米雇用統計に注目、発表前後は荒れ模様か
〇本日のドル円、当初は売りが先行するも、日銀会合の結果発表後円売りへ急反転、137円近くまで上昇
〇黒田総裁最後の日銀金融決定会合の結果発表発表、サプライズをともなう政策変更なし
〇本日NY時間に発表される米雇用統計の内容に要注目、レンジ放れに向けてもう一波乱の可能性も
〇ドル円、137円台の200日移動平均線から遠ざかり、134円台後半の90日線が少しずつ意識されている感
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.60-137.10、ドル高・円安方向は136.95レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、東京安値135.80-85をめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場はドルが小高い。当初は売りが先行するも、切り返すと結局ドルは高値圏での推移をたどっている。
ドル/円は136.15円レベルで寄り付いたものの、市場で注視されていた日銀会合結果発表をにらみつつ調整の動きなどからドル売り優勢。136円を割り込み、135.80-85円まで一時値を下げている。しかし、その注目の日銀会合の結果発表で、一部で期待されていた「黒田サプライズ」が実施されなかったこともあり、流れが円売りへと急反転。137円近くまで上昇し、16時現在ではそのままドル高値圏で推移し欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、前日に衆院本会議で可決された植田氏などの日銀正副総裁候補の国会同意人事が参院本会議でも実施され、同じように可決された。今後内閣の任命を経て、正式に植田日銀総裁らが誕生することになる。そうしたなか、黒田氏が総裁を務める最後の日銀金融決定会合の結果発表が発表されたが、事前に一部で期待されていた「サプライズ」をともなう政策変更は見送られた。金融緩和策の修正がなかったことを受け、期待外れとの向きもあり、終了後には円を売り直す動きが優勢となっている。
対して後者は、ここ最近少し落ち着いた感も見られていたが、ロシア軍がウクライナ全土の広範囲にミサイルなどの波状攻撃を行ったとして再び俎上に。大規模な波状攻撃は2月中旬以来とされ、各地で停電が発生するなど被害も相次いでいたようだ。なお、ロシア国防省は「ウクライナへ大規模な報復攻撃を行った」とし、またもや行動を正当化していたもよう。一方、オースティン米国防長官は、同盟国に対してウクライナへの支援を強化するよう呼びかけていたとされ、欧米諸国の対応にも注目だ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日のドル/円相場は欧米タイムに急反落。その流れを継ぎ本日東京では一時135.80-85円まで続落したものの、日銀会合の結果を受け大きな巻き戻しが入った。このあと、とくに材料がないのであれば昨日から本日に掛けて形成したレンジ、135.80-137.30円といったレンジ内での一進一退を予想するところだが、幸か不幸か本日のNY市場には重要材料が控えている。レンジ放れに向けた、もう一波乱あっても不思議はなさそうだ。
日米金融政策が市場の関心を集めるなか、日本については本日日銀が「金融緩和策の現状維持」を発表。それに対して米国は、パウエルFRB議長が先日実施した半期に一度の公聴会で「3月FOMCは今後入手される指標次第」と強調していた。したがって、本日のNY時間に発表される米雇用統計の内容には要注目だ。先行指標ともいわれる8日発表のADP雇用統計は上振れしたが、本日はどのような数値になるのだろうか。
テクニカルに見た場合、ドル/円は一時上抜けたものの維持することが出来なかった137円台の移動平均の200日線から遠ざかり、ドルの上値トライは一旦仕切り直しに。逆に134円台後半で推移する90日線が少しずつ意識されている。いずれにしても、発表される米雇用統計の内容次第といえそうで、上下どちらに振れても不思議はないだろう。90日線と200日線、どちらを抜けるのかその方向性にまずは注目。
本日は米経済指標として、2月の雇用統計や同財政収支が発表される予定となっている。米国ファクターとしてはまずは発表される経済指標に注目だが、欧州関係ではウクライナ情勢なども気掛かりだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.60-137.10円。ドル高・円安方向は本日東京高値である136.95円レベルが最初の抵抗。上抜けると200日線が位置している137.40-50円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、同様に東京安値135.80-85円をめぐる攻防にまずは注目。下回ると1日安値135.25円が意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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