ドルに続落リスク、日銀会合への注目度高い(週報1月第3週)

先週のドル/円相場はドル安進行。週末には昨年5月末以来の127円台を記録する局面も観測されていた。

ドルに続落リスク、日銀会合への注目度高い(週報1月第3週)

ドルに続落リスク、日銀会合への注目度高い

〇先週のドル円、ドル安進行し週末には昨年5月末以来の127円台を記録
〇発表された注目の米12月消費者物価指数は6ヵ月連続でインフレ率鈍化
〇先々週の5円以上の変動に続き先週は5.4円の価格変動、今週も大相場に注意
〇今週は日銀会合の結果発表やダボス会議などに注目
〇今週のドル/円予想レンジは、125.50-130.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドル安進行。週末には昨年5月末以来の127円台を記録する局面も観測されていた。

前週末は中国が入国時の隔離撤廃を発表し話題に。ただ、主要な欧米諸国などは入国制限などを設けており、旅行者が大きく増加するかは未知数だ。また、ロシアが一方的に宣言した「36時間停戦」が終了したものの、約束が守られなかったことが明らかになっている。
そうした状況下、ドル/円は132円前後で寄り付いたのち、しばらくはレンジ取引。131.30-132.90円といった1.60円ほどのあいだで往来相場をたどっている。しかし、12日に底割れすると一気に130円割れ。一旦持ち直すも、すでに上値は重く週末にかけてドルは再下落へと転じていた。昨年5月30日以来の安値である127円半ばを示現し、週末NYはそのままドル安値圏で越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、アトランタ連銀総裁が「5%超まで利上げし、水準を長期にわたり維持すべき」と発言。また、ボウマンFRB理事からも「さらなる利上げが必要」とコメントが発せられていたが、市場の反応はいまひとつだった。しかし、発表された注目の米消費者物価指数が、ほぼ予想通りの結果ながら、6ヵ月連続でインフレ率が鈍化したことに市場は反応。弱気ムードの高まりに押され、ドル売り・円買いが進行している。一方、日本は読売新聞が「日銀は17-18日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策にともなう副作用を点検」と指摘したことが大きな話題に。米国とは裏腹に、早期の日銀利上げ実施期待が強まりつつある。

対して後者は、前述したように中国が8日からの入国時隔離撤廃を発表した反面、日米欧などがいわゆる水際対策を強化しただけでなく、ドイツやベルギーは「中国への不要不急の渡航を見合わせるよう呼び掛け」措置を発令している。そうしたなか、中国当局が、日本と韓国で中国渡航に必要なビザ(査証)の発給手続きを突然停止。中国当局は停止した明確な理由に加え、停止期間も明らかにしていないが、前者部分に関しては日韓が実施した水際対策強化への報復措置との見方が有力だ。実際、「日韓は差別的な措置を取った」などといった発言も聞かれている。また、WHOの事務局長からは「中国での新型コロナによる死者が過少報告されている」などとし、情報提供正確性に改めて疑問を呈するコメントが発せられていたものの、馬耳東風の様相だった。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は、一週間で5円以上の変動をたどった先々週から一転。週の半ばまでは1.5円ほどと落ち着いた値動きだったものの、終わってみれば5.4円の価格変動だった。結果2週続けての大相場だったことになる。一年間で38円もの変動をたどった昨年の流れを依然として継いでいるようで、今週も予断を許さない。3週連続の大相場には要注意だ。なお、チャートなどを見るまでもなく、基本的なリスクは下方向。ドルはさらなる下値を試す展開もありそうだ。

前述したように、米地区連銀総裁などからは利上げ継続発言も聞かれるが市場の反応は鈍く、あまり信用していないフシがうかがえる。対して、日銀は逆に早期利上げを実施するとの期待感が非常に強い。つまり、日米金利は思ったよりも拡大しないばかりか、逆に縮小に向かうとの見方も根強く、足もとが7ヵ月ぶりのドル安・円高水準に達していることの一因になっていることは間違いないところだ。そうしたなか今週は、先で取り上げた読売新聞が「大規模な金融緩和策にともなう副作用を点検」と報じた日銀会合が17-18日に実施される予定。結果が発表される18日を中心に再び荒っぽい変動には十分に注意したい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は年明けから大荒れの様相。2週続けて5円以上の変動をたどっており、レベル的には昨年5月末以来の円高水準だ。下値リスクが高いことは間違いなく、起点を昨年1月安値102.59円とした場合のドル上昇幅の半値戻しは先週安値も近い127.25-30円。ちなみに61.8%戻しは121.45円レベルとなる。ただし、高値151.94円を起点に一貫した右肩下がりで、すでに20円を超える下げ幅を記録しているだけに、たとえ一時的にせよドルの反発にも一応注意しておきたい。

今週は、1月のNY連銀製造業景況指数や12月の小売売上高などの米経済指標が発表されるほか、米地区連銀報告の公表も見込まれている。また、先で指摘した日銀会合の結果発表やいわゆるダボス会議の開催、米金融機関などで決算発表が相次ぐなど、注目材料の多い1週間となっている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、125.50-130.50円。ドル高・円安については、128-129円台にも弱い抵抗はあるものの、強いものとなると130円レベルか。それを超えると、現在急下降中で週末には132円台割れも予想される移動平均の21日線がターゲットに。
対してドル安・円高方向は、先週安値も近いフィボナッチポイントの127.25-30円。それを割り込むと昨年5月安値の126.36円、さらに125円レベルなどが意識されそうだ。

ドルに続落リスク、日銀会合への注目度高い

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る