32年ぶり高値圏で推移、リスクは依然ドル高
〇本日のドル円、前日高値には届かないものの147円を下回ることはなく、終日147円台での強保ち合い
〇昨日欧米時間に1998年高値147.64を更新、テクニカルにドルの上値は青天井状態、リスクは依然ドル高
〇ドル/円は32年ぶり高値圏での推移、大きな心理抵抗である150円に向けた動きをたどる可能性も
〇9/22安値を起点として約3週間で7円を超えるドル高進行、調整的な下押しが入っても不思議はない
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ146.80-148.10、ドル高・円安方向は昨日高値147.67が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、146.85レベルの攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
14日の東京市場はドルが高原推移。前日のNY時間に1998年高値147.64円を一時上回った流れを継ぎ、終日147円台での強保ち合いだった。
ドル/円は147.20円レベルで寄り付いたが、さすがにドルの上値は重い。当局の介入警戒感などがくすぶるとドルの上値を積極的に買っていく向きも限られた。ドル高値は147円半ばまでで、前日高値にはとどかず。しかし下値も堅く、結局一度も147円を下回ることはなく、16時現在では147.40-45円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の円安けん制」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、昨日欧米時間に鈴木財務相から「G20で過度な変動に対応するため介入を実施したことを説明した」との発言が聞かれるも、市場の反応は鈍い。そうしたなか注目の米消費者物価指数が記録的な高い数値になったことを受けてドルは急伸。147円を超える展開となった。1998年高値147.64円も更新すると、1990年8月以来のドル高値を示現している。一方、ドル/円が32年ぶり高値圏に達していることもあり、早朝から鈴木財務相や黒田日銀総裁の発言が相次ぐ。たとえば、鈴木財務相から「前回介入は米国から理解を明確に示していただいた」といったコメントも発せられたが、本日に具体的な動きは観測されず。肩透かしをくらった感も否めない。
対して後者は、本日未明に北朝鮮が弾道ミサイルと思しき飛翔体をまたもや発射したとして話題に。北朝鮮によるミサイル発射は巡航ミサイルも含め、今年だけで27回に及ぶ。また、今回は久しぶりにミサイル発射後、朝鮮中央通信を通じて「韓国に軍事的対抗措置をとった」とする声明も発表されていたようだ。さらに、韓国統合参謀本部によると、約10機の北朝鮮軍機が南北の境界線近くを飛行、韓国軍機がスクランブル発進したという。南北朝鮮をめぐる情勢が俄かにきな臭くなってきた感もある。
<< 欧米市場の見通し >>
前述したように、ドル/円は昨日欧米時間ついに147円台乗せ。しかも1998年高値147.64円をわずか数銭ながら更新してきた。こうなると、テクニカルにドルの上値はまたもや青天井状態。リスクは間違いなくドル高方向にバイアスが掛かり、ポジションの偏りや当局の介入警戒などを無視すれば、大きな心理抵抗である150円に向けた動きをたどる可能性も否定できないだろう。
材料的には、このところ猫の目相場で基調もコロコロ変化するのが特徴だ。実際、昨日もドル全面高だったものが、何故か途中で円全面安へと切り替わり、現在に至っている。いずれにしても、本日も発表される米経済指標をにらみつつ、日本の通貨当局の対応が注視されていることは間違いない。昨日、日経新聞はG20財務相・中銀総裁会議について、「米国の急速な利上げで各国通貨は対ドルで下落しており、日本以外でも為替に言及する参加国が出た」とレポート。事実とすれば、財務省のドル売り・円買い介入実施のハードルが少し下がったのではないだろうか。
テクニカルに見た場合、ドル/円は32年ぶりの高値圏、147円台で推移している。一本調子に到達するのかは別にして、方向性としては150円を目指す展開か。
しかし、前回に介入を実施した9月22日安値を起点としても約3週間で7円を超えるドル高が進行している。そのあいだ明確な調整局面は見当たらず、価格でいえば2-3円、そろそろしっかりとした調整的な下押しが入っても不思議はないだろう。
本日は米経済指標として、9月の小売売上高や10月のミシガン大学消費者信頼感指数速報が発表されるほか、JPモルガンやシティなどによる決算発表も予定されている。またIMF・世銀の年次総会といった政治的なイベントにも要注意で、とくにこの週末16日から中国ではじまる「共産党大会」を警戒する向きもあるようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは146.80-148.10円。ドル高・円安方向はまず昨日高値にあたる147.67円が最初の抵抗。抜けると148円台乗せも否定できない。
対するドル安・円高方向は、146.85円レベルの攻防にまずは注目。下回ると昨日安値146円半ばを目指す展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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