ドル/円は141円台、さらなるドル高進行も
〇本日のドル円、ドル続伸で年初来高値更新、141円台まで上値を伸ばし一時141.25レベルを示現
〇ドルの明確な上値メドがしばらく見当たらない状況、1998年高値147.64が中期ターゲット
〇各国の政策金利に対する関心高く、また米経済指標と指標結果を受けた米金利・株価の動きに注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ140.80-142.40、ドル高・円安方向は141.35-40が最初のターゲット
〇ドル高円安方向は141円レベルの攻防や、140.80がサポートになるのか注視される
<< 東京市場の動き >>
6日の東京市場はドルが続伸。夕方に掛けて上げ幅拡大、年初来高値を更新し、141円台まで上値を伸ばしている。
ドル/円は140.60円前後で寄り付いたのち、当初はドル売り先行。140.25円レベルまで小緩む局面も見られたが、目先底値を付けたのちはVの字型の回復をみせた。寄り付きレベルを超えたことに続き、140.80円の年初来高値も上抜けると、その勢いのまま141円台に乗せている。日中安値から1円程度値を上げた141.25円レベルを示現し、16時現在ドルはそのままドルの高値圏をキープ、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「英政治情勢」について。
前者は、点検終了期限切れとなる3日を迎えてもガス供給は再開されなかった「ノルドストリーム1」について、ロシアのペスコフ大統領報道官は記者会見で「ロシアに対する経済制裁が解除されるまで、欧州へのガス供給を停止し続ける」可能性を示唆したと伝えられていた。また、「欧州ガス供給危機を引き起こしたのは西側諸国」とした責任転嫁コメントも聞かれていたという。一方、ロシアが実効支配を行うウクライナのザポロジエ原発は、「ロシア軍の砲撃により送電線が切断された」と報じられ一時物議を醸す。ゼレンスキー大統領が会見で述べたように、「原発は再び放射能事故寸前に追い込まれていた」のかもしれない。続報を含め、引き続き動静には要注意。
対して後者は、英与党保守党が、ジョンソン首相の後任を決める党首選決選投票の結果を発表し、トラス外相の勝利を明らかにした。トラス氏はサッチャー元首相、メイ前首相に続く英国史上3人目の女性首相となる。イタリアや米国などから早々に祝意コメントも聞かれるなか、ロシアは厳しい反応。たとえば、ペスコフ大統領府報道官は、英国との関係について「これ以上悪い状況は想像しがたい」ものの、一段と悪化する可能性があると述べたという。トラス氏は、ロシアや中国に厳しいジョンソン政権の外交路線を継承する公算が大きいと目されており、軽いジャブを放って出鼻をくじくという面もあったようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日は米国とカナダ、北米市場が休場となったこともあり、ドル続伸も小休止となったが、本日東京時間にドル買い機運が再燃。ドル/円は年初来高値を更新し、141円台まで上昇している。すでにドルの明確な上値メドがしばらく見当たらない状況で、再び軽い青天井状態へ。1998年高値の147.64円は中期ターゲットではあるものの、今年の相場環境からすると思いのほか早いタイミングで接近する可能性もありそうだ。
引き続き各国の金利情勢に対する関心が高いなか、本日東京時間に豪中銀が0.5%の利上げを実施し、今後についても「利上げ継続」に含みを持たせている。市場では、豪利上げを受けて明7日のカナダ中銀による政策金利発表にも関心を寄せる向きは多い。ちなみにカナダ中銀は「0.75%」という大幅利上げに動くことが市場のコンセンサスになっているようだ。一方、それとは別に米国については引き続き発表される米経済指標の内容、そして指標結果を受けた米金利や株価の動きがまずは注視されている。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京時間に140.80円そして141円を超えたのちもドル高傾向が止まらない。前述したように明確な上値メドが乏しいなか、わずかな手掛かりとなっている前日4本値を参考にしたピボットでは、本稿執筆段階でR2の141.00円も超えており、残すはHBOPにあたる141.35-40円のみ。後者を抜けると、ドルの上値は再び青天井と化す可能性もある。
本日は米経済指標として、8月総合PMI確報や同ISM非製造業総合指数といった米経済指標が発表される予定となっている。決定している材料はさほど多くないものの、先で取り上げた「ザポロジエ原発」問題などを中心に、欧州情勢はとくに予断を許さない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは140.80-142.40円。ドル高・円安方向は先で取り上げたピボットにおけるテクニカルポイント141.35-40円が最初のターゲット。抜ければ142円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、前述したように東京時間に上抜けたのち、まだ一度も割り込んでいない141円レベルの攻防、そしてこれまでの年初来高値だった140.80円などが今度はサポートになるのかが注視されている。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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