欧州で注意すべき材料多い、ユーロ主導の公算も
〇本日のドル円、夕刻にかけ138.30まで値を崩す、139円前後からの上値重い
〇米雇用統計控え138円台中心のレンジ取引、仮に年初来高値139.39超えれば140円台乗せか
〇本日は米8月ADP雇用統計、同シカゴ購買部協会景気指数、クリーブランド連銀総裁による講演を予定
〇欧州エネルギー情勢が懸念材料に、ユーロ主導為替となる公算も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは138.00-139.20、139.08が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は138.05をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場はドルが小安い。値幅は狭く、おおむねレンジ内ではあるものの、「寄り付き高・大引け安」の様相だった。
ドル/円は138.80円レベルで寄り付いたのち、しばらくは強保ち合い。しかし目先サポートとして寄与していた138.70円水準を割り込むと、緩やかな右肩下がり。夕方にかけて138.30円レベルまで値を崩している。16時現在でもそのままドルの安値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、そうしたなか中川日銀審議委員から「物価目標を持続的・安定的に実現できるよう、金融緩和を継続する必要がある」との発言が聞かれていたようだ。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「中国情勢」について。
前者は、ロシア国営ガスプロムが31日から3日間、欧州に天然ガスを運ぶパイプライン「ノルトストリーム1」の稼働を停止すると事前に通告するなか、今度は「代金の完全な支払いを受けなければ、9月1日からフランスの電力会社エンジーに対する供給を完全に停止する」と新たに発表した。一連の措置について、フランスは「ロシア政府がエネルギー供給を戦争の武器として利用している」と非難。まさに、その通りという気もするが、それだけでは何の解決にもならない。むしろ冬の需要期を前に、欧州のエネルギー情勢を懸念する見方が強まりつつある。果たして解決の方策はあるのか、今後も動静には要注意だ。
対して後者は、在米中国大使が米国に対して「台湾への武器売却の即時停止を要求」するなか、台湾・金門群島周辺に威嚇と思しき中国軍無人機を飛行させていた。ちなみに後者については、台湾軍が無人機に向けて発砲したとされている。一方、それとは別に日本に対しての威嚇行為もさらにエスカレート。防衛省によると、ロシアとの演習に参加することが目的とみられる中国艦艇3隻が対馬海峡通過。日本海を北上したほか、中国のTB001偵察・攻撃型無人機1機が、沖縄本島と宮古島のあいだを通過し、空自戦闘機が緊急発進する事態もあったという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は29日、30日と連日の戻り高値更新。ただ、139円前後からの上値は重いようで、いわゆる牛歩といった様相だ。年初来高値139.39円は近くて遠い。予断を許さないものの、週末に注目の米雇用統計発表を控えていることもあり、目先のドル/円は138円台を中心としたドルの強保ち合いか。本格的なドル高再燃は、今週末以降などといった見方も一部で取り沙汰されていたようだ。
引き続き各国の金利情勢に対する関心が高い環境下、日本については先でも取り上げたように中川日銀審議委員から「金融緩和を継続する必要がある」との発言が聞かれていた。それに対し、欧州はオランダ中銀総裁が「ECBは速やかに金利を正常化すべき」と発言。米国もNY連銀総裁から「インフレを沈静化させる水準まで政策金利を引き上げる必要がある」とのコメントが発せられている。いずれにしても、金利差という観点からは依然として円を積極的には買いにくい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は連日で高値更新となっているが上値は重そう。しかし下値も堅く、実際、今週はじめの東京早朝を除くと一度も138円を割り込めてはいない。つまり、上下とも積極的には攻めにくい環境下にあるものの、リスクという意味ではやはりドル高方向か。仮に139.39円の年初来高値を超えていけば、140円台乗せも否定できず、結果としてドルは一段高をたどる可能性もある。
一方、本日は米経済指標として、8月のADP雇用統計や同シカゴ購買部協会景気指数が発表されるほか、クリーブランド連銀総裁による講演なども予定されており、それらは一応要注意。また、それとは別に欧州情勢にも気掛かりな要因が多い。ひとつは前述した「原発査察」であり、またロシアからのガス供給パイプライン「ノルドストリーム1」が停止することも場合によっては波乱要因に。為替はユーロ主導の公算も。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは138.00-139.20円。ドル高・円安方向は昨日高値の139.08円が最初の抵抗。抜ければ139.39円が再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、昨日安値の138.05円をめぐる攻防にまずは注目。割り込めば137円台を見る公算は大きいが、それでも底堅いイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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