ドルは年初来高値更新、介入警戒感くすぶる(10/12夕)

12日の東京市場はドル高進行。

ドルは年初来高値更新、介入警戒感くすぶる(10/12夕)

ドルは年初来高値更新、介入警戒感くすぶる

〇ドル円、一時146.40近くまで上昇し年初来高値更新、16時現在も146円台で推移
〇鈴木財務相、松野官房長官等から円安けん制発言聞かれるも実弾介入は見送られた模様
〇テクニカルにはドル円は年初来安値更新するも過熱感乏しく、時間足でも「緩やかな上昇」
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ145.50-146.60
〇ドル高・円安方向は東京高値にあたる146.40レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、これまでのドル高値だった145.90レベルが最初のサポート

<< 東京市場の動き >>

12日の東京市場はドル高進行。年初来高値145.90円を更新し、一時146.40円近くまで続伸する局面も観測されていた。

ドル/円は年初来高値に迫る145.85円で寄り付いたのち、ドルが底堅い。下値はすでに切り上がっており安値は145.75円レベルまで。しかし、当局の円買い介入警戒感からドルの上値も限られ、当初は上げ渋ったものの、ついに突破するとストップロスを巻き込みつつ146円台へ上伸。そのまま16時現在でも146円台を維持し、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは「ロシア情勢」と「日本の円安けん制」について。
前者は、前日に続きロシアが「報復」と称した民間施設などを狙った大規模ミサイル攻撃が実施されている。ウクライナ大統領によると、「ミサイル攻撃は28発中、20発を迎撃した」とされるが、それでも一定のダメージを負ったもよう。たとえば、ロシアの攻撃でウクライナの電力施設が損壊し、停電が相次いでいるという。そうしたなか、オンライン形式でG7首脳会議が実施され、「ロシアのミサイル攻撃をもっとも強い言葉で非難する」−−などとした声明が発表されていた。

対して後者は、週末の英紙FTインタビューに続き、今度は米CNBCで米財務長官が再びドル高容認発言。米国の景気が先進国のなかでもっとも好調だと指摘したうえで、「ドル高進行は当然の結果」との認識を示したという。発言を受けたドル買い・円売り安心感も影響したのか、ドル/円の実勢相場は前述したように本日東京時間146円台乗せ。一方で、鈴木財務相「必要ならば必要な措置をとるという考えに変わりはない」、松野官房長官「過度な為替変動には適切な対応をとりたい」−−といった円安けん制コメントも聞かれていたが実弾介入は見送られたようで、効果も限定的だった。

<< 欧米市場の見通し >>

ここ最近、連日ドルの戻り高値を更新していたドル/円は、本日の東京時間ついに年初来高値を更新してきた。リスクは引き続き上方向で、一本調子に到達するということではないにせよ1998年高値の147.64円を意識した値動きをたどる可能性もありそうだ。ただし、9月22日の政府・財務省介入実施水準を超えていることから、依然として警戒感が強いだけでなく、いつ第2弾が観測されても不思議はないだろう。
なお、財務省の介入について、当初は「実施しても効果が乏しい」などといった意見もあったが、結果として146円近くから140円台まで5円のドル安・円高が進行。また「効果の継続性に欠ける」とも言われていたが、3週間目にしてようやくドル/円は高値更新したことからすれば、一定の継続的効果はあったと考えて間違いなさそうだ。次回実施される円買い介入第2弾は、当然初回より効果は限られそうだが、それでも予断を許さず。ポジション管理などにはしっかりと注意をしていただきたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京時間に年初来高値を更新するも過熱感は乏しい。時間足のような短期のチャートを見ても、「急騰」はしておらず、飽くまでも「緩やかな上昇」にとどまっている。だからこそ、日本の通貨当局は円買い介入を見送っているのかもしれないが、いずれにしても基本的なリスクはドル高方向。このあとも当局の実弾介入が観測されなければ、ドル/円のじり高推移はまだしばらく続いても不思議はない。

材料的に見た場合、中長期的には中国人民銀行が、人民元相場を基本的に安定させるための措置を講じると表明した「中国情勢」。ここのところ「ロシアの核使用」懸念が声高にそこここで指摘されている「ロシア・ウクライナ情勢」、「北朝鮮情勢」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、9月の生産者物価指数が発表されるほか、9月実施分のFOMC議事録要旨も公開される見通しだ。また米財務省による10年債の入札、米国を中心に欧州の通貨当局者による講演なども少なくなく、それらの発言内容には一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは145.50-146.60円。ドル高・円安方向は東京高値にあたる146.40円レベルが最初の抵抗。ちなみに、その少し上のレベル146円半ばは、昨日4本値を参考にしたピボットテーブルのHBOPにあたるテクニカルポイントだ。
対するドル安・円高方向は、これまでのドル高値だった145.90円レベルが最初のサポートとして、まずは意識されそうだ。それを割り込むと昨日のドル安値145.43円を目指す展開か。(了)

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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