『約2ヵ月半ぶり高値圏から急反落。来週は南アCPIと南ア中銀会合に注目』
〇南ア円、週初8.38まで上昇するも米CPIショック後のリスク回避の動きに週末にかけ8.08まで急落
〇主要サポートポイント軒並み下抜け、テクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場の続落を連想させる材料揃う
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇9/21の南ア8月CPIと、9/22南ア中銀会合に注目
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.25
今週のレビュー(9/12−9/16)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.24円で寄り付いた後、@株式市場の堅調推移や、A上記@を背景とした世界的なリスク選好ムード、Bプラチナ価格上昇に伴う南アフリカの交易条件改善期待が支援材料となり、翌9/13に、週間高値8.38円(7/5以来、約2ヵ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと(一目均衡表雲上限をバックに戻り売り圧力が強まると)、C米8月消費者物価指数および米8月消費者物価コア指数の市場予想を上回るサプライズ(インフレピークアウト期待の後退)や、
D上記Cを背景とした世界的なリスクオフ再燃(米FRBによるタカ派傾斜観測→次回FOMCでの100bp利上げ観測台頭→米長期金利急上昇→市場心理悪化→リスク回避の新興国通貨売り)、E南ア株の冴えない動き、F金価格急落に伴う南アフリカの交易条件悪化懸念、Gテクニカル的な地合いの弱さ(主要サポートポイントを軒並み下方ブレイク)が重石となり、週末にかけて、週間安値8.08円(9/5以来の安値圏)まで急落しました(対ドル相場は2020年8月以来、約2年1ヵ月ぶり安値圏へ急落)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/17午前2時30分現在)では、8.09円前後まで値を崩す展開となっております。
来週の見通し(9/19−9/23)
南アフリカランドの対円相場(ZARJPY)は、週前半に記録した約2ヵ月半ぶり高値8.38円をトップに反落に転じると、週末にかけて一時8.08円まで急落しました。この間、主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線)を軒並み下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの「悪化」を印象付けるチャート形状となりつつあります。目先は、9/5安値8.05円を下抜けられるか否かに注目が集まります。同水準の下方ブレイクに成功できれば、8/2安値7.86円を起点に始まったダウ理論の短期上昇トレンド(8/2安値7.86円→8/12高値8.26円→8/24安値7.99円→8/30高値8.25円→9/5安値8.05円→9/13高値8.38円)の崩壊が実現するため、地合いの「更なる悪化」が警戒されます(状況次第では心理的節目8.00円や8/2安値7.86円を試すシナリオを想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(来週開催されるFOMCでの100bp利上げ観測台頭)や、A上記@を背景とした南アフリカから米国への資本流出懸念、B南アフリカ経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念)、C南アフリカの交易条件悪化懸念(金・プラチナ価格の冴えない動き)、D南アフリカの政局不透明感(ラマポーザ大統領のスキャンダル)、E南アフリカと経済的な結びつきの強い中国のリセッション懸念(南アフリカ経済への負の連鎖)など、南アランド円相場の続落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/21に発表される南ア8月消費者物価指数と、9/22に開催される南ア中銀会合に注目が集まります。南ア8月CPIが市場予想を上回る場合には、翌日の南ア中銀会合での大幅利上げが見込まれることから(現在は50bp利上げと75bp利上げで市場参加者の意見が割れている状態)、直後は南アランド買いで反応する可能性が高いものの、スタグフレーション懸念が燻る中での利上げ実施は南アフリカ経済への逆風を通じて「南ア株下落→南アランド売り」の波及経路に繋がることから、一巡後の急反落リスクに警戒が必要でしょう(上記以外にも来週は今月のメインイベントである米FOMCが予定されているため、米長期金利や米ドルの動きに市場全体が揺さぶられる神経質な1週間となりそうです)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.25
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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