日銀政策転換で相場は波乱含みの様相(12/20夕)

20日の東京市場は円が全面高商状。ドル/円は日中高値137円半ばから132円台まで、実に5円近い下落をたどっていた。

日銀政策転換で相場は波乱含みの様相(12/20夕)

日銀政策転換で相場は波乱含みの様相

〇本日のドル円、日中高値137円半ばから132円台まで5円近い下落をたどる、円が全面高商状
〇日銀の金融政策決定会合結果、大規模な金融緩和策の一部修正が材料視され円買いが殺到、株価も急落
〇134.50-138.20レンジでの往来相場だったが、日銀ショックを受けレンジをしっかりと割り込む
〇このあと欧米市場で改めて材料視される可能性も、ドルの続落に要注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.00-134.00、ドル高・円安方向は133.60-70レベルが弱い抵抗
〇ドル安・円高方向は、本日東京安値の132.65-70レベルが最初のサポート、攻防を注視

<< 東京市場の動き >>

20日の東京市場は円が全面高商状。ドル/円は日中高値137円半ばから132円台まで、実に5円近い下落をたどっていた。

ドル/円は136.85-90円で寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。137円台へと乗せたのち、137円半ばまで続伸する局面も観測されていた。しかし昼ごろ、日銀が金融政策決定会合の結果を発表。その内容として、「現在の大規模な金融緩和策の一部修正」が決定されたと報じられたことを材料視されると、ロスカット的な円買いが殺到する結果となった。短時間のうちに133円台まで値を下げ、そこから若干持ち直したのち、さらに円高2波でドル/円は132.70円レベルまで続落。16時現在ではなんとか133円台を回復して133.10-15円で推移、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは「日本の金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、東京昼ごろに日銀が金融政策決定会合の結果として、政策金利をマイナス0.10%で維持と発表。こちらは予想通りの内容ながら、同時に「長短金利操作の運用を一部見直し決定」、「長期金利の許容変動幅の上限を0.5%程度に引き上げ」としたことがサプライズで、為替市場は円買い殺到、日経平均株価も株価急落をたどっている。ちなみに、後者の日経平均は一時1000円を超える下落をたどったのち、669円安で東京市場を終えていた。一方、そののち夕方に掛けて黒田総裁は会見を実施。金融市場の反応の大きさに驚いたのか、そのなかで「今回の措置は利上げではない」、「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響に十分注視」などと発言しているが、効果はそれほど大きくない。欧米市場で再び円買いが強まるといった見方もあるようだ。

対して後者は、米紙WSJが「ゼロコロナ緩和と住宅市場政策の方針転換が起爆剤」としたうえで、「危機から一転、中国不動産業者の社債が復活」などと報じるような状況下、肝心のコロナ感染者ならびに死者数は増加傾向にあるとの見方は根強い。たとえば、米国務省の報道官も「中国で新たな変異株が登場する可能性を懸念している」、「中国のコロナ感染拡大は世界の懸念事項で、対処できることを望んでいる」と述べていた。まだまだ予断を許さないだろう。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は134.50-138.20円といったやや大きなレンジを形成しており、そのなかでの往来相場をたどってきたが、前述したように本日昼ごろの「日銀ショック」を受け、レンジをしっかりと割り込んできた。移動平均では21日線に上値を抑制されるなか、200日線を大きく下回ってきたことになる。さすがに短期的には下げ過ぎの域に入っているものの、リスクは下方向にバイアス。ドルの続落にも要注意だ。
次期日銀総裁候補のひとりである中曽前副総裁は昨日講演で、「コロナ禍からの回復が他の主要国に比べて遅れているため、何らかの引き締め方向のアクションは取りにくいのだろう」と述べたとされていた。だからというわけではないが、本日日銀が発表した事実上の「利上げ」とも言える政策発表は、市場筋の多くにサプライズと捉えられたわけで、このあと欧米市場で改めて材料視される可能性もある。再び波乱含みの様相も。

テクニカルに見た場合、本日東京でドル/円は14日の134.52円だけでなく、2日安値の133.63円も下回ると一時132円台へ。本日高値からだけでも5円近い下落をたどっている。短期的にはさすがに行き過ぎの感を否めないが、ドルの続落にも要注意。ちなみに7月31日安値130.40円が次のターゲットで、それも下回ると6月3日以来の129円台も。
対するドルの抵抗は、「日銀ショック」後にほぼ戻していない134円レベルか。いずれにしても、ドルの上値は重そうだ。

一方、本日は米経済指標として、11月の住宅着工件数や同建設許可件数が発表されるものの、本日も決まり物としての材料的にはやや少なめか。ただ、本日東京を見ても「薄商い=荒れ模様」をたどる可能性を否定できず、十分に注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.00-134.00円。ドル高・円安方向は133.60-70円レベルが弱い抵抗となっており、抜けても134円前後が抵抗。ドルの上値は重く、200日線もだいぶ遠のいた感がある。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の132.65-70円レベルが最初のサポートで攻防を注視。下回ると強いサポートは1円以上うかがえない。

日銀政策転換で相場は波乱含みの様相

ドル円日足


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