続伸期待強いが、短期的には行き過ぎ懸念も
〇ドル円、右肩上がりをたどり年初来高値を更新、134.80レベルまで一時上昇
〇米雇用統計や消費者物価指数などに続く米1月生産者物価指数の好数字に、ドル続伸機運が一段と高まる
〇植田氏の日銀新総裁就任後も暫くは政策の継続が見込まれ、日米金利差からドル高円安に動き易い地合い
〇ドル高・円安方向は134.80レベルが目先の抵抗。超えると135円台乗せをうかがう展開か
〇ドル安・円高方向は直近のドル高値134円半ばから134.35などが最初のサポートで底堅い
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.20-135.50
<< 東京市場の動き >>
17日の東京市場はドルが一段高。とくに夕方に掛けて上値を伸ばし、年初来高値134.78円に一時面合わせする局面も。
ドル/円は「寄り付き安・大引け高」の様相。寄り付いた133.90-95円を日中安値に右肩上がりをたどると、夕方に掛け上げ幅を拡大させ134.80円レベルまで一時上昇している。新規の材料はとくに聞かれなかったが、前日からの米利上げ観測を引っ張る格好で、終日ドル買いが優勢だった。16時現在ではドル高値圏の134.75-80円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米中関係」と「米金融政策」について。
前者は、いわゆる「偵察気球」問題などを受け米中関係の悪化が鮮明化するなか、バイデン米大統領は「新たな冷戦を望んでいない」としたうえで、「中国の習国家主席と協議することを期待している」と述べていた。雪解けを期待する声があがる一方で、英紙FTは「チェイス米国防副次官補(中国担当)が数日以内の台湾訪問を計画している」と報じている。事実とすれば、中国サイドからの反発は必至。前述した雪解け期待にも水を差すことになりかねない。
対して後者は、注視されていた米経済指標である1月の生産者物価指数も上振れ。米雇用統計や消費者物価指数などに続く好数字に、市場でドル続伸機運が一段と高まった。またクリーブランド連銀総裁は「政策金利を5%以上にする必要がある」、「前回会合は0.5%の利上げでも説得力があった」などと発言。さらに、セントルイス連銀総裁も「ディスインフレを定着させるため、さらなる利上げが必要」と述べるなど、米金利情勢は強気ムード一辺倒だった。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、133円前後に位置しドル高を阻んできた一目均衡表の先行帯の雲の下限を15日に上抜けたのちも続伸。本日東京では134.80円レベルまで上昇し、年初来高値をわずかながら更新している。リスクは上方向で間違いないものの、10日安値129.80円からみて1週間で5円もの上昇で、短期的にはやや行き過ぎも指摘されていた。週末というカレンダー要因を加味して考えると、一時的に調整が先行する展開も否定できない。
依然として日米金融政策が注目を集めるなか、日本については植田氏が日銀新総裁に就任しても取り敢えずは黒田路線の継続が見込まれている。実際、米紙WSJでは「次期総裁に期待される政策転換だが、まだ先か」などと伝えていた。それに対して米国は、年内中の利下げ観測が後退するばかりか、利上げの長期化観測すら聞かれており、単純に日米金利差を考えるとドル高・円安に動きやすい地合いとなっている。調整の動きなどで仮にドルが一時的に弱含んでも、そこは絶好の買い場となる可能性も。
テクニカルに見た場合、ドル/円は前日「しっかり」と上抜けてきた一目均衡表の先行帯の雲の下限を下支えにドルがさらに上伸。134円後半まで値を上げている。ちなみに、高値151.94円を起点とした大きな下げ幅の23.6%戻しは133円台ですでに上抜けており、フィボナッチで見た次のターゲットは38.2%戻しにあたる136.65円。心理抵抗となりそうな135円を超えたら、さらなる高値を目指したドル続伸もありそうだ。
本日は米経済指標として、1月の輸出入物価指数や同景気先行指数などが発表される見込み。通常であれば、それほど注目度の高いものではないが、ここ最近発表される指標が良好だけに悪い数字が出た場合にはドル売り材料とされる危険性も一部で取り沙汰されていた。また、リッチモンド連銀総裁などによる講演も一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.20-135.50円。ドル高・円安方向は東京高値かつ年初来高値にあたる134.80円レベルが目先の抵抗。超えると135円台乗せをうかがう展開か。
対するドル安・円高方向は、時間足などでみた直近のドル高値にあたる134円半ばや134.35円などが最初のサポート。ただ、下回っても底堅そうで133円後半から134円レベルまでの下げが取り敢えずは精々だろう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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