ドル円 ドル買い再開、年初来高値更新か(週報10月第2週)

介入前の高値145.90レベルを改めて試すと見る向きが多い様子です。

ドル円 ドル買い再開、年初来高値更新か(週報10月第2週)

ドル円 ドル買い再開、年初来高値更新か

〇先週のドル円、145円台での介入警戒感から週前半ドル売りの動き、水曜東京朝方143円台半ばまで下落
〇しかし引き続き押し目買いは根強く、介入前の高値145.90レベルを改めて試すか
〇今週はFRB関係者の講演多く、なかでもタカ派であるクリーブランド連銀総裁の発言に注目 
〇9月CPIも今週発表予定、強い数字であればドル高地合い、弱ければドル安地合いという動き予想される
〇テクニカルにはドル高再開か、CPIが唯一下げる可能性のある材料
〇144.50レベルをサポートに146.50レベルをレジスタンスとする週と見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半は145円台での介入警戒感やユーロドル買い戻しの動きも重なってドル売りの動きが目立ちました。水曜東京朝方には短期筋の利食いやコストの悪いロング勢のストップも加わり143円台半ばまで下げたもののそこまで。引き続き押し目買いは根強く介入前の高値145.90レベルを改めて試すと見る向きが多い様子です。

今週はFRB関係者の講演が多く、今後の金融政策に影響が大きい9月CPIの発表もあります。全員CPI発表前の発言となりますが、FRBをタカ派に動かした影響力が強いクリーブランド連銀のメスター総裁の発言に注目したいところです。先週も利上げペースを緩める理由が無いという発言をし、2023年中の緩和は全く予想していないとしました。これまでも同総裁のタカ派発言が市場参加者をタカ派にし、FRBが市場参加者に寄せてくる動きを繰り返してきましたので、パウエル議長と同レベルで注目してよいでしょう。

米国CPIは6月分9.1%(前年比)でピークをつけ、その後は7月分8.5%、8月分8.3%と下げているものの思ったほど下げていないというのが市場参加者、FRB共通の認識であると思います。今週発表される9月分は8.1%と緩やかな低下が予想されていますが、8.2%以上の数字が出てくるようであれば、タカ派な見方が広がりそうです。念の為、前日に公表される前回のFOMC議事録もチェックした上で木曜のCPIに臨みたいと思います。

強い数字であれば利上げ加速思惑が維持されドル高地合い、逆に予想よりも弱いようであれば利上げペース減速思惑も出てドル安地合いという動きが予想されます。ただ、前回の週報で1997〜1998年介入を例に、介入しても大きなドル高の流れは変わらないという点は繰り返しておきます。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

介入の日に5円以上円高に押し、その後戻した後にもみあいという動きは1997年12月の介入と似た動きです。その後もみあいを挟んで改めてドル買いという動きが前回と同じように起きるとすると、そろそろドル高の動きが始まりそうな時間経過です。またテクニカルな観点では介入後の安値を起点とした上昇N波動が考えられますが、その場合のターゲットは145.99、146.58となっています。

今週は発言や材料もありますが、テクニカルにはドル高再開と考えられそうです。また発言もおそらくはタカ派な発言が出やすいことを考えると、CPIが唯一下げる可能性のある材料となりそうですが、その場合には押し目買いということになるでしょう。ここではCPIでの波乱は無いと考え、今週は144.50レベルをサポートに、上記ターゲットと重なる146.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月10日(月)
**:** 東京、米国市場休場
16:00 トルコ8月失業率
17:15 ポルトガル中銀総裁講演
19:30 スペイン中銀総裁講演
22:00 (シカゴ連銀総裁講演)
26:00 ブレイナードFRB副議長講演 ☆
**:** IMF総会(〜16日)

10月11日(火)
08:01 英国9月小売売上高
08:30 豪州10月消費者信頼感
08:50 本邦8月貿易収支(国際収支)
09:30 豪州9月企業景況感
15:00 英国9月失業率
25:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
27:35 英中銀総裁講演 ☆

10月12日(水)
07:00 フランス中銀総裁講演
15:00 英国8月鉱工業生産、貿易収支
16:00 トルコ8月鉱工業生産
18:00 ユーロ圏8月鉱工業生産
21:30 米国9月PPI ☆
22:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
24:00 オランダ中銀総裁講演
27:00 FOMC議事録公表 ☆

10月13日(木)
08:01 英国9月住宅価格
15:00 ドイツ9月CPI ☆
16:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:30 米国9月CPI ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
24:00 週間原油在庫統計

10月14日(金)
10:30 中国9月CPI・PPI ☆
**:** 中国9月貿易収支
15:00 ドイツ9月WPI
15:45 フランス9月CPI
17:00 オーストリア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏8月貿易収支
21:30 米国9月小売売上高、輸入物価
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
23:00 米国8月企業在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月3日(月)
日銀短観の影響は見られなかったものの株安の動きから朝方は円買いが先行、しかし144円台半ばのドル買いオーダーにぶつかって反転、昼過ぎには一気に145.32レベルへと円安が進みました。しかし介入警戒感もありすぐに元の水準に反落、その後は欧州市場前場まで緩やかにドル買い戻しが続き再び145円台乗せとなりました。NY市場では米金利が3.5%台まで低下する動きとともにドル売りが強まり144.16レベルの安値を見た後は引けにかけて144円台後半に戻しました。

10月4日(火)
ドル円は介入警戒感から145円をつけられずにいましたが、上値が重くなってきたことからポジション調整によるドル売りと、短期的には円高が先行する可能性が出てきたことから短期筋の新規ドル売りの動きが見られ、NY引け間際には143円台へと水準を切り下げました。

10月5日(水)
ドル円は144円台で始まったものの朝方に前日安値を下回るとストップオーダーを引っ掛けて143.53レベルの安値をつけました。しかし143円台半ばでは下がったら買いたいと考える向きも多くすぐに反転上昇、ユーロドルの下げもありNY前場には144.85レベルまで上昇し高値圏でもみあいのまま引けました。

10月6日(木)
ドル円は底堅いものの東京市場では144円台半ばを中心としたもみあいが続き、海外市場に移ってからのユーロ売りの動きで一段と底堅い動きとなりました。NY市場では米金利上昇の動きからドル円は145円台乗せとなり、145.14レベルまで上昇し高値引けとなっています。

10月7日(金)
ドル円は東京3連休前のポジション調整からやや上値が重たい動きとなり米国雇用統計を前に積極的な取引も手控えられ145円近辺でのもみあいとなっていました。雇用統計ではNFPは予想よりも微増だったものの失業率が3.5%と予想外の改善を見せたことを受けドル買いの動きとなりました。若干の上下を挟みながらも引けにかけて145.44レベルまで上昇し高値圏で引けました。

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