ドル円は向きを変えもみあい継続か(週報10月第三週)

ドル円は方向感のはっきりしない展開が続いています。

ドル円は向きを変えもみあい継続か(週報10月第三週)

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値   高値   安値   終値

ドル円  103.04  104.64  102.81  104.20
ユーロ円 115.35  115.79   113.92  114.31
ユーロドル 1.1195 1.1202   1.0971   1.0972
日経平均 16936.31 17074.46 16727.78 16856.37

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

10月10日(月)

東京市場とNY市場が休場ということもあってアジア市場は動意薄。大統領候補による第2回TV討論会はあったものの、低レベルな非難合戦といった感は拭えず各市場への影響もありませんでした。その後、欧州市場以降、原油高、株高の動きとなり、225先物はGLOBEXで17000円を示現、全般的なリスクオンの動きからドル円も朝方の102円台後半から103円台後半へドルが買われました。

10月11日(火)

東京市場では17000円台に乗せた日経平均の動きも手伝って円安の動きとなり、一時104.07レベルの高値をつけました。しかし、先週高値を超えられず徐々に上値が重たくなる中、欧州市場に入りポンドが再び弱い動きとなったこと、南アフリカ財務相逮捕の報道にランド円が急落したことも重なり、クロス円全般に円買い戻しの動きが見られました。その後、NY市場に入ってからはダウが200ドルを超える下げとなったことでリスクオフの円買いが進み、ドル円は一時103.18レベルの安値を付けた後に103円台半ばへと戻して引けました。ユーロドルはポンドの弱さもあって1.1049レベルへと最近のレンジを下抜け安値圏でのクローズとなりました。

10月12日(水)

東京市場からドル円は底堅い動きとなり、振れこそ大きくは無いものの高値安値とも切り上げる展開が続きました。ユーロドルもポンド売りに引っ張られて上値が重たい流れとなっていました。海外市場に移り米金利が上昇する動きとともにドル買いの動きが目立ち、ドル円はロンドンフィキシングで買いが出たことから104円台に乗せると一気に104.48レベルと9月高値を更新、再びドル高トレンドへ回帰してきました。ユーロドルも安値1.1005レベルと大台目前まで下げた後も上値の重たい流れとなりました。FOMC議事録は現状維持決定は僅差であったとのことから年内利上げコースに変化は無いと見られ、想定内の内容であったことから目立った影響は見られませんでした。

10月13日(木)

東京市場の朝方には前日海外市場での円安トレンドを継続し、一時104.64レベルの高値をつけました。前日高値を上抜いたことからドル買いに動き始めていたところに、高く始まった株式市場が反落し、その動きに引っ張られてドル円もリスクオフの円買い。短期筋のストップオーダーも巻き込みながら前日上げる前の水準へ押す動きに。その後、いったん104円台に戻す場面も見られましたが、株価の動きに左右される展開が続きNY市場では103.33レベルの安値を付け、引けにかけてはダウの買い戻しとともに103.70レベルに戻して引けました。ユーロドルは、欧州市場に入ると1.0985レベルまで下げましたが、達成感も出たのか1.10台半ばへと日中高値を更新してのクローズとなりました。

10月14日(金)

東京市場では、強い中国の経済指標を好感し株式市場に買いが入り、為替市場でも全般にドル買いが強まる展開となりました。この動きはNY市場前場まで続き、ドル円は一時104.48レベルと騰勢を強めましたが、前日の高値圏を抜けることが出来ないうちに、WTIが下げへと反転。その後発表されたミシガン大消費者信頼感も下振れしたことから株式市場、為替市場とも調整の売りが入ることとなりました。しかし、ユーロドルは前日安値を下回り1.0971レベルまで下落し安値引け、その動きを受けドル円も104円台へと戻しての引けとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月17日(月)
09:30 黒田日銀総裁挨拶
16:00 トルコ7月失業率
18:00 ユーロ圏9月CPI確報値
21:30 米国10月NY連銀製造業景況指数
22:15 米国9月鉱工業生産、設備稼働率
25:15 フィッシャーFRB副議長講演
**:** 今週米国金融機関7〜9月期決算発表

10月18日(火)
06:10 豪中銀総裁講演
06:45 NZ7〜9月期CPI
17:30 英国9月CPI、PPI
21:30 米国9月CPI
23:00 米国10月NAHB住宅市場指数

10月19日(水)
11:00 中国7〜9月期GDP
11:00 中国9月鉱工業生産、小売売上高
17:00 南ア9月CPI
17:30 英国9月失業率
20:00 南ア8月小売売上高
21:30 米国9月住宅着工・建設許可件数
21:45 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
22:15 英財務相議会証言
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 米国週間原油在庫
26:30 (ダラス連銀総裁講演)
27:00 ベージュブック

10月20日(木)
08:45 NY連銀総裁講演
09:30 豪州9月失業率
09:30 豪州7〜9月期NAB企業信頼感指数
10:00 米国大統領候補第3回討論会
17:00 ユーロ圏8月経常収支
17:30 英国9月小売売上高
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国10月フィラデルフィア連銀製造業指数
23:00 米国9月景気先行指数
23:00 米国9月中古住宅販売件数
**:** EU首脳会合(〜21日)

10月21日(金)
17:00 黒田日銀総裁講演
17:30 英国9月財政収支
23:00 ユーロ圏10月消費者信頼感指数速報値
23:15 タルーロFRB理事講演
27:30 (サンフランシスコ連銀総裁講演)

今週の週間見通し

短期は安値高値切り上げも方向間なく次の材料探し

ドル円は方向感のはっきりしない展開が続いています。以前の102円台にあったレジスタンスを抜けて以降は短期的にドル高・円安トレンドを確定し、順調に103円台、104円台と水準を上げてきましたが、104円台前半から半ばにかけて再び上値の重たい流れとなってきました。先週も東京が休場となった月曜には102円台へと押し、短期的にはその月曜安値(102.81レベル)から安値高値を切り上げる動きというのが現状です。

米国の年内利上げコースはほぼ確定との見方がコンセンサスとなり、最近では為替市場も株式市場をそれを材料には動きにくくなってきています。あえて言うならば利上げ思惑から米国の長期金利が上昇し、それが為替市場でもドル買いを誘ったのが、先週目立った動きでしょうか。ただ、この動きも主要材料ではありませんし、市場参加者は次の材料を探している段階というところです。

大統領選討論前は警戒感からリスクオフの円買いも

今週は目立った材料こそ無いものの米国の経済指標やFRB関係者の講演が多い週です。ベージュブックもありますが、これらは少なくとも12月利上げコースの流れを変化させるものとはなり得ないでしょう。他には日本時間木曜10時に大統領候補による第3回のTV討論があります。ここまで劣勢な流れとなっているトランプ氏がクリントン氏にどのような反撃をしてくるのか、自滅してしまう可能性はありますが、広く訴えかけることが出来るTV討論としては最後のチャンスとなるため、トランプ氏が健闘する可能性を考えると、これはリスクオフの材料とされ、少なくともドル円はリスクオフの円買いとなり、いよいよ方向感が失われることとなってしまいます。

今週は、いったんファンダメンタルやイベントから離れ、テクニカルな観点から今一度チャートを見直してみることとしましょう。日足チャートをご覧ください。

長期的なサポートラインは英国国民投票後の安値からのサポートライン(ピンクの太線)であることに反論する人はいませんし、9月高値から延ばしたレジスタンスライン(青線)を上抜けたことで10月4日の長い陽線(101.61〜102.97)によって、短期的な上昇トレンドがスタートしていることも疑いの余地はありません。つまり、この陽線後の翌日の押し(102.67)が短期的なサポートとなっていると考えらえます。ここまでの上げの38.2%押しに当たる102.90とも近い水準です。

上昇局面からフラットチャンネルへの移行も

問題は、レジスタンスです。先週の動きから104円台半ばは妙に上値の重たい印象となっていますが、現在のレジスタンスとしてドルが強いという立場に立つならば9月下旬から引いてある2本の薄い青の線で挟まれた上昇ウェッジの中を上昇中と考えることが出来ます。逆にドルが弱いという立場に立つならば、9月高値と先週の高値を結んだライン(緑の太線)がレジスタンスとなっていて、ピンクの太線で示したサポートとセットで、ほぼフラットな(若干上昇)チャンネルに移行したと考えることができます。

材料的にインパクトに欠ける週で、かつトランプリスクが出て来る可能性が捨てきれないということになると、どうもテクニカルにはこのフラット・チャンネルへの移行の可能性に注意する必要がある週となってきます。今週のこのレジスタンスの水準は、104.70レベルにあり期間が長いことから若干の上抜けは許容範囲ということになります。

結論として、今週は102.70レベルをサポートに、104.80レベルをレジスタンスとやや下方向に余裕のあるレンジを見ておこうと思います。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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