ドル円、日銀によるサプライズ的なYCC見直しを受けて大暴落。約4ヵ月半ぶり安値圏へ(12/21朝)

20日(火)のドル円相場は日銀ショックを背景に約7円もの値幅で大暴落。

ドル円、日銀によるサプライズ的なYCC見直しを受けて大暴落。約4ヵ月半ぶり安値圏へ(12/21朝)

ドル円、日銀によるサプライズ的なYCC見直しを受けて大暴落。約4ヵ月半ぶり安値圏へ

〇ドル円、日銀ショックで約7円もの値幅で大暴落、米国時間午後にかけ安値130.60まで急落
〇当局の金融引き締め否定発言、急激な円高へのけん制発言も相場の勢い抑制できず
〇200日線、12/2安値等を下方ブレイク、8/2安値130.40下抜けで上昇トレンド完全崩壊へ
〇ファンダメンタルズも日銀の実質的利上げによる日米金利差縮小観測と関連ポジション解消が重石
〇引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇クリスマス休暇前で流動性が顕著に低下しつつあり、フラッシュ・クラッシュ的なドル円急落に要警戒
〇本日の予想レンジ:129.50ー133.00

海外時間のレビュー

20日(火)のドル円相場は日銀ショックを背景に約7円もの値幅で大暴落。アジア時間朝方にかけて、高値137.48まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)日銀金融政策決定会合でのサプライズ的なイールドカーブコントロール見直し(10年物国債金利の許容変動幅を従来の±0.25%から±0.50%へ拡大)や、(2)上記1を背景とした本邦長期金利の急上昇、(3)日米名目金利差縮小に伴うドル売り・円買い、(4)円キャリートレード解消に伴う大規模ロスカット、(5)主要テクニカルポイント(200日移動平均線135.72、12/2安値133.62、8/11安値131.73)の下方ブレイク(地合いの著しい悪化)が重石となり、米国時間午後にかけて、8/2以来、約4カ月半ぶり安値となる130.60まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/21午前5時10分現在)では、131.55前後で推移しております。

尚、昨日は強烈な円高が進行する過程で、神田財務官による「為替はファンダメンタルズを反映し安定的推移が望ましい」「為替市場、引き続きしっかりと注視したい」との円高牽制発言や、黒田日銀総裁による「今回の措置は利上げではない」「変動幅の更なる拡大は今のところ考えてない」「今回の措置は出口政策とか出口戦略の1歩とかそういうものでは全くない」「金融緩和の継続が適当」「現時点で共同声明を見直す必要があるとは考えていない」との金融引き締め否定発言、松野官房長官による「(日銀による今回の措置は)緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図ることで金融緩和の持続性を高め、物価安定目標の実現を目指すものと受け止めている」との金融引き締め否定発言が相次ぎましたが、市場の勢いの抑制には至りませんでした。

20日(火)のユーロドル相場は方向感に欠ける展開。(1)日銀によるサプライズ的なYCC見直し決定や、(2)上記1を背景とした本邦長期金利の急上昇、(3)キャリートレード解消に伴う円独歩高の活発化(ドル円急落→ユーロ円急落→ユーロドル連れ安)、(4)株式市場の大幅下落(リスク回避のドル買い圧力)、(5)短期筋のロスカットが重石となり、日本時間14時過ぎに、安値1.0579まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)エストニア中銀ミュラー総裁による「これまでの利上げでは不十分」とのタカ派的な発言や、(7)スロバキア中銀カジミール総裁による「ECBは安定したペースで引き締める必要性がある」とのタカ派的な発言、(8)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.0658まで反発しました。もっとも、前日高値1.0659をバックに伸び悩むと、(9)米金利上昇に伴うドル買い再開が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/21午前5時10分現在)では、1.0620前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は12/15に記録した高値138.18をトップに反落に転じると、昨日は一時130.60(8/2以来、約4カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。この間、主要テクニカルポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を決定づけるチャート形状となりつつあります(市場参加者に注目されていた200日移動平均線や12/2安値、8/11安値も下方ブレイク達成済み。8/2安値130.40を下抜けできれば、ダウ理論の上昇トレンド完全崩壊に繋がるため、地合いが一段と悪化する恐れあり)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め休止観測(先週発表されたドットチャートはタカ派的な内容となったものの、インフレ鈍化局面での積極利上げ継続は、実質金利上昇を通じて米経済のオーバーキルを招く公算大。従って、ドットチャートに示されたようなタカ派スタンスは維持できないとの見方が市場コンセンサス)や、

(2)日銀による金融緩和の終了観測(昨日の日銀金融政策決定会合でサプライズ的なYCC見直しを決定。黒田総裁は出口戦略では無いと発言するも市場では明らかな出口戦略の第一歩=実質的な利上げ措置と解釈)、(3)上記1、2を背景とした日米名目金利差縮小の思惑、(4)上記3に伴う円キャリートレード解消懸念、(5)原油価格の軟調推移(本邦の貿易赤字縮小期待→構造的な円売り圧力の後退)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(クリスマス休暇前で流動性が顕著に低下しつつあるため、フラッシュ・クラッシュ的なドル円・クロス円の急落に引き続き警戒が必要)。尚、本日は米7ー9月期経常収支や、米11月中古住宅販売件数、米12月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米20年債入札が予定されております。

本日の予想レンジ:129.50ー133.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日銀によるサプライズ的なYCC見直しを受けて大暴落。約4ヵ月半ぶり安値圏へ

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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