ドル円 先週の週足陰線は今年最大、ドル続落に注意(週報11月第2週)

先週のドル/円相場はドルが独歩安。週足は今年最大、実体部だけで8円を超える長大陰線引けとなった。

ドル円 先週の週足陰線は今年最大、ドル続落に注意(週報11月第2週)

ドル円 先週の週足陰線は今年最大、ドル続落に注意

〇先週のドル円、週間高値147.55示現後、138円台まで一気に大幅続落
〇米10月CPI大幅に予想下回る、当局者発言もあり米追加利上げ期待が大きく後退
〇年初来高値から13円超えるドル安進行、下値余地を注視
〇今週は小売利上高など米経済指標多数、米中首脳会談、G20首脳会談にも要注意
〇今週のドル/円予想レンジは137.00-142.00、140あるいは140.35の攻防に注目
〇ドル安・円高方向は先週安値138.47円が最初のサポート

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが独歩安。週足は今年最大、実体部だけで8円を超える長大陰線引けとなった。

前週末の5日昼ごろに北朝鮮が懲りずにミサイル発射を実施。黄海に向け弾道ミサイル4発を発射したという。一方、ウクライナ侵攻中のロシアに対する無人機(ドローン)供与疑惑を、これまで否定してきたイランが初めて公に認めたことも話題に。
そうした状況下、ドル/円は前週末のNYクローズ146.60円レベルからジャンプアップした147円台で寄り付き。その後週間高値の147.55円を示現したが、以降は週間を通してドル弱含みとなった。とくに、10月21日の当局円買い介入後安値144円半ばを下回ってからは、ストップロスを巻き込む格好で下げが加速。9月初旬以来の140円割れを示現し、一時は138.47円も。週末NYはそのままドルの安値圏138.70-80円で取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米インフレ動向と金融政策」と「大荒れの暗号資産」について。
前者は、注目されていた10月の米消費者物価が10日に発表されたが、市場を下回る数字でインフレ観測が後退。またサンフランシスコ連銀総裁やダラス連銀総裁など複数の米当局者が今後の米利上げについてややトーンダウンしたと目される発言に動いたことも材料視されると、ドル/円がそののち138円台まで下落するドル安のトリガーを引く格好となった。なお、そうしたなか米財務省が半期に一度の為替報告書を発表したが、そのなかで「日本の為替介入は市場で決定すべきとのG7声明公約を受け入れている」などとし、日本を擁護する文言も散見されていたようだ。

対して後者は、先週は為替市場も荒れ模様だったが、暗号資産(仮想通貨)も全般大荒れ。代表格であるビットコインは週明け7日には21000ドル台をつける局面も観測されたが、そののち15600ドル台まで5000ドルを超える「暴落」。率にして25%もの下げを記録していた。材料になったのは、交換業大手FTXトレーディングの財務不安。また、救済を要請された同業最大手のバイナンスが、前述FTXトレーディングの米国以外の事業を買収することで一時話がまとまったものの、舌の根の乾かぬうちに破断となり、そののち週末にかけては「FTXトレーディングが日本の破産申請法に相当する連邦破産法11条の適用を申請した」との発表も。悪材料が次から次へと噴出し、ビットコインは浮上できず回復は鈍かった。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場の週足は今年初の4週連続、そして今年最大となる実体部だけで8円を超える陰線引け。年初来高値からみて13円を超えるドル安・円高の進行であり、さすがにトレンド転換と言わざるを得ない。テクニカルには移動平均の21日線や90日線をしっかりと割り込んだことに続き、一目均衡表では遥か下方に位置すると見られた先行帯の雲のなかへと日足がスッポリ入ってきた。リスクはもちろん下向きながら、そろそろ下げ止まるか否か下値正念場と言えそうだ。

日米の絶対的な金利差を考えると、ドル高・円安基調は今後も続くと予想されるものの、これまでの米追加利上げ期待が大きく後退したこともあり、しばらくのあいだドルを積極的には買いにくくなったことに間違いない。そして先週は、これまで買われ過ぎた分のポジション巻き戻しが一気に進んだことになる。しかし、与党・民主党の大敗も見込まれていた米中間選挙は、想像以上に民主党が善戦。バイデン政権による基本的な政策継続観測からの安心感なども取り沙汰されており、ドルの下値を支えそうだ。いずれにしても、材料的には発表される米経済指標そして米国を中心とした要人発言にまずは注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は9月2日以来となる140円割れを達成しただけでなく、その勢いを買い週末には一気に138円台まで大幅続落をたどっている。
なお、起点をどこからとるかによるが、8月2日安値の130.40円だとしてフィボナッチで見た場合には上げ幅の61.8%戻し138.60-65円もすでに下回っており、76.4%戻し135円半ばが一応の下値メドとなる。飽くまでフィボナッチの観点によるが、ドルの下げ余地はまだまだ大きい可能性も。

今週は、10月の小売売上高をはじめ週間を通して多くの米経済指標が発表される予定となっている。もちろん、それらも要注意だが、今週は前述した米中首脳会談やG20首脳会談などの政治ファクターにより要注意か。また、17日の英中期財政計画発表も内容如何ではポンド相場の波乱要因となりかねない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、137.00-142.00円。ドル高・円安については、2ヵ月以上もドルの下値を支えてきた140円レベル、あるいは9月22日安値140.35円の攻防にまずは注目。超えれば141円台に位置する90日線を目指す。
対してドル安・円高方向は、先週安値138.47円が最初のサポートで、また週間を通しては一目均衡表の雲の下限を割り込めるか否かも注視されそうだ。NYクローズベースでしっかり下回ると、ドルにさらなる下値余地が広がりかねないだろう。

ドル円 先週の週足陰線は今年最大、ドル続落に注意

ドル円日足

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