ユーロドル、ユーロ円とも長期ターゲットに近い(週報1月第3週)

先週のユーロドルは、ドル円が5円以上も大きく円高進行する中で216pipsの値幅に留まり、市場の主役は完全にドル円となりユーロドルは鈍い動きが続きます。

ユーロドル、ユーロ円とも長期ターゲットに近い(週報1月第3週)

ユーロドル、ユーロ円とも長期ターゲットに近い

〇先週のユーロドル、200pips強の小動きに留まる、米CPI鈍化で高値1.0868まで上昇
〇ユーロ円、ドル円の急落を背景に4円を超える値動き
〇今週18日の日銀会合注視、追加緩和縮小ならユーロ円の売りからユーロドルも下げる流れに
〇今週はユーロ圏ZEW景況感、ECB関係者の講演等を予定、ハト派発言がユーロ売り促す可能性も
〇欧州エネルギー価格はマイナス圏に、ユーロ圏CPIは今後着実に低下辿るか
〇今週は1.0725レベルをサポートに、1.0925レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、ドル円が5円以上も大きく円高進行する中で216pipsの値幅に留まり、市場の主役は完全にドル円となり、ユーロドルは蚊帳の外とまでは言えないまでも鈍い動きが続きます。ドル円は週間レンジが2週続けて5円を超えていますが、ユーロドルは200pips強のレンジに留まるいっぽうで、ユーロ円は4円を超えるレンジとなり、ドルよりも円の動きが欧州通貨にも影響を与えていることがわかります。

ユーロも材料が無いわけではありませんが、先週見た通りで欧州のエネルギー価格が1年前に比べてマイナス圏となっていることや海運コストが大幅に下落していることを考えると、米国の後追いでユーロ圏のCPIも今後着実に低下していくはずです。これも米国同様ですがECB関係者からはタカ派なコメントが目立ちますが、おそらくECBが考えているよりもインフレの終息は速く、金利上昇ペースが鈍るという見方につながるでしょうから、そうした状況を考えると、ユーロ円は長期的に下げ方向を見込む参加者が増えていくように思います。

今週はECB関係者の講演が複数予定されていますが、今までと同程度にタカ派な発言をしてもあまり影響は無いと思いますが、もし上述したようなインフレの低下に関連してハト派な発言が出てくるようであれば、ユーロ売りにつながる可能性はあるでしょう。ただ、最大の注目材料は18日の日銀会合ですから、日銀会合において追加の緩和縮小が出てくれば、ユーロ円の売りからユーロドルも下げる流れでしょうし、逆に現状維持ということになると多少は円安方向値への調整はあるかもしれませんが、次回3月18日に向けて中期的には催促相場になって行く可能性が高いと見ています。

今週は特に重要な発表もありませんので、チャートを見て行きましょう。今週はまず長めに週足チャートから見て行きます。

ユーロドル、ユーロ円とも長期ターゲットに近い

ドル円同様にドル高相場は2021年初から始まり、ユーロドルは一足先に9月28日にユーロ高(ドル安)へと方向転換していることがわかります。ドル円でのターゲットが125円台と近づいてきているのと同様に、ユーロドルもテクニカルにはそろそろ調整が入りやすい水準となっています。

2021年1月高値1.2348と2022年9月安値0.9535の半値戻しが1.0941となっていて、現在は大台1.1000レベルをターゲットにユーロ買い戻しの動きにいったん調整が入りやすい状態にあると見てよいでしょう。材料次第では61.8%戻しという水準も考える必要はありますが、1.1273とまだ距離があり、現時点の材料ではそこまでのユーロ高・ドル安も見込みにくいため、現在は半値戻しと重なる大台1.10がターゲットです。

日足チャートも見てみます。

ユーロドル、ユーロ円とも長期ターゲットに近い 2枚目の画像

前月に続いて先週も上側のラインを抜ける動きとなったため、引き直して一番下のサポートラインとそれに平行に引いた2本のラインとで平行上昇チャンネルの中での動きとなっていて、短期的にはいったん上限に近づきつつあり、長期的には大台1.0(赤の水平線)を目指す流れという展開と言えるでしょう。

今週は12月高値と重なる1.0725レベルをサポートに、1.0925レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。18日の日銀会合後のユーロ円の動きには注意しておきましょう。

今週のコラム

今週はユーロ円の週足チャートを見ておきましょう。

ユーロドル、ユーロ円とも長期ターゲットに近い 3枚目の画像

ユーロ円の場合、長期的な安値は2022年安値の124.38、高値は2022年高値の148.39です。そして、ユーロ円も半値押しを見ると136.39と現在の水準から2円弱下の水準となっていて、ドル円での長期半値押しと重なる水準と見てよいでしょう。

ユーロ円の場合、特に18日の日銀会合後の動きが注目されますし、今週中にも半値押しの136円台を見に行く可能性は高いと言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月16日(月)
**:** 米国市場休場

1月17日(火)
16:00 ドイツ12月CPI
16:00 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感 ☆
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感 ☆

1月18日(水)
**:** 日銀会合結果発表 ☆
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
16:00 英国12月CPI ☆
18:15 フランス中銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏12月CPI
28:00 ベージュブック ☆

1月19日(木)
09:01 英国12月住宅価格
19:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
23:00 オランダ中銀総裁講演 ☆
26:00 シュナーベルECB理事講演 ☆

1月20日(金)
08:30 本邦12月CPI ☆
09:01 英国1月消費者信頼感
16:00 英国12月小売売上高
16:00 ドイツ12月PPI ☆
19:00 ラガルドECB総裁講演 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月10日(月)
ユーロドルは金曜米国雇用統計後のドル売りの動きを続け、NY市場では1.0761レベルの高値をつけ、底堅い地合いのまま引けました。米国10年債利回りが欧州市場以降低下したこともドル売りの動きとなっていた様子でした。

1月11日(火)
ユーロドルはほとんど動きの見られない1日となりレンジも47pipsに留まりました。ドル円材料にばかり注目が集まる中で、次の材料待ちという流れになっていました。

1月12日(水)
ユーロドルは前日に続いて小動きで一日のレンジも51pipsに留まりました。フランス中銀総裁が講演でタカ派な意見を述べた際に一時的にユーロ買いも見られましたが、想定内の発言で大きな動きにはつながりませんでした。

1月13日(木)
ユーロドルはNY市場までは小動きでしたが、6.5%へと低下した米国CPIを受けたドル売りの動きから1.0867レベルまで上昇し高値引けとなりました。ただ、ユーロ円での売りも強く140円の大台目前まで下げたことから、ユーロドルの値幅はドル円に比べると限定的なものとなっていました。

1月14日(金)
ユーロドルは欧州市場前場まで前日高値圏でのもみあいが続いていましたが、ドル円の下げがユーロ円の下げにも波及したことからユーロドルもじり安の展開を辿りNY前場には1.0780レベルまで下押ししました。引けにかけては138.01レベルまで下げていたユーロ円が138円台半ばまで戻す動きとともに1.08台前半に戻して引けました。

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