ドル円 17-18日の日銀会合に向けて上値が重い展開(週報1月第3週)

未消化状況の新たな緩和縮小思惑がくすぶり続けドル円は昨年5月以来の127円台前半へと水準を大きく下げてきました。

ドル円 17-18日の日銀会合に向けて上値が重い展開(週報1月第3週)

ドル円 17-18日の日銀会合に向けて上値が重い展開(週報1月第3週)

〇ドル円127円台前半、12月日銀決定会合未消化のまま、新たな緩和縮小の思惑くすぶる
〇日銀の10年債買い支えで日本円のイールドカーブに歪み、10年もの金利自然体では1%程度か
〇最近の緩和縮小観測報道に前倒し感、次期総裁交代前に緩和縮小の道筋を作る内部の動きの可能性も
〇円金利の上昇の思惑が現在の円高要因、2015年高値125円台後半が市場のターゲット
〇18日の日銀政策決定会合、何らかの動きがある可能性高く、結果要注視
〇今週は125.50レベルをサポートに、129.00レベルをレジスタンスとする流れと見る

今週の週間見通し

ドル円は12月20日の日銀会合後の動きがまだ未消化に思えるということを先週書きましたが、未消化状況の新たな緩和縮小思惑がくすぶり続けドル円は昨年5月以来の127円台前半へと水準を大きく下げてきました。

12月20日のイールドカーブコントロール変動幅拡大で0.5%まで上限は広がったものの、日銀は指値オペで10年債を中心に買い続けていることからイールドカーブの形状自体が手前の7年債と先の15年債の水準から考え、明らかに10年債の利回りがへこんだカーブとなっていて、早晩追加での修正に動かざるを得ないという見方が広がっていたところに先週13日の大規模緩和の副作用点検観測記事です。

12月にも会合前に4月以降の緩和縮小観測や政府と日銀の共同声明見直しなどいくつかの観測記事が出ていましたが、徐々に緩和縮小の観測記事が前倒しになってきているように感じます。おそらくは黒田総裁後ではなく、次期総裁にバトンタッチする前に緩和縮小の道筋を作って、後から悪者は黒田前総裁にすればよいといった動きが日銀内、あるいは政府筋で少しずつ外堀を埋めて行っているという動きでしょうか。

先週は市場での10年債取引水準が0.5%を超えてきたことで一段とイールドカーブコントロールの修正思惑が高まっていますが、自然なイールドカーブ形状を考えるならば10年債利回りは1.0%程度となるべきであり、2カ月連続でそこまで変動枠の拡大を出来るのか、また拡大した場合にすぐにでも次への催促相場が始まるのではないかということを考えると、中途半端な拡大はすべきではないでしょうし、もしイールドカーブコントロール自体をやめると長期金利は10年債を中心に急速に上昇するでしょう。

そうした国内金利の上昇思惑が為替市場では円高に動かす要因となっています。1月5日のドル円コラムで過去の大相場だったアベノミクス相場では約50円の円安後に半値押しという動きがあったため、今回も同様の見方をすると127円台ということを書きましたが、早くも127円台前半です。オーバーシュートを考えると2015年高値の125円台後半という水準が現在市場参加者がターゲットと考えている水準と見てよいでしょう。チャートのみ再掲しておきますが、今回の大相場では上げも下げも動きが速いですが、値幅的には非常に似通っていることが再確認できます。

ドル円 17-18日の日銀会合に向けて上値が重い展開(週報1月第3週)

2015年高値の125円台にピンクの水平線を引いてありますが、その水準が当面のターゲットです。

いつもの日足チャートも見ておきましょう。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

先週引き直した2022年高値から引いたレジスタンスラインとそれに平行に引いたラインとで構成される平行下降チャンネル(ピンク)の中で着実に下降トレンドを続けていると見てよいでしょう。2015年高値を赤の水平線で引いてありますが、18日の会合結果次第では今週にも同水準まで下げる動きとなってもおかしくありません。

リークっぽい観測記事を見ていると、18日も何らかの動きがありそうです。今週は125.50レベルをサポートに、129.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月16日(月)
**:** 米国市場休場
**:** ダボス会議(〜20日)

1月17日(火)
**:** 日銀会合(〜18日)
08:30 豪州1月消費者信頼感
11:00 中国10〜12月期GDP ☆
11:00 中国12月鉱工業生産、小売売上高
16:00 ドイツ12月CPI
16:00 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感 ☆
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感 ☆
22:30 米国1月NY連銀製造業景況指数 ☆
29:00 NY連銀総裁講演☆

1月18日(水)
**:** 日銀会合結果発表 ☆
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
16:00 英国12月CPI ☆
17:00 南ア12月CPI
18:15 フランス中銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏12月CPI
20:00 南ア11月小売売上高
22:30 米国12月PPI、米国12月小売売上高☆    
23:15 米国12月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国1月NAHB住宅指数
24:00 米国11月企業在庫
28:00 ベージュブック ☆

1月19日(木)
07:00 ダラス連銀総裁講演 ☆
08:50 本邦12月貿易収支(通関)
09:01 英国12月住宅価格
09:30 豪州12月失業率
19:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
22:30 米国12月住宅着工・建設許可
22:30 米国新規失業保険申請数
23:00 (ボストン連銀総裁講演)
23:00 オランダ中銀総裁講演 ☆
25:00 週間原油在庫統計
26:00 シュナーベルECB理事講演 ☆

1月20日(金)
08:30 本邦12月CPI ☆
08:35 NY連銀総裁講演 ☆
09:01 英国1月消費者信頼感
16:00 英国12月小売売上高
16:00 ドイツ12月PPI ☆

19:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
24:00 米国12月中古住宅販売
27:00 ウォラーFRB理事講演 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月9日(月)
東京が休場となった月曜は早朝こそ金曜雇用統計後のドル売りの動きが残っていたものの下がり切らず、欧州市場前場まで勢いは無いもののドル買い戻しが続きました。しかし全般に取引は低調で132円台半ばから上では戻り売りを考える向きも多く、NY市場では131円台後半でもみあいのまま引けました。

1月10日(火)
小動きと言っても1円強は動きましたが、ドル円としては落ち着いた値動きの1日となりました。パウエルFRB議長の講演を前に動きにくかったという面はありましたが、議長講演は特に金融政策に関する言及もなく若干底堅い地合いを終日継続して引けました。

1月11日(水)
ドル円は細かい上下を挟みながらも底堅い展開が続き、NY市場の朝方に132.87レベルの高値をつけました。特に目立った材料も無い中で、日銀の緩和縮小思惑よりも長期的な内外金利差拡大の方向に乗った動きとなりました。ただ終日の値幅は80銭程度と動意薄の一日となりました。

1月12日(木)
東京朝方に日銀が大規模緩和の副作用点検を行うとの観測記事が出て、ドル円は131円台半ばまで押す動きで始まり、その後欧州市場までは一進一退のもみあいとなっていました。海外市場に入り改めて18日の日銀会合に向けて緩和縮小議論が行われるのではとの思惑が強まり130円台後半でNY市場入り。米国CPIは予想通りではあったものの6.5%に低下したことを受け米金利が低下。為替市場ではドル円を中心にドル売りが強まり、ドル円は128.86レベルと昨年6月以来の水準を見て安値引けとなりました。

1月13日(金)
週末のドル円は東京市場では朝方に前日安値を更新してから上値は重たいものの安値圏でのもみあいが続きました。欧州市場序盤に東京朝方の安値を下抜けると、18日の日銀会合で追加での緩和縮小思惑が燻り続けていることもあって、NY昼前には127.45レベルまで安値を切り下げ、その後127円台後半に戻して引けました。

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