ドル円、底堅い動きが継続中。7/14高値139.40を試すシナリオを想定
〇ドル円、FRB関係者のタカ派発言と米長期金利上昇に米国時間に138.96まで上昇
〇ユーロドルECB関係者のタカ派発言、月末ユーロ買いフローに米国時間に1.0079まで上昇
〇ドル円、下方に複数のレジスタンスポイントを控え、複数の買いシグナル点灯、テクニカルの地合い強い
〇本日海外時間はドル円のアップサイドリスクに特に警戒が必要
〇本日の予想レンジ:138.25ー139.75
海外時間のレビュー
月末31日(水)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。@月末絡みのリバランス圧力(月末に絡む本邦勢のドル売りフロー)や、A対オフショア人民元でのドル売り圧力(中国人民銀行による対ドル基準値の6営業日連続・人民元高設定)、B日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、C米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは一時3.09%へ低下)が重石となり、欧州時間朝方(日本時間16:00過ぎ)にかけて、安値138.27まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、D中川日銀審議委員による「今の時点では緩和バイアスを維持すると思う」とのハト派的な発言や、Eクリーブランド連銀メスター総裁による「来年の利下げを予想せず」「2023年初めに4%以上の金利引き上げを支持」とのタカ派的な発言、F米長期金利の反転上昇(米10年債利回りは3.09%から3.16%へ上昇)、G上記DEを背景とした日米金融政策の方向性の違いが支援材料となり、米国時間午後(日本時間5:00頃)にかけて、高値138.96まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/1午前5時00分現在)では、138.94前後で推移しております。尚、注目された米8月ADP雇用統計(結果13.2万人、予想30.0万人、前回12.8万人)は市場予想を下回る結果(ドル売り要因)となりましたが、ドル売りでの反応は限定的となりました。
月末31日(水)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@欧州経済を巡る先行き不透明感や、Aユーロ圏のエネルギー危機発生の思惑(ロシア国営ガスプロム社によるノルドストリーム1の稼働停止→天然ガス価格の急上昇)、B米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、欧州時間(日本時間19:00過ぎ)にかけて、安値0.9972まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Cユーロ圏8月消費者物価指数速報値(結果+9.1%、予想+9.0%、前回+8.9%)の伸び率加速や、Dユーロ圏8月消費者物価コア指数速報値(結果+4.3%、予想+4.1%、前回+4.0%)の伸び率加速、Eドイツ連銀ナーゲル総裁による「9月に強力な利上げが必要である」とのタカ派発言、Fフィンランド中銀レーン総裁による「来週の理事会で利上げを決定する予定でその後も追加利上げが必要になる」とのタカ派的な発言、G上記CDEFを背景とした次回ECB理事会での75bp利上げ観測、H月末ロンドンフィキシングに絡むユーロ買いフローが支援材料となり、米国時間(日本時間0:00過ぎ)にかけて、高値1.0079まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/1午前5時00分現在)では、1.0048前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は上下しつつも底買い動きとなりました(下落後に持ち直す展開)。ダウンサイドに複数のレジスタンスポイントを控えていること(潜在的な押し目買い圧力の強さ)や、強い買いシグナルが複数点灯していること(一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダー)などを踏まえると、テクニカル的に見て、リスクは依然アップサイドと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違いや、米政府・米当局によるドル高容認スタンスなど、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
今晩予定されている一連の米経済指標(米新規失業保険申請件数や、米8月製造業PMI確報値、米8月ISM製造業景況指数、米7月建設支出)が力強い結果を示す場合や、米当局者(アトランタ連銀ボスティック総裁講演など)よりタカ派的な発言が見られる場合には、ドル円が7/14高値139.40を上抜け、心理的節目140.00に向けて上伸するシナリオも想定されるため、本日海外時間はドル円のアップサイドリスクに特に警戒が必要でしょう(特に米8月ISM製造業景況指数が発表される23時前後のボラティリティ拡大に要注意)。
本日の予想レンジ:138.25ー139.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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