トルコリラ円見通し ドル円の急落で6日ぶり反落するも7.50円以上を維持(22/8/24)

トルコリラ円の8月23日は7.62円から7.50円の取引レンジ、24日早朝の終値は7.55円で前日終値の7.60円からは0.05円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル円の急落で6日ぶり反落するも7.50円以上を維持(22/8/24)

トルコリラ円見通し ドル円の急落で6日ぶり反落するも7.50円以上を維持

〇トルコリラ円、ドル円急落一巡で、23日安値7.50まで反落するも、24日早朝7.55まで持ち直す
〇対ドル、中銀利下げショックで18リラの壁超える急落、24日早朝終値18.10で最安値更新
〇8月消費者信頼感数、2か月連続で改善、7月海外観光客数はパンデミック前水準上回る
〇一方で、トルコ安を活かしての、輸出拡大、観光収入増大等による経常収支改善には為替安定が課題か
〇7.52以上での推移中は上昇余地ありとし、7.57超えからは7.60円台序盤への上昇を想定する
〇7.52割れからは弱気転換注意とし、7.50割れからは下落期入りとみて7.45前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月23日は7.62円から7.50円の取引レンジ、24日早朝の終値は7.55円で前日終値の7.60円からは0.05円の円高リラ安となった。
8月23日夜の米経済指標が軒並み悪化したことで米国の利上げペースが緩むのではないかと受け止められたためにドル円は一連の経済指標発表を通して137円台中盤だったところから135.80円まで急落したが、多少の景気後退でもインフレ抑制が最重要としてきた米パウエルFRB議長のジャクソンホール講演が26日に控えていることもあり米10年債利回りが続伸となり、ドル円は急落一巡後には安値から1円を超える反騰となった。
トルコリラ円は8月23日朝高値7.62円の後を上げ渋っていたが、23日夜にドル円が急落した局面で7.50円へ失速、その後にドル円が反騰したために7.55円まで持ち直した。
8月18日のトルコ中銀による予想外の利下げショックで急落したものの、売り一巡後はドル円の上昇基調に押し上げられて利下げ前水準を超えてきたが、ドル/トルコリラも利下げ後の急落が一服して1ドル18ドル台序盤での推移で落ち着いているためトルコリラ円はドル円次第の展開となっている。

【ドルトルコリラは1ドル18リラ台序盤で終値ベースの最安値更新】

ドル/トルコリラの8月23日は18.13リラから18.05リラの取引レンジ、24日早朝の終値は18.10リラで前日終値の18.05リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
8月18日夜のトルコ中銀による予想外の利下げによりそれまで突破できなかった1ドル18リラの壁を超える急落となり利下げ直後に18.14リラの安値をつけて昨年12月12日高値10.06リラ以降の最安値を更新、昨年12月20日の史上最安値18.36リラ以来の安値となった。
8月20日にはトルコ中銀が企業向け銀行融資に際する貸し手側へのトルコ国債保有比率の引き上げ等によりトルコ国債が買われて長期債利回りが急落したために18.04リラまで反発したもののリラ安防衛への政策的効果は疑問として勢い付かず、8月22日にトルコのエルドアン大統領が「トルコ中銀は利上げを実施する必要はない」と改めて利下げ政策の継続を主張したことで戻り売りとなり1ドル18.15リラへ安値を更新、終値ベースでも8月18日終値の18.09リラを超えて史上最安値を更新した。

【トルコ消費者信頼感指数は2か月連続で改善】

【トルコ消費者信頼感指数は2か月連続で改善】

8月23日に発表されたトルコの8月消費者信頼感指数は72.2となり7月の68.0から改善、3月に72.5だったところから6月に63.4まで悪化していたものの持ち直して来ている。ただし、パンデミック発生後の景気回復により2021年3月に86.7まで上昇したところと比較すればまだ低位にとどまっている。
消費者の家計における現況は7月の46.4から53.8へ改善、1年先については67.2から72.2へ改善した。1年先の景気全般への期待については7月の70.9から72.8へ改善、耐久財消費については87.7から89.8へと改善した。
高インフレが続きリラ安も継続しているもののトルコにおける景況感はさほど悪くない印象だ。

8月22日に発表された7月の海外観光客数は666万5129人となり前年同月比で52.84%増となりパンデミック発生前の2019年7月の661万7380人を上回り正常化した。
入国先のトップ5はドイツ46.9万人(19%)、ロシア30.9万人(12%)、英国20.6万人(8%)、オランダ14万人(6%)、ブルガリア11.5万人(5%)でこの5か国で50%を占めた。欧州がウィズコロナ政策により経済活動や海外旅行等の規制を緩和していることで従来型のトルコへの観光も戻ったといえる。リラ安を活かして輸出が拡大して観光収入も増えれば経常収支改善につながることも期待されるが、そのためにはリラの暴落不安が落ち着く必要もあると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月18日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして8月22日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、23日午前時点では22日夕安値17.54円割れからは弱気サイクル入りとして23日夜から25日夜にかけての間への下落を想定するとした。
8月23日夜に7.50円まで急落したが、その後に7.55円超えへ反騰しているため、現状は8月23日早朝高値を直近のサイクルトップとして下落したが、23日夜安値で既に直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしていると思われる。高値形成期は26日未明から30日早朝にかけての間とするが、23日夜安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして26日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、8月23日夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後の反騰による先行スパン下限に迫っている。先行スパンへ潜り込み始める場合は23日夜からの反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、23日夜安値を割り込む場合は新たな下落期入りとなるため遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は8月23日夜の急落時に30ポイントまで下げてから50ポイントに迫るところまで戻している。50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは40ポイント割れから下げ再開とするが、55ポイント超えからは反騰継続とみて60ポイント台後半へ向かう上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.52円を下値支持線、7.57円を上値抵抗線とする。
(2)7.52円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.57円超えからは7.60円台序盤(7.60円から7.62円)への上昇を想定する。7.60円到達では売りも出やすいとみるが、7.55円以上での推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.52円割れからは弱気転換注意とし、7.50円割れからは下落期入りとみて7.45円前後への下落を想定する。7.45円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、7.50円を割り込んだ後も7.52円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月25日
 16:00 8月 製造業景況観指数 (7月 103.7)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 78.6%)
 20:30 週次 外貨準備高 8/19時点 グロス (8/12時点 725.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8/19時点 ネット (8/12時点 156.8億ドル)
8月29日
 16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 93.4)
 16:00 7月 貿易収支 (6月 -81.7億ドル)
8月31日
 16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.2%)
 16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.3%)

注:ポイント要約は編集部

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