米FOMC中心とした各国金融政策に要注意
〇先週のドル円、強い米CPI受け144.95まで急騰後に反落、週末にかけ143円中心に底堅い動き
〇各国金利情勢への関心高い、日米英スイス4ヵ国の「政策金利発表」集中する22日の動きに警戒
〇米FOMC「1.0%利上げ」との見方も、実際の利上げ幅、政策転換など先行き見通しについても注視
〇今週は米8月住宅着工件数、国連総会、G20貿易相会合も予定
〇今週のドル/円予想レンジは141.50-145.50、143.80レベルをめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は142円半ばが最初のサポート、底割れすると141.51を目指す展開か
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが底堅い。一時144.95円まで値を上げ、前週記録した年初来高値に面合わせするも超えられず。その後は調整からドル反落も。
前週末は、英国のエリザベス女王の国葬が19日に決定。日本からは天皇陛下や岸田首相の参列が検討されていると報じられていた(そののち岸田首相は出席しない旨を表明)。一方、それとは別にロシアが実効支配するザポロジエ原発の状況はますます不透明に。IAEA事務局長からも懸念発言が聞かれている。
そうした状況下、ドル/円は142.30円レベルで寄り付いたのち、下値をジリジリと切り上げるなか、発表された米消費者物価が好数字となったことを好感し、一時ドルが急騰。短時間で2円を超える上げ幅を記録するなど、年初来高値に迫る144.95円まで値を上げた。しかし、本邦要人から執拗な口先介入が聞かれたほか、「日銀レートチェック実施」の報道などもあり流れが反転。その後は乱高下を経るなか、週末NYは142.90円レベルで取引を終えている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「円安けん制」について。
前者は、引き続きザポロジエ原発をめぐる悲観的な発言や報道が相次ぐなか、ウクライナ軍がロシアとの戦闘において多大な成果を上げたとの報道が相次いだ。当初は欧米メディア発の「プロパガンダ」といった見方も取り沙汰されていたが、ロシアのタス通信までもが「ロシア軍、ウクライナ東部要衝から撤退」と伝えるなど、真実味が増してきた。戦争が半年以上経過し、ロシア軍優勢で進んできた感のある戦況が大きな転換点を迎えていると、そこここで指摘されている。また、週末には露有力紙コメルサントが、「公正ロシア」代表を務めるミロノフ議員の発言として、「ロシア下院がショイグ国防相を召喚し、非公開で質問を行うことを検討している」と報じていることは非常に気掛かり。すでに戦争の敗戦、戦後処理に向けたいわゆる「戦争犯罪人」の炙り出しに動き始めているのか。
対して後者は、前日NYのドル急騰の流れを受け、早い時間帯にドル高値144.95円をつけた14日の東京時間、神田財務官や松野官房長官、鈴木財務相らが相次ぎ口先介入を行った。しかも、そのトーンが「急激な変動を懸念」といったものだけでなく、「あらゆる手段を排除せずに必要な措置を取る」−−といった一歩踏み込んだ感があったうえ、共同通信などの一部メディアによると「日銀がレートチェックを実施」していたという。一連の動きを受けて、ドルは142.55円まで2円強の急反落をたどっていた。ただ、効果に懐疑的な見方を抱く向きも多く、実際週末にかけてドルは続落せず、むしろ143円を中心に底堅い。次の材料待ちといった様相。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、一時144.99円の年初来高値に面合わせするも、「日銀レートチェック」報道などもあり、ドルは調整に押される展開となった。しかし、流れそのものは引き続きドル高・円安方向にバイアスが掛かるとみている向きが大勢だ。市場では、本邦要人などからの円安けん制発言が目に見えて明らかに増える145円を「ドル高シーリング」と捉えられているが、今週中に再トライそして超えていく展開も否定できない。
各国金利情勢への関心が高いなか、日米英スイスの4ヵ国中銀によるそれぞれ金融政策発表が集中する「22日」の動きがとくに警戒されている(*注:米FOMCの結果発表は日本時間の22日午前4時、米国時間では21日)。実際、16日付の日経新聞では「22日の『中銀デー』波乱、市場警戒」などと取り上げていた。うち、先陣を切る米国については一部で0.75%を上回る「1.0%の利上げ」実施という思惑も台頭しているが、果たしてどうか。また、実際の利上げ幅はもちろんのこと、政策転換など先行き見通しについてもしっかりと注視しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は期間によって幾つかのレンジを形成している。もっとも小さいものは、先週末に掛けた数日間の142.50-143.80円となりそうだ。まずは同レンジをめぐる攻防が注視されており、下限を割り込めば安値141.51円を目指す展開が予想される反面、上抜ければ144.95円や144.99円が再び視界内に捉えられ、当局の円買い介入スタンスを試す可能性もある。145円台へと乗せてくれば、1998年の147.64円も意識されかねないだろう。
そうしたなか今週は、8月の住宅着工件数をはじめとする米経済指標の発表が予定されている。しかし、市場の関心はそれよりも前記したような「各国の政策金利発表」。また、それとは別に国連総会やG20貿易相会合といった開催される国際会議にも一応要注意か。
そんな今週のドル/円予想レンジは、141.50-145.50円。ドル高・円安については、前記した目先抵抗の143.80円レベルをめぐる攻防に注目。超えれば144円乗せから、144.95円などがターゲットに。
対してドル安・円高方向は、やはり短期的なサポートである142円半ばが最初のサポート。底割れすると9日安値の141.51円を目指す展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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