ドル円 金融政策ウィークで基本はもみあい
〇先週のドル円、米CPI受け144.96レベルへ急騰後、日銀レートチェック実施報道で142.55まで反落
〇今週は主要国金融政策会合予定、FOMCでの0.75%利上げほぼ織り込み済み、日銀現状維持変わらず
〇日足チャートは145円手前で2度反落、上値の重さを意識させる
〇基本的には揉み合い、下がるようであれば押し目買いを考えるという展開か
〇今週は141.50レベルをサポートに、144.95レベルをレジスタンスとする流れをみる
今週の週間見通し
先週のドル円は、前週に144.99レベルで反落したこともあって週初はドルの上値が重くなっていましたが、米国CPI次第という見方が多く火曜発表のCPI待ちの展開となりました。CPI発表直前は仕掛けっぽいドル売りも見られましたが前週金曜安値をトライしきれず、CPIが予想よりも強かったことを受け、141円台半ばから144円台半ばへと3円の急騰を演じました。
翌日には144.96レベルと前週高値に迫りましたが、円安けん制発言に加え日銀によるレートチェックが実施されたことで142円台半ばへと反落しました。ちなみに、介入もレートチェックも日銀が財務省の代理で行っているもので、指示は財務省国際局為替市場課から出ています。その国際局のトップが神田財務官ということになります。
こうして見ると米国CPIによるドル買いとレートチェックによるドル売りというのが先週のトピックですが、CPIは予想より強いと言っても8.1%の予想が8.3%だったに過ぎず、ここまで反応するものかというのが正直なところです。おそらく短期筋がCPI前にドル売りポジションを持っていて、それが切らされたというところです。
またレートチェックも介入は米国が認めない中で現状取れる手段として仕方なく実施したというところでしょう。神田財務官は過去の為替介入にも関わった経験があるので、内心歯がゆさを感じていることは間違いないでしょう。ただ、米国のCPIが収まるまでは輸入物価の低下に寄与する自国通貨(ドル)高を米国も利用したいでしょうから、レートチェックと実弾介入との間には超えられない壁があると見るべきです。
そして今週は金融政策ウィークで主要国の金融政策決定会合が続きますが、円相場に重要なのはFOMCと日銀会合です。FOMCでの0.75%利上げはほぼ織り込み済み、日銀の現状維持も変わらないですから、そうなると基本的にはもみあいの中で下がるようであれば押し目買いを考えるという展開がもっともありそうな流れです。日米金利差がドル買い・円売りの材料である限り、今の円安も簡単には止まりそうもありません。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
チャート自体は先週から大きく変化していませんが、145円手前で2度反落していることから、どちらかというと上値の重さを意識させる展開にあり、8月後半の押しと9月高値との38.2%押しとなる141.51(緑)も強いサポートとなっています。8月安値を起点とした上昇N波動(ピンク)の127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションも145.01とほぼ直近高値と重なることから、今週もこれら2つの水準に挟まれての展開になりやすいと言えます。
今週は38.2%押しと重なる141.50レベルをサポートに直近2週間の高値圏となっている144.95レベルをレジスタンスとする流れを見ておこうと思います。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月19日(月)
**:** 東京・LDN市場休場
12:00 NZ中銀総裁講演
18:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏7月建設支出
21:00 スペイン中銀総裁講演
21:45 フランス中銀総裁講演
9月20日(火)
08:30 本邦8月CPI ☆
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表
15:00 ドイツ8月PPI ☆
17:00 エストニア中銀総裁講演
17:00 ユーロ圏7月経常収支
21:30 米国8月住宅着工・建築許可
**:** FOMC(〜21日)
9月21日(水)
**:** 日銀会合(〜22日)
16:00 デギンドスECB副総裁講演
17:00 南ア7月CPI
23:00 米国8月中古住宅販売
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長講演 ☆
9月22日(木)
**:** 豪州市場休場
07:45 NZ8月貿易収支
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見 ☆
15:45 フランス9月企業景況感
16:30 スイス中銀政策金利発表 ☆
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値 ☆
23:00 米国8月景気先行指数
9月23日(金)
**:** 東京市場休場
08:01 英国9月消費者信頼感
16:15 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ラトビア中銀総裁会見
17:30 英国9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:45 米国9月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
27:00 パウエルFRB議長講演 ☆
9月25日(日)
**:** NZ夏時間開始
**:** イタリア総選挙 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月12日(月)
東京市場のドル円はユーロ円の上昇に引っ張られる形で上昇しましたが、欧州市場序盤以降はユーロ円の下げからNY昼頃には東京早朝の水準へと押し、NY後場以降は若干底堅い動きで引けましたが、米国CPI発表を控えて様子見姿勢が強まっている印象でした。
9月13日(火)
米国CPIに注目が集まる1日となりました。予想よりも強いCPIに反応してドル高の動きとなり、発表直前の安値141.61レベルから144.67レベルまで3円以上もの急騰を見せましたが、一時的に売買レートが消えるという凄まじい展開となり、高値圏での引けとなりました。
9月14日(水)
前日の米国CPI発表後のドル買いは早朝まで続き一時144.96レベルの高値をつけました。しかし前回同様に145.00にはオプション絡みのオーダーがあることから144.95?99レベルでのドル売りが見られ徐々に上値が重くなっていました。東京前場に財務官が円安牽制発言を行うと114円台半ばへと反落、すぐに買い戻されたものの145円手前では相変わらずドル売りが出てくる中、日銀によるレートチェックが行われたとのヘッドラインをきっかけに再びドル円は反転下落。その後もこれまでよりも一段強い牽制の動きを見せたことからNY昼前には142.55レベルまで水準を下げ、やや戻して引けました。
9月15日(木)
ドル円は東京市場では米金利上昇の動きとともにドル買いの動きとなり、朝方安値の142.79レベルから欧州市場序盤には143.80レベルへと1円ほど上昇しました。しかし、その後は動きが鈍くなりNYの引けまで143円台半ばでもみあいのまま引けました。
9月16日(金)
東京市場のドル円は仲値に向けて実需のドル売りが出たことから一時142.83レベルの安値をつけましたが、すぐに買い戻しが入り後場には143.69レベルまで買いが強まりました。海外市場に移ってからは東京3連休前のポジション調整からじり安の展開となりましたが、東京前場の安値は試し切れず、積極的な取引は見られませんでした。
ディスクレーマー
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先週のドル/円相場はドルが底堅い。一時144.95円まで値を上げ、前週記録した年初来高値に面合わせするも超えられず。その後は調整からドル反落も。
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