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回ると昨日安値132.29円が再び視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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