上下とも見てもみあいの週に
〇先週のドル円、米金利低下の動きと歩調を揃えドル売り、145円の大台目前まで水準切り下げる
〇金曜に米金利上昇と黒田総裁会見での円安容認きっかけに148円近くまで戻す
〇本日10月の介入実績発表、想定以上なら介入で流れ止められないと改めてドル買い材料に
〇2日のFOMC、利上げペース縮小への言及あるかどうかが最大の注目材料
〇今週は米金利の動き見ながら145.50をサポートに149.50レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通し
先週のドル円は、週明け朝方に介入が入ったことで乱高下のスタートを切りましたが、その後は木曜まで米金利が低下する動きと歩調を揃えてのドル売りとなり、145円の大台目前まで水準を切り下げました。しかし、下がったところではまだまだドル買い意欲が強く、金曜には米金利が上昇に転じたこと、また日銀会合後の黒田総裁会見で安定的な円安であればプラスと相変わらずの円安容認もきっかけとなって148円近い水準に戻しての引けとなりました。
こうして見ると引き続き円相場に与える米金利の影響が大きいことがわかりますので、今週はザラバベースでの米金利(ライン)と円相場(ローソク足)のここ1週間ほどの動きを1時間足チャートで見るところから始めましょう。
左端は金曜から月曜にかけての介入による乱高下ですが、それでも米金利の動きと方向性は揃っています。むしろ翌火曜日は米金利の上げ下げに関わらずドル円は介入直後で動きにくそうでしたが、その後は週末まで似たような動きを見せていることがわかります。ファンダメンタル的には色々な材料はあるはずですが、どうも現時点の市場参加者は米金利の動き以外はあまり参考にせず、値動きを単純化して考えているように思えます。
また本日は月末で10月の介入実績が発表されますが、想定通りなのかあるいは想定よりも介入規模が大きいのかで覆面介入があったかどうかの憶測も出てきそうです。想定以上という場合には、やはり介入では大きな流れは止められないと改めてドル買い材料にされる可能性があります。
そして2日に最大の注目材料であるFOMCが開催されますが、今回の利上げ幅0.75%は織り込み済みで、来月以降の利上げペースが縮小していくことについての言及があるのかどうかが最大の注目材料となります。週末には雇用統計もありますが、既に完全雇用状態の下でよほど予想から外れた数字が出て来なければ、あまり材料視されないのではないかと見ています。あとは欧州関連の材料も多いので、そうした材料でユーロドルに動きが出てくるかどうかも併せて見ておきたいのですが、やはり今週も米金利の動き以外はあまり気にしない動きになりそうではあります。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
10月もよく動きましたが、10月高値で目先の高値をつけ、その後先週安値で目先の安値も見た動きです。財務省は150円を超える円安に対して介入する可能性があり、現状では10月高値と先週安値の61.8%戻し149.32を戻り高値の水準と見てよさそうです。下値については先週安値の若干上の水準を考えます。
今週は米金利の動きを見ながらも145.50レベルをサポートに、149.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月31日(月)
**:** 欧州冬時間開始 ☆
09:30 豪州9月小売売上高
16:00 ドイツ9月小売売上高
18:30 イタリア中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値 ☆
19:00 本邦10月介入実績 ☆
22:00 南ア9月貿易収支
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景況指数
24:00 レーンECB理事講演 ☆
11月1日(火)
06:45 NZ9月住宅建設許可
10:45 中国10月MarkIt製造業PMI ☆
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆
16:00 トルコ10月製造業PMI
16:00 ドイツ9月輸入物価
17:20 豪中銀総裁講演 ☆
18:30 英国10月製造業PMI
22:45 米国10月製造業PMI
23:00 米国10月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国9月建設支出
**:** FOMC(〜2日)
11月2日(水)
06:45 NZ7〜9月期失業率
08:50 日銀会合議事要旨公表
09:30 豪州9月住宅建設許可
16:00 ドイツ9月貿易収支
17:50 フランス10月製造業PMI
17:55 ドイツ10月製造業PMI
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI
18:00 アイルランド中銀総裁講演
21:15 米国10月ADP全国雇用者数
23:00 フランス中銀総裁講演
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果公表 ☆
27:00 ドイツ連銀総裁講演
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆
11月3日(木)
**:** 東京市場休場
09:30 豪州9月貿易収支
10:45 中国10月MarkItサービス業PMI ☆
16:00 トルコ10月CPI
16:50 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:00 パネッタECB理事、ドイツ連銀総裁講演
18:30 英国10月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏9月失業率
20:30 米国10月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
21:30 英中銀総裁会見 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国9月貿易収支
21:30 米国7〜9月期単位労働コスト速報値
22:45 米国10月サービス業PMI
23:00 米国10月ISM非製造業指数 ☆
23:00 米国9月製造業新規受注
11月4日(金)
09:30 豪中銀四半期金融政策報告 ☆
16:00 ドイツ9月製造業新規受注
16:45 フランス9月鉱工業生産
17:45 デギンドスECB副総裁講演 ☆
17:50 フランス10月サービス業PMI
17:55 ドイツ10月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI
18:30 英国10月建設業PMI
19:00 ユーロ圏9月PPI ☆
21:30 米国10月雇用統計 ☆
23:00 ボストン連銀総裁講演
11月6日(日)
**:** 米国冬時間移行 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月24日(月)
週明けのドル円は金曜の介入にも関わらず朝方に149.71レベルと150円目前まで上昇していましたが、再び介入が入ったと見られ145.48レベルの安値をつけました。しかし、介入が出たところではドル買いという動きから仲値過ぎには149円台乗せ。その後欧州市場でも一時的な下げは見られたものの介入かはわからず、こちらもすぐに買い戻され、その後は149円近い水準で横方向のもみあいのまま引けました。
10月25日(火)
ドル円は週末を挟んでの介入前後の乱高下を除くと積極的な取引を手控える状況となり、NY市場までは149円を若干下回る水準でのもみあいが続きました。NY市場では米金利低下とポンド買い(ドル売り)に引っ張られて147.51レベルまで水準を下げましたが、引けにかけては148円近くに戻して引けました。
10月26日(水)
ドル円は東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場に入ってからは前日に続いて米金利が低下する流れとともに全般的なドル安の動きが続きました。NY市場ではカナダ中銀が予想よりも少ない0.5%の利上げにとどめたことから引けにかけてドル安となり、146.22レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。
10月27日(木)
ドル円は前日に続いてドル売りが先行、前日安値を割り込むとストップオーダーも巻き込みながら145.10レベルまで水準を下げ週間安値をつけました。しかし145円割れにはドル買いオーダーも見られ、ECB理事会、米国GDPを控えていることから買い戻しが入り、米金利上昇も手伝って日中高値を上回ると146.94をつけてのGDP待ち。GDPは予想よりも強かったものの、急速に米金利が低下する動きとともに利食い売りが入り145.67レベルまで下押し後、引けにかけては146円台前半に戻して引けました。
10月28日(金)
ドル円は前日に145円を試しきれなかったことから週末を前にした短期筋のポジション調整によるドル買いが続きました。日銀会合後の黒田総裁会見で安定的な円安ならプラスと発言したことをきっかけに円安に動き147.86レベルの高値をつけましたが、海外市場に移ってからは147円台半ばを中心としたもみあいのままで引けました。
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