目先の上下確認、レンジ内で次の方向性探る
〇ドル円は、131.05レベルで寄り付き、上下30銭程度の一進一退をたどるレンジ取引
〇次期日銀総裁ならびに副総裁をめぐる人事は相場の波乱要因として警戒
〇ドル高・円安方向は東京高値を含めた131.40前後が最初の抵抗、抜けたら132円を目指す
〇ドル安・円高方向は、昨日安値130.48をめぐる攻防にまずは注目、割り込んだとしても底堅いか
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは130.50-131.80
<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場はドルが底堅い。131円挟みの値動きをたどるなか、やや方向性に欠けた値動きだった。
ドル/円は131.05円レベルで寄り付いたものの、基本はレンジ取引。寄り付きを中心に上下30銭程度のボックス圏で一進一退をたどっている。途中、バイデン米大統領による一般教書演説の内容が伝えられたものの、それほど目新しい内容はなく影響も限定的。16時現在では131.20-25円で推移し、欧米市場を迎えていた。
材料的に注視されていたものは「日米金融政策」と「偵察気球問題」について。
前者は、日付が変わった本日深夜の時間帯にパウエルFRB議長のインタビューとされる発言が伝えられた。トータル的には1日、米FOMC後に発したコメントと大差はなかったが、具体的には「おそらく追加利上げが必要」と指摘する反面で、「2023年はインフレが大幅に鈍化する年になる見通し」との発言が観測されていた。一方、日本は日経新聞が先日報じた「政府、雨宮氏に日銀総裁就任を打診」について、当の雨宮氏が「政府や与党の首脳の方々が、事実ではないとおっしゃったと聞いている。それに付け加えることはない」と述べていた。
対して後者は、いわゆる「中国の偵察気球」をめぐり米中が激しい鍔迫り合い。たとえば、中国外務省から「米撃墜の気球は中国の所有物」としたうえで米国を批判、さらに「損害賠償を求める」旨の発言も聞かれていた。それに対し、米国は国防総省報道官が、4日の気球撃墜後に中国に電話協議を打診したが「拒否された」ことを明らかにしている。軍事衝突の回避に向け対話ルートを模索する考えだが、なにやら不穏な空気が漂い始めている感もある。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日のドル/円はドルが大きく反落する展開。それを受け、週明け早々に空けた131円半ば以下のギャップをしっかりと埋めてきた。ドルは一時130円半ばまで下落している。ただ、ギャップを埋めたのちはドルも取り敢えず下げ止まり、そのため短期的な方向性はなかなか見出しにくい状況かもしれない。やや広めにとるならば、128-133円といったワイドレンジのなかの一進一退がしばらく続く可能性も否定できない。
市場はパウエルFRB議長らの些細なニュアンスに着目。ドル売りも観測されているが、コメントを素直に読めば「米利上げ傾向は継続」になるだろう。したがってブルームバーグによると、大手米銀シティのアジア太平洋トレーディング戦略責任者からは「米政策金利6%まで引き上げリスクがある」との発言が聞かれたという。引き続き予断を許さない。また、次期日銀総裁ならびに副総裁をめぐる人事の話についても、相場の波乱要因として警戒しておく必要がある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は2日の128.09円を目先安値に132.90円まで一時値を上げたが、上昇は早くも一服した感を否めない。移動平均では130円前後に位置する21日線を引き続きしっかりと上回っており、底堅い雰囲気を醸しているものの上値は重そうだ。そのため足もとは時間調整という名のレンジ取引で、次なる動意に向けたエネルギー蓄積の動きをたどる可能性もある。
材料的に見た場合、中長期的には人民銀がブラジル中銀とブラジルに人民元による決済のための金融機関を指定することで合意したと伝えられていた「中国情勢」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、12月の卸売売上高などが発表されるうえ、米財務省による10年債の入札が実施される見通しだ。また、本日もNY連銀総裁やFRB副議長の討論会参加など中銀関係者の発言機会がある。発せられるコメントには要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは130.50-131.80円。ドル高・円安方向は東京高値を含めた131.40円前後が最初の抵抗で、抜けたら132円を目指す。
対するドル安・円高方向は、昨日安値130.48円をめぐる攻防にまずは注目。ただ、仮に割り込んだとしても底堅いイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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