米FOMCなど注目材料多いがドル上値は重そう(週報10月第5週)

先週のドル/円相場はドルが小安い。週明けに観測された政府・財務省介入の影響などもあり、ドルは週間を通して冴えず。上値は重かった。

米FOMCなど注目材料多いがドル上値は重そう(週報10月第5週)

米FOMCなど注目材料多いがドル上値は重そう

〇先週のドル円、上値重い展開を辿る、150円手前で本邦当局が円買い介入実施
〇週末NYは147円半ばで越週、今週も中期的なドル高基調に変化ないか
〇ECB金融政策決定会合、0.75%利上げ発表しやや強気トーン、日銀は金融緩和維持を表明
〇今週は米10月ISM製造業景況指数、同雇用統計、FOMC結果発表、パウエル議長発言に注目
〇今週のドル/円予想レンジは、145.50-150.50、先週末高値147.86が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、147円近くまで切り上がってきた21日線をめぐる攻防に注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小安い。週明けに観測された政府・財務省介入の影響などもあり、ドルは週間を通して冴えず。上値は重かった。

前週末は、米露国防相が21日と23日の2度にわたって電話会談を行ったことが思惑を呼ぶ。一方、トラス英首相の後任を決める与党・保守党の党首選で、立候補が取り沙汰されていたジョンソン前首相が、一転して出馬の見送りを決めたことも話題に。
そうした状況下、ドル/円は147.70円レベルで寄り付いたのち、150円に迫る週間高値149.70円まで2円程度上昇。しかし、そこで当局が円買い介入に出動したことでドルは急反落すると、一時145円台前半まで4円を超える下落となった。ただ、ドル高という基調そのものは変わらず、結局「行って来い」。そののち再び149円台を示現する局面も観測されたが、発表された米経済指標が冴えない内容になったり、米長期金利が下落をたどったりしたこともあり、再びドル安が進行。145-148円での乱高下を経たのち、週末NYは147円半ばで取引を終え越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米為替政策と円買い介入」と「各国金融政策決定会合」について。
前者は、21日の円買い介入を受け、ドル/円の新たな「ドル高シーリングは150円台」といった見方も聞かれるなか、週明け早々24日東京早朝にはその150円に急接近する149円半ばから後半でやはり「円買い介入」と思しき動きが観測されていた。ちなみに、当局は21日そして24日の介入実施をいまだ正式に認めていないが、21日におよそ5.5兆円規模、24日は7000-9000億円規模の介入が実施されたことは、幾つかのデータでほぼ確実と見られている。その一方、イエレン米財務長官が「日本のいかなる介入も知らない」などと、やや突き放したような発言をしたと伝えられたが、神田財務官は会見で「イエレン氏は日本が介入を公表しないこと尊重している」とフォロー。さらに、「米国とは毎日連絡を取っている」と指摘し、市場の一部で台頭していた日米間で意思疎通が出来ていないとの思惑を一蹴していた。

対して後者は、27日にECBが金融政策決定会合の結果として0.75%の利上げを発表。また、「追加利上げは会合ごとに決定する」としつつも、「インフレ見通しへのリスクは主に上振れ方向」、「さらに数回の会合で利上げをする可能性はある」などとし、全体のトーンはやや強気だった。一方、それに続く格好で翌28日には日銀も政策決定会合の結果として、予想通りの「金融緩和維持」を発表。ただ、声明のなかで「為替市場の急激な変動がみられる」、「金融・為替市場の動向などを十分注視」などとしたほか、黒田総裁も会見で「最近の円安は急速かつ一方的、 容認できない」などとコメントしている。

<< 今週の見通し >>

先週は週明けに円買い介入が観測されたことなどもあり、ドル/円の上値は重い。週足は2週連続の陰線引けとなった。中期的なドル高基調そのものに依然として変化はないものの、短期的には前述した円買い介入への警戒感もあり、ドルの頭の重い展開は続きそうだ。新たなドル高シーリングと目されている「150円」レベルを大きく超え、さらにドル高が進行することは予想しにくい。
日銀は先週の金融政策決定会合で金利の据え置きを発表したうえで、黒田総裁が「いますぐ利上げ、出口が来るとは考えていない」と発言。金利の引き上げが当面ないとの見方をさらに高める結果となった。日米金利差という観点からは、やはりドル高・円安方向のリスクが高い。また、個人的に気になったのはその黒田氏が発した「日本は円高で困ってきた歴史がある」と「金融政策は為替が目的ではない、あくまで物価目標の達成」−−とのコメントだ。これまでにも言われてきたことだが、スピード的な問題をクリアすれば、ある程度のドル高進行を容認しているともいえる。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は週明け150円手前で円買い介入もあり結局週間を通して一度も150円台には乗せられず。図らずもドルの上値の重さが露呈した格好となった。ただ、その一方で一時NYクローズベースでも下回った移動平均の21日線は週末に何とか回復。今週も21日線をめぐる攻防には引き続き注意を払いたい。基本的にはドルの上値は重いが下値も堅そう、ということで146-149円台を中心とした強保ち合いが続く可能性もある。

今週は10月ISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表される予定となっている。また米FOMCの結果発表や、それと絡めたパウエルFRB議長の記者会見に要注意。材料的には注目要因が多く、波乱含みの一週間か。

そんな今週のドル/円予想レンジは、145.50-150.50円。ドル高・円安については、先週末高値の147.86円が最初の抵抗。超えれば新たなドル高シーリング150円に近い、先週高値149.70円が視界内に。
対してドル安・円高方向は、147円近くまで切り上がってきた21日線をめぐる攻防にまずは注目。下回れば少し遠いが先週安値の145.11円、144円半ばなどが意識されそう。

米FOMCなど注目材料多いがドル上値は重そう

ドル円日足

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